政策綱領が大きな注目点に
立憲民主党と公明党は1月16日に、新党の名称を「中道改革連合」とすることを正式に発表した。中道路線を前面に打ち出し、保守化、右傾化が目立つ高市政権との対立軸を明確にして中道勢力あるいは中道左派勢力の集結を目指す。
公明党はリベラル(左派)寄りの政策を掲げながらも、約26年間自民党と連立を組んでいたことから、現実路線も受け入れてきた。そうした公明党の現実路線に合わせる方向で、立憲民主党も中道寄りに政策をシフトさせ、将来の政権を担う勢力となることを目指す。立憲民主党の野田代表は、立憲民主党の中でも左派色が強くなく、中道左派であったことが、新党設立を可能にした。
新党には両党の衆院議員が参加するが、すべて新党に合流すれば、立憲民主党の148人、公明24人の計172人となる。他方、自民党と日本維新の会の与党の議席は233だ。
公明党の斎藤代表は、引退する者を除けば公明党のすべての衆院議員が新党に加わる見通しと語っている。他方、立憲民主党の左派からは、新党に加わらない者が一定程度出てくる可能性があるだろう。そうした行動に大きな影響を与えるのが、近日中に示される政策綱領だ。読売新聞によれば、政策綱領原案の要旨は以下の通りだ。
▽私たちの掲げる理念は、「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」である。
▽国民の利益と幸福に奉仕する国民政党として、国民が求める改革を主導する基軸となることを目指す。
【第1の柱】一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換
【第2の柱】現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築
【第3の柱】選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現
【第4の柱】現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化
憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、日米同盟と平和外交を軸とした、国民の平和と安全を守る現実的な外交・防衛政策を進める。
【第5の柱】不断の政治改革と選挙制度改革
政治への信頼を回復するため、政治資金の透明化を断行し、民意が正しく反映される選挙制度改革など、政治改革に取り組む。
公明党はリベラル(左派)寄りの政策を掲げながらも、約26年間自民党と連立を組んでいたことから、現実路線も受け入れてきた。そうした公明党の現実路線に合わせる方向で、立憲民主党も中道寄りに政策をシフトさせ、将来の政権を担う勢力となることを目指す。立憲民主党の野田代表は、立憲民主党の中でも左派色が強くなく、中道左派であったことが、新党設立を可能にした。
新党には両党の衆院議員が参加するが、すべて新党に合流すれば、立憲民主党の148人、公明24人の計172人となる。他方、自民党と日本維新の会の与党の議席は233だ。
公明党の斎藤代表は、引退する者を除けば公明党のすべての衆院議員が新党に加わる見通しと語っている。他方、立憲民主党の左派からは、新党に加わらない者が一定程度出てくる可能性があるだろう。そうした行動に大きな影響を与えるのが、近日中に示される政策綱領だ。読売新聞によれば、政策綱領原案の要旨は以下の通りだ。
▽私たちの掲げる理念は、「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」である。
▽国民の利益と幸福に奉仕する国民政党として、国民が求める改革を主導する基軸となることを目指す。
【第1の柱】一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換
【第2の柱】現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築
【第3の柱】選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現
【第4の柱】現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化
憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、日米同盟と平和外交を軸とした、国民の平和と安全を守る現実的な外交・防衛政策を進める。
【第5の柱】不断の政治改革と選挙制度改革
政治への信頼を回復するため、政治資金の透明化を断行し、民意が正しく反映される選挙制度改革など、政治改革に取り組む。
立憲民主党がどの程度現実路線を受け入れるか
政策綱領原案の要旨の内容は依然として抽象的であり曖昧だ。最大の注目点は、安全保障政策、原発政策で、立憲民主党がどの程度現実路線を受け入れるかである。与党は、GDP比2%を超えて防衛費をさらに積み増すことを視野に、安全保障関連3文書の改訂を進め、また、防衛装備品の輸出規制の緩和を目指す。また与党内では、非核3原則の見直しや戦力の不保持を明記する憲法9条2項の削除、集団的自衛権の全面容認なども議論されている。
これに対して、立憲民主党は集団的自衛権の一部容認などを受け入れ、新党の政策綱領に盛り込む可能性がある。また、立憲民主党が掲げてきた「原発ゼロ」の方針を、新党の政策綱領には明示しない方向で調整が進められている。将来の政権政党を目指して現実路線を受け入れる一方、高市政権との違いを明示する方向で、今後政策綱領づくりを進めていくだろう。
経済政策について野田代表は、消費税減税の方針を政策綱領に盛り込む考えを示した。一方、その財源は確保するとし、高市政権の積極財政とは一線を画す方針を示している。
昨年の参院選で、立憲民主党は2年間の食料品の消費税廃止を公約に掲げた。新党の政策綱領に含まれるのが、2年間の食料品の消費税廃止なのか恒久的な措置なのかは明らかではない。恒久減税となれば約5兆円の税収減となることから、その財源を赤字国債以外で賄うのはかなり難しいのではないか。その場合、高市政権の積極財政との対立軸を不明確にさせてしまう恐れもある。
これに対して、立憲民主党は集団的自衛権の一部容認などを受け入れ、新党の政策綱領に盛り込む可能性がある。また、立憲民主党が掲げてきた「原発ゼロ」の方針を、新党の政策綱領には明示しない方向で調整が進められている。将来の政権政党を目指して現実路線を受け入れる一方、高市政権との違いを明示する方向で、今後政策綱領づくりを進めていくだろう。
経済政策について野田代表は、消費税減税の方針を政策綱領に盛り込む考えを示した。一方、その財源は確保するとし、高市政権の積極財政とは一線を画す方針を示している。
昨年の参院選で、立憲民主党は2年間の食料品の消費税廃止を公約に掲げた。新党の政策綱領に含まれるのが、2年間の食料品の消費税廃止なのか恒久的な措置なのかは明らかではない。恒久減税となれば約5兆円の税収減となることから、その財源を赤字国債以外で賄うのはかなり難しいのではないか。その場合、高市政権の積極財政との対立軸を不明確にさせてしまう恐れもある。
中道路線がどの程度国民に受け入れられるかが選挙の大きな注目点に
いずれにせよ、新党の政策綱領で立憲民主党の政策方針を中道方向に大きく軌道修正すれば、左派の中から新党に加わらない者が一定数出てくることは避けられないのではないか。その数が多くなれば、新党は結成直後から求心力を落としてしまう可能性もある。
衆院選挙までの準備期間が短いことを踏まえれば、新党が大きく議席数を伸ばして躍進することを期待するのは難しいかもしれない。しかし、選挙戦を通じて新党が中道路線の政策方針を有権者に丁寧に説明し、一定の共感を得ることができれば、自民党も含め、選挙後に新党に加わる動きが広がる可能性がある。それは政治の構図を大きく変えることにつながるのではないか。
他方、中道改革連合に自民党も含めて人が流れていくことを回避するために、高市政権が安全保障政策における保守性や積極財政政策などを修正するといった影響を生じさせることも考えられる。
今回の衆院選は、自民党と日本維新の会の連立や積極財政など高市政権の政策について国民の信を問うことが大義となるが、新党・中道改革連合が打ち出す中道路線が、どの程度国民に受け入れられるかについても、大きな注目点となってきた。
(参考資料)
「立公新党『中道改革連合』」、「新党結成効果疑問視」、2026年1月17日、読売新聞
「新党『食品消費税率ゼロ』」、「政権右旋回、立公走らす」、2026年1月17日、日本経済新聞
衆院選挙までの準備期間が短いことを踏まえれば、新党が大きく議席数を伸ばして躍進することを期待するのは難しいかもしれない。しかし、選挙戦を通じて新党が中道路線の政策方針を有権者に丁寧に説明し、一定の共感を得ることができれば、自民党も含め、選挙後に新党に加わる動きが広がる可能性がある。それは政治の構図を大きく変えることにつながるのではないか。
他方、中道改革連合に自民党も含めて人が流れていくことを回避するために、高市政権が安全保障政策における保守性や積極財政政策などを修正するといった影響を生じさせることも考えられる。
今回の衆院選は、自民党と日本維新の会の連立や積極財政など高市政権の政策について国民の信を問うことが大義となるが、新党・中道改革連合が打ち出す中道路線が、どの程度国民に受け入れられるかについても、大きな注目点となってきた。
(参考資料)
「立公新党『中道改革連合』」、「新党結成効果疑問視」、2026年1月17日、読売新聞
「新党『食品消費税率ゼロ』」、「政権右旋回、立公走らす」、2026年1月17日、日本経済新聞
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。