先行きの利下げ期待はやや後退
米連邦準備制度理事会(FRB)は1月27、28日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.50%~3.75%に据え置くことを決めた。FRBは昨年9月から12月にかけて3会合連続で、それぞれ0.25%ポイントの利下げを決定していた。
政策金利の据え置きに反対して0.25%の利下げを主張したFOMCのメンバーは、ウォラー理事とミラン理事の2人だった。
FOMCは前回の声明文に盛り込まれていた「雇用に対する下振れリスクがここ数か月間で高まったと判断する」との文言を削除し、雇用の判断を引き上げた。パウエル議長も記者会見で、「経済はその力強さで再びわれわれを驚かせた」と述べている。
他方、昨年12月の前回会合以降に「インフレの上振れリスクと雇用の下振れリスクは減少した」と述べ、双方のリスクが低下したとの考えを示した。そのうえで、「われわれの政策は良い位置にあると思う」と語り、金融政策が様子見をできる環境にあることを示唆した。
政策金利の据え置きは予想されていたことだが、声明文とパウエル議長の記者会見での発言を受け、金融市場の先行きの利下げ観測はやや後退した。次回3月のFOMCでの利下げ見通しは少なく、市場のコンセンサスは6月の利下げとなっている。
一方でパウエル議長は、FRBが今後利上げに踏み切る可能性があるとの見方を否定し、「現時点で、次の政策変更が利上げになるというのは誰の基本シナリオでもない」と述べた。さらに利下げ方向が志向されていることを裏付けるものだ。
政策金利の据え置きに反対して0.25%の利下げを主張したFOMCのメンバーは、ウォラー理事とミラン理事の2人だった。
FOMCは前回の声明文に盛り込まれていた「雇用に対する下振れリスクがここ数か月間で高まったと判断する」との文言を削除し、雇用の判断を引き上げた。パウエル議長も記者会見で、「経済はその力強さで再びわれわれを驚かせた」と述べている。
他方、昨年12月の前回会合以降に「インフレの上振れリスクと雇用の下振れリスクは減少した」と述べ、双方のリスクが低下したとの考えを示した。そのうえで、「われわれの政策は良い位置にあると思う」と語り、金融政策が様子見をできる環境にあることを示唆した。
政策金利の据え置きは予想されていたことだが、声明文とパウエル議長の記者会見での発言を受け、金融市場の先行きの利下げ観測はやや後退した。次回3月のFOMCでの利下げ見通しは少なく、市場のコンセンサスは6月の利下げとなっている。
一方でパウエル議長は、FRBが今後利上げに踏み切る可能性があるとの見方を否定し、「現時点で、次の政策変更が利上げになるというのは誰の基本シナリオでもない」と述べた。さらに利下げ方向が志向されていることを裏付けるものだ。
政治的圧力で利下げが促される可能性も
パウエル議長に対して、トランプ大統領は利下げと辞任を度々要求してきた。また、連邦検察はFRB本部の改修工事をめぐりパウエル議長に対して刑事捜査を始めている。そして近いうちに、5月に退任するパウエル議長に代わる利下げ推進派が後任に指名される可能性が高い。
このように、トランプ政権によるFRBへの政治介入はさらに強まる方向にある。こうした政治的要因が、金融市場が想定しているよりもFRBの利下げを促す可能性を考えておく必要があるだろう。それはドル安要因となる。
このように、トランプ政権によるFRBへの政治介入はさらに強まる方向にある。こうした政治的要因が、金融市場が想定しているよりもFRBの利下げを促す可能性を考えておく必要があるだろう。それはドル安要因となる。
パウエル議長は日本の長期金利上昇を「他山の石」に
記者会見では、日本の国債市場での最近の波乱を巡り、米国もいずれ似たような状況に陥ると懸念しているか、との質問が出た。これに対してパウエル議長は、「日本の国債市場で見られた最近の金利上昇は、主に日本の財政や長期的な経済見通しが背景だと理解している」と述べた。
さらに米国については、「米連邦財政赤字はご存じの通り、持続不能な軌道にあることは間違いない」と語った。また、「この問題は対処を余儀なくされるものであり、最終的に困難な状況に陥る可能性がある」と発言した。
日本の財政悪化懸念と長期金利上昇をパウエル議長が注視しており、「他山の石」と考えていることを示す問答となった。
さらに米国については、「米連邦財政赤字はご存じの通り、持続不能な軌道にあることは間違いない」と語った。また、「この問題は対処を余儀なくされるものであり、最終的に困難な状況に陥る可能性がある」と発言した。
日本の財政悪化懸念と長期金利上昇をパウエル議長が注視しており、「他山の石」と考えていることを示す問答となった。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。