政府の経済見通しは民間見通しとほぼ一致
内閣府は12月25日に政府経済見通しを発表した。2024年度の実質GDP成長率は+0.4%と7月時点の+0.9%から大きく下方修正された一方、2025年度は+1.2%と、成長率を高める見通しとなった。
コロナ禍の影響で2020年度の実質GDP成長率は-3.9%の大幅マイナスとなった後、その反動で2021年度は+3.0%となった。しかしその後は、年度成長率は低下傾向を辿ったが、2025年度については4年ぶりに成長率が加速する見通しとなった。
政府は、2025年度に賃金上昇率が物価上昇率を上回り、個人消費が増加するとした。消費者物価上昇率の見通しは、2024年度の+2.5%から2025年度には+2.0%へと低下が予想されている。
2025年度の政府経済見通しは、民間予測機関の見通しと大きく違わない。日本経済センターが集計するESPフォーキャスト調査によると、12月16日時点で、2024年度の実質GDP成長率見通しの平均値は+0.4%、2025年度は+1.1%、消費者物価上昇率の見通しは2024年度+2.5%、2025年度+2.0%と政府見通しとほぼ同じである。
コロナ禍の影響で2020年度の実質GDP成長率は-3.9%の大幅マイナスとなった後、その反動で2021年度は+3.0%となった。しかしその後は、年度成長率は低下傾向を辿ったが、2025年度については4年ぶりに成長率が加速する見通しとなった。
政府は、2025年度に賃金上昇率が物価上昇率を上回り、個人消費が増加するとした。消費者物価上昇率の見通しは、2024年度の+2.5%から2025年度には+2.0%へと低下が予想されている。
2025年度の政府経済見通しは、民間予測機関の見通しと大きく違わない。日本経済センターが集計するESPフォーキャスト調査によると、12月16日時点で、2024年度の実質GDP成長率見通しの平均値は+0.4%、2025年度は+1.1%、消費者物価上昇率の見通しは2024年度+2.5%、2025年度+2.0%と政府見通しとほぼ同じである。
2025年度の日本経済は、米国経済・政策と為替動向に左右される
ただし、2025年度経済見通しについて内閣府は、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には、十分注意する必要がある」としている。海外経済の不確実性としては、米国トランプ次期政権の追加関税などの経済政策の影響と米国及び世界経済の動向、金融資本市場の変動等については、急速な円高などが最も重要だ。これらの影響によって輸出環境が大きく悪化すれば、2025年度の日本の成長率は2024年度を下回る可能性も出てくるだろう。
一方、2025年度のドル円レートについては1ドル153.6円と、2024年度の1ドル152.8円からほぼ横ばいを見通しの前提としている。しかし、現状の1ドル157円程度からさらに円安が進めば、物価上昇率も予想よりも高まり、その結果、物価高懸念による個人消費の低迷が、2025年度も続いてしまう可能性もある。
このように、2025年度の日本経済は、米国経済・政策と為替動向の2つによって大きく左右されるだろう。
一方、2025年度のドル円レートについては1ドル153.6円と、2024年度の1ドル152.8円からほぼ横ばいを見通しの前提としている。しかし、現状の1ドル157円程度からさらに円安が進めば、物価上昇率も予想よりも高まり、その結果、物価高懸念による個人消費の低迷が、2025年度も続いてしまう可能性もある。
このように、2025年度の日本経済は、米国経済・政策と為替動向の2つによって大きく左右されるだろう。
成長戦略、構造改革を通じた実質賃金の持続的上昇実現が重要に
政府の2025年度の経済財政運営の基本的態度には、「賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行を確実なものとしていく」と記述された。
2025年度に賃金上昇が物価上昇を上回り実質賃金が上昇に転じる可能性は高いだろう。また労働生産性上昇率がプラスである限り、実質賃金上昇率のトレンドがプラスである可能性が高い。
ただし、物価が大きく上昇するような局面であっても実質賃金が安定的に上昇を続けるためには、実質賃金上昇率のトレンドを決める労働生産性上昇率の水準が比較的高くなる必要がある。それを実現するためには、賃金、所得を直接引き上げる政策ではなく、成長戦略、構造改革を通じた経済の潜在力向上が必要となる。
「賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行」という政府の目標は、分かりづらい面もある。そもそも、賃金という「所得面」と投資という「需要面」を並べていることが適切ではないのではないか。
12月23日に、新しい地方経済・生活環境創生本部は、「地方創生2.0の起動に向けた提言」を石破首相に示した。この地方創生は単に地域経済の活性化にとどまらず、女性活躍、労働市場改革、働き方改革、東京一極集中是正なども含み、国全体の経済構造を変えることを目指す意欲的な取り組みだ。
石破政権には、是非、地方創生を中核に据えた成長戦略、構造改革を通じて、経済の潜在力を高め、実質賃金上昇率が先行き高まっていくとの期待を国民の間で高めるようにして欲しい。
(参考資料)
「政府経済見通し」、2024年12月25日、内閣府
2025年度に賃金上昇が物価上昇を上回り実質賃金が上昇に転じる可能性は高いだろう。また労働生産性上昇率がプラスである限り、実質賃金上昇率のトレンドがプラスである可能性が高い。
ただし、物価が大きく上昇するような局面であっても実質賃金が安定的に上昇を続けるためには、実質賃金上昇率のトレンドを決める労働生産性上昇率の水準が比較的高くなる必要がある。それを実現するためには、賃金、所得を直接引き上げる政策ではなく、成長戦略、構造改革を通じた経済の潜在力向上が必要となる。
「賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行」という政府の目標は、分かりづらい面もある。そもそも、賃金という「所得面」と投資という「需要面」を並べていることが適切ではないのではないか。
12月23日に、新しい地方経済・生活環境創生本部は、「地方創生2.0の起動に向けた提言」を石破首相に示した。この地方創生は単に地域経済の活性化にとどまらず、女性活躍、労働市場改革、働き方改革、東京一極集中是正なども含み、国全体の経済構造を変えることを目指す意欲的な取り組みだ。
石破政権には、是非、地方創生を中核に据えた成長戦略、構造改革を通じて、経済の潜在力を高め、実質賃金上昇率が先行き高まっていくとの期待を国民の間で高めるようにして欲しい。
(参考資料)
「政府経済見通し」、2024年12月25日、内閣府
プロフィール
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。