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関西3府県にもまん延防止措置適用へ:経済損失は1.4兆円に

2022/01/20

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関西3府県(大阪府、京都府、兵庫県)は、政府に「まん延防止等重点措置」を要請する方針を固めた。1月21日に政府に正式に要請する。政府はこの要請を受け入れる可能性が高く、実際そうなれば、同措置の適用区域は16都府県から19都府県にまで拡大される。

1月7日に同措置が適用された3県(沖縄県、山口県、広島県)の経済規模(県民所得)は、日本全体の4.0%であった。これに21日から新たに13都県が加わり、対象区域の経済規模の合計は日本全体の54.7%にまで一気に拡大する。さらに経済規模が日本全体の12.5%に相当するこの関西3府県が新たに加われば、対象区域の経済規模は日本全体の67.2%と、7割に近付く。

1月7日に決定された3県での同措置による経済損失の試算値は、540億円と推計された。一方、21日から新たに加わる13都県で仮に全市町村が対象となれば、3週間程度(24日間)での経済損失は1兆650億円になる計算だ。経済損失は合計で1兆1,200億円となる。これは、1年間の名目GDPの0.19%に相当する規模であり、失業者数を4.4万人に増加させる(コラム「まん延防止措置は16都府県にまで拡大:経済損失は合計で1.1兆円に」、2022年1月19日)。

関西3府県については、全市町村を対象に、1月24日から2月21日まで3週間、同措置が適用されるケースを想定しよう。その場合、経済損失は2,300億円になると試算される。19都府県合計では1兆3,500億円となる。これは年間の名目GDPの0.24%に相当し、5.3万人の失業者を生む計算だ。

「まん延防止等重点措置」の拡大は、年明け後の日本経済に強い逆風となる可能性が高い。日本経済センターのESPフォーキャスト調査(1月)によれば、2022年1-3月期の実質GDP成長率の予測平均値は、前期比年率+5.1%である。

他方、「まん延防止等重点措置」が関西3府県にまで拡大し、1-3月期のGDPが上記の計算のように1兆3,500億円減少する場合、1-3月期の実質GDP成長率は、その影響で前期比年率4%程度押し下げられることになる。この点を踏まえると、1-3月期の成長率は前期比年率+1.0%など、かなり低めとなる可能性が出てきたと言えるだろう。

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