欧州8か国に2月から10%の関税、6月には25%に
トランプ米大統領は、自らが目指すデンマーク自治領グリーンランドの取得に反対するデンマークや英国、ドイツ、フランスなど欧州8か国からのすべての輸入品に、2月1日から10%の関税を課す考えを発表した。
6月1日からは関税率を25%に引き上げ、グリーンランド購入に関する合意に達するまで関税を続けるとしている。現在、トランプ政権は、欧州連合(EU)諸国に15%の相互関税を課しているが、それに上乗せする考えとみられる。
デンマーク政府は14日に、グリーンランドやその周辺に展開する部隊を増強することを明らかにした。さらに他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国もそれに連携し、フランスはグリーンランドに仏軍を派遣するほか、スウェーデンも自国軍の将校らを送る計画を表明した。ドイツやノルウェーの軍関係者も加わる。
こうした動きは、グリーンランドが中国、ロシアの軍事的脅威にさらされているというトランプ大統領の主張を受け入れた、グリーンランドの防衛力強化策のようにも見える。しかし実際には、グリーンランドの取得に軍事力行使も辞さない強硬姿勢を見せるトランプ政権をけん制する狙いがある。それに反発したトランプ大統領は、欧州各国への関税策を発表したのである。
6月1日からは関税率を25%に引き上げ、グリーンランド購入に関する合意に達するまで関税を続けるとしている。現在、トランプ政権は、欧州連合(EU)諸国に15%の相互関税を課しているが、それに上乗せする考えとみられる。
デンマーク政府は14日に、グリーンランドやその周辺に展開する部隊を増強することを明らかにした。さらに他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国もそれに連携し、フランスはグリーンランドに仏軍を派遣するほか、スウェーデンも自国軍の将校らを送る計画を表明した。ドイツやノルウェーの軍関係者も加わる。
こうした動きは、グリーンランドが中国、ロシアの軍事的脅威にさらされているというトランプ大統領の主張を受け入れた、グリーンランドの防衛力強化策のようにも見える。しかし実際には、グリーンランドの取得に軍事力行使も辞さない強硬姿勢を見せるトランプ政権をけん制する狙いがある。それに反発したトランプ大統領は、欧州各国への関税策を発表したのである。
関税は脅しで終わる可能性も
ただし、欧州各国に対する関税が実際に発動されるかは不透明であり、脅しの域を出ていない可能性もある。関税は米国経済を損ね、国民からの批判も高まっていることを踏まえて、トランプ政権は既に関税策を縮小する方向にあると考えられる。
さらに、早ければ20日にも、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税の合法性を巡る米最高裁の判断が示される。違法判決となる可能性も十分に考えられる。
欧州各国に対する今回の関税について、トランプ大統領はその根拠となる法律を示していない。その対象が広範囲に渡ることから、事前調査が求められる通商法232条、301条などに基づいて2月1日から関税を課すことは難しいと考えられる。その場合、IEEPAに基づく関税となるだろうが、それは早ければ20日にも違法となる可能性がある。
このような点を踏まえると、欧州各国に対する関税が、トランプ大統領が示すスケジュール通りに実行される可能性は高くないと思われる。しかし仮に実施される事態に至れば、世界経済にとっては打撃となり、世界の金融市場を動揺させることになるのではないか。
トランプ大統領は、米国によるグリーンランド取得の試みは、150年前から始めたものと主張する。実際、米国は1867年頃、アラスカ購入直後にグリーンランドの取得も検討している。また1946年にはトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランドを購入する提案を正式に行ったが、デンマークは拒否した。グリーンランド取得の試みが歴史的なものであるからと言って、それが正当化されるものではない。
いずれにせよ、軍事力と関税を武器にして、グリーンランド取得に動くトランプ政権の政策手法は強く非難されるべきだろう。
(参考資料)
「米、欧州8カ国に10%関税―グリーンランド巡り圧力」、2026年1月18日、共同通信ニュース
さらに、早ければ20日にも、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税の合法性を巡る米最高裁の判断が示される。違法判決となる可能性も十分に考えられる。
欧州各国に対する今回の関税について、トランプ大統領はその根拠となる法律を示していない。その対象が広範囲に渡ることから、事前調査が求められる通商法232条、301条などに基づいて2月1日から関税を課すことは難しいと考えられる。その場合、IEEPAに基づく関税となるだろうが、それは早ければ20日にも違法となる可能性がある。
このような点を踏まえると、欧州各国に対する関税が、トランプ大統領が示すスケジュール通りに実行される可能性は高くないと思われる。しかし仮に実施される事態に至れば、世界経済にとっては打撃となり、世界の金融市場を動揺させることになるのではないか。
トランプ大統領は、米国によるグリーンランド取得の試みは、150年前から始めたものと主張する。実際、米国は1867年頃、アラスカ購入直後にグリーンランドの取得も検討している。また1946年にはトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランドを購入する提案を正式に行ったが、デンマークは拒否した。グリーンランド取得の試みが歴史的なものであるからと言って、それが正当化されるものではない。
いずれにせよ、軍事力と関税を武器にして、グリーンランド取得に動くトランプ政権の政策手法は強く非難されるべきだろう。
(参考資料)
「米、欧州8カ国に10%関税―グリーンランド巡り圧力」、2026年1月18日、共同通信ニュース
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。