はじめに
FRBは今回(3月)のFOMCで政策金利の現状維持を決定した(1名が25bp利下げを主張し反対)。パウエル議長は経済活動の力強さと失業率の安定、インフレ率の幾分かの高止まりを確認しつつ、足元のエネルギー価格高騰の影響が現時点で不透明と評価した。
経済情勢の評価
パウエル議長は、経済活動が力強く拡大し、住宅部門は弱いが、消費は底堅く、設備投資の拡大が続いているとの評価を維持した。今回改訂されたSEPでは、2026~28年の実質GDP成長率見通しが2.4%→2.3%→2.1%となり、前回(12月)から各々0.1pp、0.3pp、 0.2pp上方修正された。同時に、「長期」の経済成長率も1.8%から2.0%へ上方修正された。
労働市場についても、移民の減少と労働参加率の低下による供給と需要の減少が併存しているとの見方を維持し、未充足求人やlay off、賃金上昇率等に変化がない点を確認した。2026~28年の失業率見通しも、2027年が0.1pp上方修正されただけで、4%強で横這いとの見方を示した。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰が実質購買力の低下や負の資産効果をもたらすとの懸念を示した。
パウエル議長は、長期化すれば総需要を抑制するが、価格高騰の内容や持続性は現時点で不透明であり、FOMCメンバーの間でSEPの改訂を見送るべきとの意見があったことを説明した。もっとも、米国経済はコロナやウクライナ戦争等のショックを乗り切ったほか、実質賃金も増加を続けており、経済活動の基調も力強い点を強調した。
別の複数の記者が雇用の弱さに懸念を示した点には、12月と1月の雇用者数には大きな振れがあり、実態はその中間にあるとの考えを示唆したほか、雇用の下方リスクが高まった訳ではないとの考えを示した。
労働市場についても、移民の減少と労働参加率の低下による供給と需要の減少が併存しているとの見方を維持し、未充足求人やlay off、賃金上昇率等に変化がない点を確認した。2026~28年の失業率見通しも、2027年が0.1pp上方修正されただけで、4%強で横這いとの見方を示した。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰が実質購買力の低下や負の資産効果をもたらすとの懸念を示した。
パウエル議長は、長期化すれば総需要を抑制するが、価格高騰の内容や持続性は現時点で不透明であり、FOMCメンバーの間でSEPの改訂を見送るべきとの意見があったことを説明した。もっとも、米国経済はコロナやウクライナ戦争等のショックを乗り切ったほか、実質賃金も増加を続けており、経済活動の基調も力強い点を強調した。
別の複数の記者が雇用の弱さに懸念を示した点には、12月と1月の雇用者数には大きな振れがあり、実態はその中間にあるとの考えを示唆したほか、雇用の下方リスクが高まった訳ではないとの考えを示した。
物価情勢の評価
パウエル議長は、インフレ率が2022年央以降に顕著に減速したが、 2%目標よりやや高いとの評価を維持した。また、インフレの高止まりの主因は関税引上げによる財価格の上昇であるとしたほか、足元で短期のインフレ期待が上昇しているが、長期のインフレ期待は2%目標と整合的とした。
今回改訂されたSEPでは、2026年~28年のPCEインフレ率見通しは2.7%→2.2%→2.0%となり、前回(12月)に比べて2026~27年が各々0.3pp、0.1pp上方修正された。なお、PCEコアインフレ率の見通しは、2.7%→2.2%→2.0%となり、同じく2026~27年が各々0.2pp、0.1pp上方修正された。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰による影響を質した。
パウエル議長は、今回のSEPに幾分か影響が反映しているとした上で、価格高騰の内容や持続性に関する不透明性が高い点を確認した。また、米国の原油生産の増加で価格上昇圧力をある程度は相殺しうるが、ネットではインフレ率を上昇させるとの見方を示した。また、関税引上げの影響は年央には出尽くすとの見方を維持した。
別の複数の記者がインフレ期待の上昇リスクを指摘したのに対しては、パウエル議長は、市場や家計、エコノミスト等の中長期インフレ期待は安定しているとの見方を確認した。もっとも、供給ショックが継続するとインフレ期待に影響を及ぼしうる点も認め、状況を注視する必要があるとした。
このほか、別の記者が賃金上昇の減速に拘わらずサービス価格減速が鈍い点を指摘したのに対し、パウエル議長は、悩ましい問題である点を認めつつも、今や、賃金動向がインフレの主たる決定要因ではないとの見方を示した。
今回改訂されたSEPでは、2026年~28年のPCEインフレ率見通しは2.7%→2.2%→2.0%となり、前回(12月)に比べて2026~27年が各々0.3pp、0.1pp上方修正された。なお、PCEコアインフレ率の見通しは、2.7%→2.2%→2.0%となり、同じく2026~27年が各々0.2pp、0.1pp上方修正された。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰による影響を質した。
パウエル議長は、今回のSEPに幾分か影響が反映しているとした上で、価格高騰の内容や持続性に関する不透明性が高い点を確認した。また、米国の原油生産の増加で価格上昇圧力をある程度は相殺しうるが、ネットではインフレ率を上昇させるとの見方を示した。また、関税引上げの影響は年央には出尽くすとの見方を維持した。
別の複数の記者がインフレ期待の上昇リスクを指摘したのに対しては、パウエル議長は、市場や家計、エコノミスト等の中長期インフレ期待は安定しているとの見方を確認した。もっとも、供給ショックが継続するとインフレ期待に影響を及ぼしうる点も認め、状況を注視する必要があるとした。
このほか、別の記者が賃金上昇の減速に拘わらずサービス価格減速が鈍い点を指摘したのに対し、パウエル議長は、悩ましい問題である点を認めつつも、今や、賃金動向がインフレの主たる決定要因ではないとの見方を示した。
政策金利の運営
今回(3月)のFOMCは政策金利(FFレートの誘導目標)を3.5~3.75%に維持することを決定した。ただし、ミラン理事が25bpの利下げを主張して反対した。今回のdot chartによれば、2026~28年末の政策金利の予想値(median)は、3.4%→3.1%→3.1%となり、前回(12月)と変わらない。ただし、分布は総じて収斂し、特に2026年中の利下げは25bp1回と0回が7票で拮抗している。
パウエル議長は、エネルギー価格の高騰は物価上昇要因だが、経済全体への影響の把握は時期尚早とした上で、政策金利が中立金利の推計レンジの妥当な範囲にあるとの見方と、今後の政策金利の調整の程度と時期を見極める上で良い位置にあるとの見方の双方を確認した。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰に対して、金融政策はルックスルーすべきかを質した。パウエル議長は、関税引上げのケースではインフレ率への影響は一過性に止まったとしたほか、過剰反応は不適切としつつも、インフレ期待への影響を注視する姿勢を示した。また、今回のFOMCではいくつかのシナリオに基づく議論も行ったと説明した。
その上でパウエル議長は、前回(1月)にはインフレと雇用の双方のリスクの併存も議論されたが、現在は、1970年代のように2桁のインフレ率を伴うスタグフレーションとは状況が異なると説明した。
別の複数の記者が、FOMCメンバーのスタンスを質したのに対し、パウエル議長は、4~5名のメンバーは2026年中の利下げ予想を2回から1回に修正した一方、利下げを支持するメンバーは関税引上げの影響が年央には剥落するとの見方によると説明した。その上で、現在の政策金利は中立、ないしやや引締め的と評価し、その適否は各メンバーによるリスクバランスの評価に基づくとした。
このほか、別の複数の記者は生産性の上昇による意味合いや、 FOMCメンバーが中立金利や潜在成長率を上方修正した趣旨を質した。実際、今回のSEPは、既にみたように「長期」の経済成長率を上方修正したほか、「長期」の政策金利も3.1%へとわずかながら上方修正した。
パウエル議長は、生産性の上昇はAIの利用だけでなく、コロナ以降の(労働節約的な)動きを反映しているとの理解を示し、長期的には実質所得の拡大に繋がるとして歓迎する考えを示した。
一方で、AIの利用拡大は、短期的には(雇用の調整を伴うとしても)データセンターへの投資拡大等によって需要を押し上げ、物価上昇要因になりうるが、長い目で見て生産性の上昇を伴う総供給の増加が実現すれば、物価に対して中立的になりうるとの考えを示した。
パウエル議長は、エネルギー価格の高騰は物価上昇要因だが、経済全体への影響の把握は時期尚早とした上で、政策金利が中立金利の推計レンジの妥当な範囲にあるとの見方と、今後の政策金利の調整の程度と時期を見極める上で良い位置にあるとの見方の双方を確認した。
質疑応答では、複数の記者がエネルギー価格の高騰に対して、金融政策はルックスルーすべきかを質した。パウエル議長は、関税引上げのケースではインフレ率への影響は一過性に止まったとしたほか、過剰反応は不適切としつつも、インフレ期待への影響を注視する姿勢を示した。また、今回のFOMCではいくつかのシナリオに基づく議論も行ったと説明した。
その上でパウエル議長は、前回(1月)にはインフレと雇用の双方のリスクの併存も議論されたが、現在は、1970年代のように2桁のインフレ率を伴うスタグフレーションとは状況が異なると説明した。
別の複数の記者が、FOMCメンバーのスタンスを質したのに対し、パウエル議長は、4~5名のメンバーは2026年中の利下げ予想を2回から1回に修正した一方、利下げを支持するメンバーは関税引上げの影響が年央には剥落するとの見方によると説明した。その上で、現在の政策金利は中立、ないしやや引締め的と評価し、その適否は各メンバーによるリスクバランスの評価に基づくとした。
このほか、別の複数の記者は生産性の上昇による意味合いや、 FOMCメンバーが中立金利や潜在成長率を上方修正した趣旨を質した。実際、今回のSEPは、既にみたように「長期」の経済成長率を上方修正したほか、「長期」の政策金利も3.1%へとわずかながら上方修正した。
パウエル議長は、生産性の上昇はAIの利用だけでなく、コロナ以降の(労働節約的な)動きを反映しているとの理解を示し、長期的には実質所得の拡大に繋がるとして歓迎する考えを示した。
一方で、AIの利用拡大は、短期的には(雇用の調整を伴うとしても)データセンターへの投資拡大等によって需要を押し上げ、物価上昇要因になりうるが、長い目で見て生産性の上昇を伴う総供給の増加が実現すれば、物価に対して中立的になりうるとの考えを示した。
プロフィール
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井上 哲也のポートレート 井上 哲也
金融イノベーション研究部
内外金融市場の調査やこれに関わる政策の企画、邦銀国際部門のモニタリングなどを中心とする20年超に亘る中央銀行での執務経験と、国内外の当局や金融機関、研究機関、金融メディアに構築した人脈を活かして、中央銀行の政策対応(”central banking”)に関する議論に貢献。そのための場として「金融市場パネル」を運営し、議論の成果を内外の有識者と幅広く共有するほか、各種のメディアを通じた情報と意見の発信を行っている。2012年には、姉妹パネルとして「バンキングパネル」と「日中金融円卓会合」も立ち上げ、日本の経験を踏まえた商業銀行機能のあり方や中国への教訓といった領域へとカバレッジを広げている。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。