米連邦準備制度理事会(FRB)は26日に、ベージュブック(地区連銀経済報告)を発表した。12月9日・10日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の参考資料となる。
経済活動は前回の報告からほぼ横ばいだったが、雇用と個人消費の低調さは変わっていない。政府閉鎖が消費意欲にマイナスの影響を与えたとの指摘があった。さらに、連邦税額控除の失効に伴い電気自動車(EV)の販売が減少した。
個人消費は2極化傾向が続いており、株高に支えられた高額所得者の消費意欲がなお強いことが、高級品の小売支出の底堅さに表れている。
新規雇用の弱さは続いている。レイオフの発表は増加したものの、レイオフよりもむしろ新規雇用の凍結、補充のみの採用、自然減などを通じて雇用者数を抑制しているとの報告が、より多くの地区からされた。さらに、雇用者数ではなく労働時間を調整する企業も見られた。一部の企業は、AIによって、既存の従業員の生産性が向上したため新規採用を抑制した、と報告している。
製造業活動は大半の地区でやや増加したが、関税とその不確実性は依然として逆風となっている。製造業と小売業では、主に関税導入によるコスト上昇を背景に、投入コストの上昇圧力が広く見られている。ただし関税あるいはその他の投入コスト上昇の価格転嫁の動きは、製品の競争力、消費者の価格への感度などによってまちまちである。価格転嫁が進まず、利益が圧迫された企業もある。
ベージュブックとは別に発表された9月の小売売上高、11月の消費者信頼感指数は、予想外に下振れた。9月の小売売上高は前月比+0.2%と事前予想を下回った。また、コンファレンス・ボードがまとめた11月の消費者信頼感指数も88.7と前月の95.5から大きく低下した。これは、トランプ政権が相互関税の発動を発表し、金融市場が動揺した今年4月以来の低水準であり、過去5年で2番目に低い水準となった。
物価高に加えて、雇用の先行きと住宅費の高騰への懸念が、家計の景況感と消費意欲に悪影響をもたらしている。また消費の二極化も続いており、住宅費、食費、医療費の上昇から低所得層の生活は圧迫される一方、株高の恩恵を受ける富裕層の消費活動が底堅い。
これらの指標は、米国経済はなお成長を維持しているものの、雇用と個人消費の低迷が続いていることを示している。他方で、個人消費の弱さを背景に関税による投入価格上昇は緩やかにしか消費者物価に転嫁されず、企業の収益を圧迫している。
12月9日・10日に開かれるFOMCでの利下げの有無については見方が分かれるところだが、雇用、消費の低迷が続く一方で物価上昇率が高まる余地が限定的であることから、来年にかけてFRBの利下げ余地はなお残ると考えられる。
経済活動は前回の報告からほぼ横ばいだったが、雇用と個人消費の低調さは変わっていない。政府閉鎖が消費意欲にマイナスの影響を与えたとの指摘があった。さらに、連邦税額控除の失効に伴い電気自動車(EV)の販売が減少した。
個人消費は2極化傾向が続いており、株高に支えられた高額所得者の消費意欲がなお強いことが、高級品の小売支出の底堅さに表れている。
新規雇用の弱さは続いている。レイオフの発表は増加したものの、レイオフよりもむしろ新規雇用の凍結、補充のみの採用、自然減などを通じて雇用者数を抑制しているとの報告が、より多くの地区からされた。さらに、雇用者数ではなく労働時間を調整する企業も見られた。一部の企業は、AIによって、既存の従業員の生産性が向上したため新規採用を抑制した、と報告している。
製造業活動は大半の地区でやや増加したが、関税とその不確実性は依然として逆風となっている。製造業と小売業では、主に関税導入によるコスト上昇を背景に、投入コストの上昇圧力が広く見られている。ただし関税あるいはその他の投入コスト上昇の価格転嫁の動きは、製品の競争力、消費者の価格への感度などによってまちまちである。価格転嫁が進まず、利益が圧迫された企業もある。
ベージュブックとは別に発表された9月の小売売上高、11月の消費者信頼感指数は、予想外に下振れた。9月の小売売上高は前月比+0.2%と事前予想を下回った。また、コンファレンス・ボードがまとめた11月の消費者信頼感指数も88.7と前月の95.5から大きく低下した。これは、トランプ政権が相互関税の発動を発表し、金融市場が動揺した今年4月以来の低水準であり、過去5年で2番目に低い水準となった。
物価高に加えて、雇用の先行きと住宅費の高騰への懸念が、家計の景況感と消費意欲に悪影響をもたらしている。また消費の二極化も続いており、住宅費、食費、医療費の上昇から低所得層の生活は圧迫される一方、株高の恩恵を受ける富裕層の消費活動が底堅い。
これらの指標は、米国経済はなお成長を維持しているものの、雇用と個人消費の低迷が続いていることを示している。他方で、個人消費の弱さを背景に関税による投入価格上昇は緩やかにしか消費者物価に転嫁されず、企業の収益を圧迫している。
12月9日・10日に開かれるFOMCでの利下げの有無については見方が分かれるところだが、雇用、消費の低迷が続く一方で物価上昇率が高まる余地が限定的であることから、来年にかけてFRBの利下げ余地はなお残ると考えられる。
プロフィール
-
木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。