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政府機関閉鎖回避に向け米下院がつなぎ法案を採決へ

2023/11/14

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下院議長のつなぎ法案は14日に下院で採決へ

米下院のジョンソン議長が政府機関閉鎖回避を目指して発表したつなぎ法案(暫定予算案)は、14日に下院採決にかけられることが決まった。同案については、民主、共和双方から反対が出ており、17日の期限までにそれを上下両院で可決し、大統領の署名を得て政府機関閉鎖を回避できるかどうかについては、なお厳しい情勢が続いている。

そうした中、やや明るい兆候となったのは、上院民主党トップのシューマー院内総務が13日に、同案を支持する意向を示したことだ。シューマー氏は、ジョンソン下院議長の案について、完璧には程遠いとしながらも、大幅な歳出削減が含まれていないことに満足している、と述べた。

ホワイトハウスは同案を強く批判している。しかしバイデン大統領は、下院議長案が両院で可決された場合に、拒否権を発動するかどうかについて、明確な方針を示していない。大統領は、方針の表明を控える方向に傾いていることを示唆した、との報道もある。仮にバイデン大統領が拒否権を発動する考えを表明すれば、上下両院の民主党議員が、同案に反対する可能性がより高まることになる。

下院共和党の保守派議員のうち少なくとも7人から8人が同案に反対

共和党は下院で過半数を占めているが、与党・民主党との差はわずか9議席にとどまっている。民主党議員すべてが同案に反対する場合、共和党議員から5人が反対に回れば、同案は可決できなくなる。しかし現時点で、少なく見積もっても、下院共和党の保守派議員のうち7人から8人が同案に反対を表明しているのである。代表格であるチップ・ロイ下院議員は、歳出削減や移民法改正など保守的な政策がないなどとして同案を批判している。

下院共和党の保守派議員から一定数の反対が出ても、下院民主党の一部が賛成すれば、同案が下院を通過する可能性は残されている。上院民主党のシューマー院内総務が同案に賛成したことや、バイデン大統領が拒否権発動の方針表明を控えていることは、下院民主党議員の中で、一定数が同案の賛成に回る可能性を生じさせていることは確かだ。

しかし、バイデン政権が強く望んでいるイスラエルやウクライナへの支援といった追加予算が同案に盛り込まれなかったこと等から、賛成に回る民主党議員の数はかなり限られると見られ、下院で同案が可決するかどうかは引き続き綱渡りの状況である。

政府機関閉鎖は経済、金融市場を打撃し、財政政策、米国債に対する金融市場からの信頼を大きく傷つける

下院で否決される場合には、18日から政府機関が一部で閉鎖となり、またムーディーズが米国債の格付けを最高位から引き下げるとの懸念が広まることで、経済や金融市場には打撃となるだろう。

2018年12月22日から35日間に及んだ前回の政府機関閉鎖について、議会予算局(CBO)は約30億ドルの経済損失が生じたとの試算を発表している。間接的な影響も含め、実質GDPは2018年10~12月が0.1ポイント、2019年1~3月が0.2ポイント、それぞれ押し下げられるとの試算を示した。

ジョンソン米下院議長が示したつなぎ法案は、軍や運輸、農業など一部政府業務が来年1月19日まで、それ以外は2月2日までの歳出をまかなう、2段階方式となっていることから、仮に両院で可決され、大統領の署名をもって発効しても、2か月後には再び政府機関閉鎖のリスクが生じることになる。

米国での二極化した政治情勢が円滑な財政運営を損ねている状況は早期には解消されず、米国の財政政策、そして米国債に対する金融市場からの信頼を大きく傷つけてしまっている。

(参考資料)
"GOP Speaker's Plan to Avert Shutdown Faces Critical 24 Hours(米下院議長のつなぎ予算案、今後24時間が正念場)", Bloomberg, November 13, 2023
「米下院議長の政府閉鎖回避案、上院民主トップが支持意向」、2023年11月13日、ロイター通信ニュース

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