年末商戦のスタートは強弱入り混じるミックスの状態
米国は11月28日(金)に感謝祭翌日の「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」を迎え、年末商戦が始まった。年末商戦のスタートは、強弱入り混じるミックスの状態となった模様だ。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーの小売売上高(自動車を除く)は前年比+4.1%増加した。低温や値引きを追い風にして、衣料品の売上高が前年比+5.7%増加して、全体をけん引した。さらに、電子商取引の売上高は+10%以上増加した。
全米小売業協会(NRF)は11~12月の年末商戦期間中の売上高が前年から+3.7%~+4.2%増えると予測する。昨年の+4.3%は下回るものの、初めて1兆ドル台に達する見通しだ。
他方、セールスフォースのデータによると、米国でのブラックフライデーの売上高は180億ドル、前年同期比+3%となった。しかし買い物客が購入した商品数は2%減少し、価格の上昇を除けば、実質の売上高はマイナスになった模様だ。
以前より指摘されているように、米国の消費は2極化が進んでいる。株高を背景に高所得層による高額品消費は堅調である一方、物価高などの影響を受ける中低所得層の消費は低調である。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーの小売売上高(自動車を除く)は前年比+4.1%増加した。低温や値引きを追い風にして、衣料品の売上高が前年比+5.7%増加して、全体をけん引した。さらに、電子商取引の売上高は+10%以上増加した。
全米小売業協会(NRF)は11~12月の年末商戦期間中の売上高が前年から+3.7%~+4.2%増えると予測する。昨年の+4.3%は下回るものの、初めて1兆ドル台に達する見通しだ。
他方、セールスフォースのデータによると、米国でのブラックフライデーの売上高は180億ドル、前年同期比+3%となった。しかし買い物客が購入した商品数は2%減少し、価格の上昇を除けば、実質の売上高はマイナスになった模様だ。
以前より指摘されているように、米国の消費は2極化が進んでいる。株高を背景に高所得層による高額品消費は堅調である一方、物価高などの影響を受ける中低所得層の消費は低調である。
際立つZ世代の節約志向
中低所得層の消費の低調と重なるが、米国で目立っているのは、10代から20代後半までの「Z世代」の節約志向だ。米国の成人4,200人以上を対象としたデロイトの調査によると、Z世代の買い物客は、ホリデーシーズンの支出を平均34%削減する見込みと回答している。45~60歳で収入のピーク期にあるX世代の消費者以外の世代は、支出を削減すると回答しているが、削減幅はZ世代が最も大きかった。
また、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査では、Z世代は年末商戦での贈り物への支出を減らすだけでなく、旅行、外食、衣料品の購入も控える考えであることが分かったという。
Z世代の間に節約志向が広まっている経済的背景には、主に4点が考えられる。第1は関税の影響もあり、物価が上昇していることだ。食料など生活必需品への支出は削減することが難しいことから、その他の支出を抑制する。第2は、家賃上昇による住宅費の上昇が生活を圧迫していることだ。第3に、金利の上昇を受けて学生ローン費用が上昇していることがある。そして第4は、企業の新卒採用の抑制によって、学生の職探しが難しくなっていることがある。
PwCによれば、Z世代の消費は、米国の小売支出の約8%を占めているが、5年以内には約20%まで成長すると予想されている。こうした若い消費者はソーシャルメディアでの影響力において優れており、流行を作り上げていく力がある。
そうしたZ世代の節約傾向が長期化する場合には、米国の小売業にとって大きな損失となる可能性があるだろう。
(参考資料)
“Gen Z Shoppers Aren’t Spending Like Retailers Need Them To(米のZ世代、ホリデーシーズンの支出削減)”, Wall Street Journal, December 1, 2025
「米年末商戦 本格化 高所得層 消費堅調」、2025年11月30日、東京読売新聞
「富裕層が消費けん引、米ブラックフライデー、「予算1日90万円」の客も」、2025年11月30日、日本経済新聞
また、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査では、Z世代は年末商戦での贈り物への支出を減らすだけでなく、旅行、外食、衣料品の購入も控える考えであることが分かったという。
Z世代の間に節約志向が広まっている経済的背景には、主に4点が考えられる。第1は関税の影響もあり、物価が上昇していることだ。食料など生活必需品への支出は削減することが難しいことから、その他の支出を抑制する。第2は、家賃上昇による住宅費の上昇が生活を圧迫していることだ。第3に、金利の上昇を受けて学生ローン費用が上昇していることがある。そして第4は、企業の新卒採用の抑制によって、学生の職探しが難しくなっていることがある。
PwCによれば、Z世代の消費は、米国の小売支出の約8%を占めているが、5年以内には約20%まで成長すると予想されている。こうした若い消費者はソーシャルメディアでの影響力において優れており、流行を作り上げていく力がある。
そうしたZ世代の節約傾向が長期化する場合には、米国の小売業にとって大きな損失となる可能性があるだろう。
(参考資料)
“Gen Z Shoppers Aren’t Spending Like Retailers Need Them To(米のZ世代、ホリデーシーズンの支出削減)”, Wall Street Journal, December 1, 2025
「米年末商戦 本格化 高所得層 消費堅調」、2025年11月30日、東京読売新聞
「富裕層が消費けん引、米ブラックフライデー、「予算1日90万円」の客も」、2025年11月30日、日本経済新聞
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。