1月29日の読売新聞、日本経済新聞は、衆院選序盤情勢の調査を踏まえて、自民党は単独で過半数の233議席を獲得する勢い、と報じている。序盤の情勢判断であるとはいえ、今回の衆院選は超短期決戦であることを踏まえれば、最終的な選挙結果と大きく違わないことも想定される。
自民党は日本維新の会と合わせた与党で過半数の議席獲得を勝敗ラインと設定し、高市首相もそれを実現できなければ辞任すると説明している。実際には、与党で過半数ではなく、自民単独で過半数の議席を獲得する可能性が高まっているとみられる。自民党敗北の可能性は小さくなり、次の焦点は与党が安定多数の243議席、あるいは絶対安定多数の261議席を獲得することができるか、に移っている感がある。
自民党が勝利すれば、「責任ある積極財政」など、高市政権の政策が国民からの信認を得た形となり、それが一層進められる可能性が出てくる。それは、「円安」「株高」「債券安」の「高市トレード」がさらに進むことになると予想される。
しかしながら、1月29日の衆院選序盤情勢の調査結果を受けても、金融市場では「高市トレード」がさらに進むことにはなっていない。10年国債利回りはほぼ前日比僅かな上昇にとどまる一方、より財政リスクは反映しやすい30年、40年など超長期の国債利回りは明確に低下している。為替市場も対ドルでやや円高に振れた。
こうした金融市場の反応は、自民党が選挙に勝っても高市政権の積極財政は一段と強化される訳ではない、という認識を反映しているのではないか。
その背景には、日本での長期金利上昇が世界の金融市場のリスクとして注目を集めたこと、米政府が1月23日に米国市場でドル高・円安をけん制する口先介入(レートチェック)を実施したと見られるのは、円安を後押しする日本の積極財政政策に対するけん制の意味もあった可能性があることなどがあるだろう。
こうした状況を踏まえて、金融市場では、自民党が衆院選で勝利しても、高市政権は金融市場や米国政府に配慮して、積極財政姿勢を強化できない、むしろ後退させるとの見方を強めているのではないか。
実際、世界を巻き込む金融市場の動きに対して、高市政権内では懸念を強める向きが増えていると推察され、それが高市首相の政策を制約するのではないか。
有権者は「責任ある積極財政」を含む高市首相の政策を支持するとしても、金融市場はそれに「NO」と言っている。有権者の判断と金融市場の判断とは異なるのである。そして、その金融市場の判断は、政府の政策に大きな影響を与え得る。
自民党は日本維新の会と合わせた与党で過半数の議席獲得を勝敗ラインと設定し、高市首相もそれを実現できなければ辞任すると説明している。実際には、与党で過半数ではなく、自民単独で過半数の議席を獲得する可能性が高まっているとみられる。自民党敗北の可能性は小さくなり、次の焦点は与党が安定多数の243議席、あるいは絶対安定多数の261議席を獲得することができるか、に移っている感がある。
自民党が勝利すれば、「責任ある積極財政」など、高市政権の政策が国民からの信認を得た形となり、それが一層進められる可能性が出てくる。それは、「円安」「株高」「債券安」の「高市トレード」がさらに進むことになると予想される。
しかしながら、1月29日の衆院選序盤情勢の調査結果を受けても、金融市場では「高市トレード」がさらに進むことにはなっていない。10年国債利回りはほぼ前日比僅かな上昇にとどまる一方、より財政リスクは反映しやすい30年、40年など超長期の国債利回りは明確に低下している。為替市場も対ドルでやや円高に振れた。
こうした金融市場の反応は、自民党が選挙に勝っても高市政権の積極財政は一段と強化される訳ではない、という認識を反映しているのではないか。
その背景には、日本での長期金利上昇が世界の金融市場のリスクとして注目を集めたこと、米政府が1月23日に米国市場でドル高・円安をけん制する口先介入(レートチェック)を実施したと見られるのは、円安を後押しする日本の積極財政政策に対するけん制の意味もあった可能性があることなどがあるだろう。
こうした状況を踏まえて、金融市場では、自民党が衆院選で勝利しても、高市政権は金融市場や米国政府に配慮して、積極財政姿勢を強化できない、むしろ後退させるとの見方を強めているのではないか。
実際、世界を巻き込む金融市場の動きに対して、高市政権内では懸念を強める向きが増えていると推察され、それが高市首相の政策を制約するのではないか。
有権者は「責任ある積極財政」を含む高市首相の政策を支持するとしても、金融市場はそれに「NO」と言っている。有権者の判断と金融市場の判断とは異なるのである。そして、その金融市場の判断は、政府の政策に大きな影響を与え得る。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。