対米投資計画の第2号案件が公表へ
19日に開かれる日米首脳会談で日本側は、両国の経済面での協力関係を最大限アピールすることで、ホルムズ海峡への艦船派遣などを求めるトランプ大統領の要請をかわすことを狙っているようにも見える。
ワシントンで19日に開く日米首脳会談に合わせて、対米投資計画の第2号案件が共同文書として公表される予定だ。第2号案件には次世代原発の小型モジュール炉(SMR)を建設する案件、ガス火力発電を2か所設ける案件が盛り込まれる見込みだ。
2月には対米投資計画の第1号案件として、ガス火力発電と原油積み出し港の整備、人工ダイヤモンド関連のプロジェクトが決定された。その合計は計360億ドル(約5.5兆円)であった。第2号案件は10兆円規模になる見込みとされる。
第1号案件に続いて、第2号案件についても、日本側が求めてきた日本の経済安全保障政策に資するものとは言えない。あくまで米国主導のプロジェクトであり、米国の利益にはなっても、経済安全保障政策の観点からの日本側のメリットは見えない。また、関与を求められる日本企業や日本の政府系金融機関、民間金融機関は相応にリスクを負う可能性があるのではないか。
日米首脳会談で高市首相には、対米投資計画を両国の利益になるものへと修正することを、トランプ大統領に求めて欲しい。
ワシントンで19日に開く日米首脳会談に合わせて、対米投資計画の第2号案件が共同文書として公表される予定だ。第2号案件には次世代原発の小型モジュール炉(SMR)を建設する案件、ガス火力発電を2か所設ける案件が盛り込まれる見込みだ。
2月には対米投資計画の第1号案件として、ガス火力発電と原油積み出し港の整備、人工ダイヤモンド関連のプロジェクトが決定された。その合計は計360億ドル(約5.5兆円)であった。第2号案件は10兆円規模になる見込みとされる。
第1号案件に続いて、第2号案件についても、日本側が求めてきた日本の経済安全保障政策に資するものとは言えない。あくまで米国主導のプロジェクトであり、米国の利益にはなっても、経済安全保障政策の観点からの日本側のメリットは見えない。また、関与を求められる日本企業や日本の政府系金融機関、民間金融機関は相応にリスクを負う可能性があるのではないか。
日米首脳会談で高市首相には、対米投資計画を両国の利益になるものへと修正することを、トランプ大統領に求めて欲しい。
アラスカなどでの原油増産や日米共同備蓄も議論
日米首脳会談に合わせて、最大730億ドル(約11.5兆円)のエネルギー分野への対米投資に関する共同文書が発表される予定だ。その中に、対米投資計画の第2号案件が盛り込まれると見られるが、それ以外にもレアアース(希土類)やリチウム、銅の共同開発での合意も含まれるとされる。
レアアースの日米共同開発は、同分野での中国依存度を低下させ、日本の経済安全保障政策の強化につながるものだ。
さらに、日本向けのアラスカなどでの原油増産や日米共同備蓄を念頭に置いた米国での油田開発などの検討も盛り込まれるとされる。そしてこれらは、対米投資計画の第3号案件の候補となる見込みだ。
アラスカなどでの原油増産については、日本企業が投資をすることで増産につなげ、その増産分を前倒しで日本が購入する形となることを、日本は望んでいるのではないか。アラスカには、大型タンカーが直接入れる港が限られることや、直ぐに確保できる原油の量が限られるなどの課題はあるが、米国本土よりも短い日数で日本に輸入できるといったメリットもある(輸送はアラスカ ⇒ 日本が約12日、米国本土 ⇒ 日本が約20日、中東 ⇒ 日本が約22日)。
レアアースの日米共同開発は、同分野での中国依存度を低下させ、日本の経済安全保障政策の強化につながるものだ。
さらに、日本向けのアラスカなどでの原油増産や日米共同備蓄を念頭に置いた米国での油田開発などの検討も盛り込まれるとされる。そしてこれらは、対米投資計画の第3号案件の候補となる見込みだ。
アラスカなどでの原油増産については、日本企業が投資をすることで増産につなげ、その増産分を前倒しで日本が購入する形となることを、日本は望んでいるのではないか。アラスカには、大型タンカーが直接入れる港が限られることや、直ぐに確保できる原油の量が限られるなどの課題はあるが、米国本土よりも短い日数で日本に輸入できるといったメリットもある(輸送はアラスカ ⇒ 日本が約12日、米国本土 ⇒ 日本が約20日、中東 ⇒ 日本が約22日)。
不平等な対米投資計画が改善か
現在、原油の確保に苦しみ、また原油調達の分散化を図ることが求められる日本にとっては、これらの合意は非常に望ましいものだ。日米共同備蓄の枠組みについては不透明であるが、いずれの形にせよ、日本の企業や個人の原油不足懸念を緩和するものになれば、国内経済の安定に寄与するだろう。
また仮にそれらが対米投資計画の第3号案件になるのであれば、米国主導の不平等な取り決めも、両国に利益となる方向に一定程度改善されることになる。
イラン紛争への日本の関与を巡って両首脳の意見が分かれ、日米関係が悪化すれば、強固な同盟関係に傷が入る可能性もあるだろう。また、日中関係が悪化する中、日米関係も悪化すれば、日本は国際社会での孤立感を強めることにもなってしまうだろう。
他方、経済協力の面から、両国の良好な関係が維持できる可能性もある。日米首脳会談は、日本にとって大きな岐路でもある。どちらになるのか、答えは直ぐに明らかになるだろう。
(参考資料)
「対米投資の第2弾、10兆円程度で調整 次世代原発や天然ガス発電など」、2026年3月18日、日本経済新聞電子版
「日米首脳、11兆円のエネルギー投資で共同文書発表へ…「小型モジュール炉」建設など対象」、2026年3月19日、読売新聞速報ニュース
また仮にそれらが対米投資計画の第3号案件になるのであれば、米国主導の不平等な取り決めも、両国に利益となる方向に一定程度改善されることになる。
イラン紛争への日本の関与を巡って両首脳の意見が分かれ、日米関係が悪化すれば、強固な同盟関係に傷が入る可能性もあるだろう。また、日中関係が悪化する中、日米関係も悪化すれば、日本は国際社会での孤立感を強めることにもなってしまうだろう。
他方、経済協力の面から、両国の良好な関係が維持できる可能性もある。日米首脳会談は、日本にとって大きな岐路でもある。どちらになるのか、答えは直ぐに明らかになるだろう。
(参考資料)
「対米投資の第2弾、10兆円程度で調整 次世代原発や天然ガス発電など」、2026年3月18日、日本経済新聞電子版
「日米首脳、11兆円のエネルギー投資で共同文書発表へ…「小型モジュール炉」建設など対象」、2026年3月19日、読売新聞速報ニュース
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。