2024年の春闘での高い賃上げ率を受けて、日本銀行が2％の物価目標達成を宣言し、4月にマイナス金利政策解除に踏み切る、との観測を金融市場は強めている。しかし実際には、賃上げ率は期待するほどには高まらず、日本銀行のマイナス金利政策解除の時期は2024年後半以降にずれ込むと見ておきたい。

海外では、金融危機後、内部監査部門に「信頼されるアドバイザー」としての役割が求められるようになった。その背景には、第1の防衛線がリスクテイクしてからその結果の善し悪しを評価するのではなく、リスクテイクをする前に注意を喚起し、助言をすることの重要性が認識されるようになったことがある。

2024年のリテール証券業界の展望として、地域証券会社の経営判断に注目したい。一つのシナリオとして、手数料「ゼロ化」に押される形で金融商品仲介業者（IFA）への業態転換を選択するケースが増えてくる可能性がある。これが業界の分業化や競争環境に広く影響を及ぼすのではないか。

EUは、金融業界のサイバーリスク等への強靭性を高めることを目的とする規制、DORAの2025年1月からの適用に向けた準備を本格化している。DORAは金融機関に加え、金融機関にICTサービスを提供するサードパーティも規制対象とする。金融機関は、ITガバナンスやリスク管理体制を再構築するとともに、信頼性の高いICTサービスを選択する必要がある。

各国の中央銀行デジタル通貨（CBDC）システムを相互接続させるプロジェクト「mBridge」の研究開発が進み、2024年には実用化段階に入る。mBridgeは、ブロックチェーン技術mBLや各機能のモジュール化等を通じて、高い透明性、高速取引、データ・プライバシーの確保、高い包括性といった特徴を備える。

『100円を貰うよりも、よく使うポイントや電子マネーを105ポイント貰える方がうれしいか』と問われたら、あなたならどのように回答するだろうか。「額面が5％大きいのだから、後者のほうがよいに決まっている。でも、有効期限を過ぎて失効させてしまうかも。いや、すぐ消化すれば問題ないだろう。しかし、差が5円分だとどちらでもよい気がする。これが100万円と105万ポイントなら話は違うが・・・。」といった押し問答が頭の中を巡るに違いない。