石破首相は13日に、夏の参院選で自民党が掲げる公約に、国民一律2万円の給付金と子ども・住民税非課税世帯へは2万円の加算を盛り込む考えを表明した。
総務省の人口統計によると、5月時点の人口総数は1億2,334万人である。全国民に一律2万円が給付される場合、その総額は2兆4,668.0億円と計算できる。
他方、国民生活基礎調査(令和3年国民生活基礎調査)によると、2021年の全世帯数に占める住民税非課税世帯の割合は23.7%だった。さらに2023年の全世帯数は5,445.2万であったことから、住民税非課税世帯数は1,290.5万と推定される。また、同調査によると、世帯の平均構成人数は2.23人である。それに基づくと、住民税非課税世帯の総人口は2,877.8万人となる。これらの人に2万円が給付されると、その合計は5,755.6億円となる。
総務省統計局『人口推計』によると、2023年の0歳から18歳までの子どもの数は1,851.3万人となる。ここから、住民税非課税世帯の子どもの数(全世帯数に占める住民税非課税世帯の割合は23.7%から算出)の推計値438.8万人を引くと1,412.5万人となる。彼らが一人当たり2万円の給付を受けるとすれば、その総額は2,825.0億円となる。
この3つを合計すると、3兆3,248.6億円となる。石破首相は、給付金の総額は3兆円台半ばになると説明している。
この給付金が実質および名目GDPを押し上げる効果は1年間で+0.14%、名目GDPの押し上げ額は8,594億円と試算される。3兆3,248.6億円の予算を投入してもGDPの押し上げ効果はその4分の1程度であり、経済効率の悪い政策のように見える。
しかし、現在必要な政策は、景気浮揚効果を発揮する経済対策ではなく、物価高によって生活が圧迫されている低所得層を支援する物価高対策だ。この点から、景気浮揚効果は大きくないことが、自民党が公約とするこの給付金制度の問題なのではなく、住民税非課税世帯など低所得層に絞った給付となっておらず、物価高のもとでも生活に余裕のある人にも給付金を渡す点が問題なのだ。その結果、この政策はバラマキ色が強い政策となってしまっている。
総務省の人口統計によると、5月時点の人口総数は1億2,334万人である。全国民に一律2万円が給付される場合、その総額は2兆4,668.0億円と計算できる。
他方、国民生活基礎調査(令和3年国民生活基礎調査)によると、2021年の全世帯数に占める住民税非課税世帯の割合は23.7%だった。さらに2023年の全世帯数は5,445.2万であったことから、住民税非課税世帯数は1,290.5万と推定される。また、同調査によると、世帯の平均構成人数は2.23人である。それに基づくと、住民税非課税世帯の総人口は2,877.8万人となる。これらの人に2万円が給付されると、その合計は5,755.6億円となる。
総務省統計局『人口推計』によると、2023年の0歳から18歳までの子どもの数は1,851.3万人となる。ここから、住民税非課税世帯の子どもの数(全世帯数に占める住民税非課税世帯の割合は23.7%から算出)の推計値438.8万人を引くと1,412.5万人となる。彼らが一人当たり2万円の給付を受けるとすれば、その総額は2,825.0億円となる。
この3つを合計すると、3兆3,248.6億円となる。石破首相は、給付金の総額は3兆円台半ばになると説明している。
この給付金が実質および名目GDPを押し上げる効果は1年間で+0.14%、名目GDPの押し上げ額は8,594億円と試算される。3兆3,248.6億円の予算を投入してもGDPの押し上げ効果はその4分の1程度であり、経済効率の悪い政策のように見える。
しかし、現在必要な政策は、景気浮揚効果を発揮する経済対策ではなく、物価高によって生活が圧迫されている低所得層を支援する物価高対策だ。この点から、景気浮揚効果は大きくないことが、自民党が公約とするこの給付金制度の問題なのではなく、住民税非課税世帯など低所得層に絞った給付となっておらず、物価高のもとでも生活に余裕のある人にも給付金を渡す点が問題なのだ。その結果、この政策はバラマキ色が強い政策となってしまっている。
図表 一律2万円と子ども・住民税非課税世帯の大人2万円上乗せ給付の経済効果


プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。