ホルムズ海峡の安全確保をめぐり日本にさらなる貢献を求める
米国時間3月19日に開かれた日米首脳会談は、日本側にとって概ね想定通りの展開となり、トランプ大統領を相手に高市首相は何とか無難に乗り切った形だ。
高市首相は、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っています」とトランプ大統領を最大限持ち上げると、トランプ大統領は「我々は日本とあらゆる面において多大な支援を得て、協力関係を築いてきた。彼らは期待された役割を果たそうとしている。NATOとは違ってね」と、NATOを引き合いに日本を評価する発言を返した。日本からの防衛装備品の購入についても評価する発言をした。
他方、米国は日本に多数の米兵を駐留させ、多額の資金を投じていることから、イラン紛争においても日本がより踏み込んだ対応をすることに驚きはないとし、さらなる関与を求めた。さらに、ホルムズ海峡の安全確保をめぐり「日本がより積極的に貢献してくれることに期待している」と明確に述べた。ホルムズ海峡を経由した原油調達に大きく依存する日本が、船舶の海峡での安全航行に向けて積極的に対応するのは当然、との発言もあった。
高市首相は会談後に、ホルムズ海峡への艦船の派遣要請があったかを問われ、詳しい言及は避けつつ、「日本の法律の範囲内でできることとできないことがあるのできっちりと説明した」と述べている。ホルムズ海峡への日本の対応については、なお継続協議ということだろう。
高市首相は、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っています」とトランプ大統領を最大限持ち上げると、トランプ大統領は「我々は日本とあらゆる面において多大な支援を得て、協力関係を築いてきた。彼らは期待された役割を果たそうとしている。NATOとは違ってね」と、NATOを引き合いに日本を評価する発言を返した。日本からの防衛装備品の購入についても評価する発言をした。
他方、米国は日本に多数の米兵を駐留させ、多額の資金を投じていることから、イラン紛争においても日本がより踏み込んだ対応をすることに驚きはないとし、さらなる関与を求めた。さらに、ホルムズ海峡の安全確保をめぐり「日本がより積極的に貢献してくれることに期待している」と明確に述べた。ホルムズ海峡を経由した原油調達に大きく依存する日本が、船舶の海峡での安全航行に向けて積極的に対応するのは当然、との発言もあった。
高市首相は会談後に、ホルムズ海峡への艦船の派遣要請があったかを問われ、詳しい言及は避けつつ、「日本の法律の範囲内でできることとできないことがあるのできっちりと説明した」と述べている。ホルムズ海峡への日本の対応については、なお継続協議ということだろう。
対米投資計画、鉱物資源のサプライチェーン強化で合意
一方、経済面では、小型モジュール炉(SMR)の建設を含む対米投資計画の第2号案件、南鳥島周辺の海域にあるレアアース泥を含む重要鉱物についての共同開発などサプライチェーンの強化について両国は合意した。
さらにエネルギーの安定供給に関して、「日本やアジアにおける原油調達を念頭に米国産エネルギーの生産拡大に日米でともに取り組んでいくことを確認した」「日本において米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい」旨を伝えた。これは調達先の多様化というのは日本そしてアジアのエネルギーの安定供給、これにつながっていくということからだ」と高市首相は会談後の記者会見で説明している。
原油輸入全体の7割を超えるホルムズ海峡を経由した原油輸入が停止している日本にとって、米国産の原油の確保は大きな助けになる。短期的な観点からの原油の確保と中長期的な観点からの原油調達の分散化、中東依存度の低下の両面から、日本が大いに期待する分野である。
日本からは、アラスカ産原油の増産に向けた日本企業の投資拡大と増産分の日本の確保、米国産原油の備蓄に関する共同事業の2つを提案したとみられる。共同文書の中に「日本への輸出増加のための原油インフラ」が加えられ、米国側もそれを受け入れる方向と考えられる。それは、対米投資計画の第3号案件の候補だろう。
さらにエネルギーの安定供給に関して、「日本やアジアにおける原油調達を念頭に米国産エネルギーの生産拡大に日米でともに取り組んでいくことを確認した」「日本において米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したい」旨を伝えた。これは調達先の多様化というのは日本そしてアジアのエネルギーの安定供給、これにつながっていくということからだ」と高市首相は会談後の記者会見で説明している。
原油輸入全体の7割を超えるホルムズ海峡を経由した原油輸入が停止している日本にとって、米国産の原油の確保は大きな助けになる。短期的な観点からの原油の確保と中長期的な観点からの原油調達の分散化、中東依存度の低下の両面から、日本が大いに期待する分野である。
日本からは、アラスカ産原油の増産に向けた日本企業の投資拡大と増産分の日本の確保、米国産原油の備蓄に関する共同事業の2つを提案したとみられる。共同文書の中に「日本への輸出増加のための原油インフラ」が加えられ、米国側もそれを受け入れる方向と考えられる。それは、対米投資計画の第3号案件の候補だろう。
米国産原油の確保は高くつく可能性も
米国にとっては、日本がアラスカ産原油の増産に向けて投資を行うことや、日本が米国産原油の輸入を拡大してくれることは、中長期の観点からは歓迎すべきことだろう。米国産原油の増産については、世界の原油価格の安定化にもつながるとの日本の主張を米国も受け入れ、大枠では合意したのではないか。
しかし、世界の原油供給の約2割を占めるホルムズ海峡経由の原油輸出がほぼ停止しており、世界的に原油の争奪戦の様相が強まる中、米国も国内産の原油を確保しておきたいだろう。
この観点から、短期的な観点からは米国は米国産原油の日本への輸出拡大には慎重なのではないか。この点で日米間の温度差は残るのではないか。そうした中、日本が米国産原油を確保するためには、相応の対価を払う必要がある。
高市首相が提案したとする「米国から調達する原油を備蓄する共同事業」というものがどのような枠組みであるかは明らかでないが、日本が購入した米国産原油を日米共同の備蓄とし、米国が必要な場合には米国に供給するような枠組みであるかもしれない。
いずれにしても、日本が米国に有利な条件を提示しなければ、米国産原油を安易に確保はできないのではないか。アラスカ産原油についても、割高での購入を強いられるかもしれない。それでも、米国産原油を確保できれば、日本国内での原油不足への懸念、原油備蓄枯渇への懸念は緩和され、経済活動の安定に資する。
日米首脳会談は概ね想定通りの展開であったが、ホルムズ海峡における日本の関与と米国産原油の確保については、なお具体的な落としどころが見えておらず、日米間での継続協議の案件となろう。
(参考資料)
「トランプ大統領「日本の一層の貢献に期待」 高市首相に“くぎ刺す”場面も」、2026年3月20日、日本テレビニュース
「日米首脳会談、トランプ氏「日本はNATOと違う」 対イランで貢献促す」、2026年3月20日、日本経済新聞電子版
「高市早苗首相の発言全文 19日の日米首脳会談の終了後」、2026年3月20日、日本経済新聞電子版
しかし、世界の原油供給の約2割を占めるホルムズ海峡経由の原油輸出がほぼ停止しており、世界的に原油の争奪戦の様相が強まる中、米国も国内産の原油を確保しておきたいだろう。
この観点から、短期的な観点からは米国は米国産原油の日本への輸出拡大には慎重なのではないか。この点で日米間の温度差は残るのではないか。そうした中、日本が米国産原油を確保するためには、相応の対価を払う必要がある。
高市首相が提案したとする「米国から調達する原油を備蓄する共同事業」というものがどのような枠組みであるかは明らかでないが、日本が購入した米国産原油を日米共同の備蓄とし、米国が必要な場合には米国に供給するような枠組みであるかもしれない。
いずれにしても、日本が米国に有利な条件を提示しなければ、米国産原油を安易に確保はできないのではないか。アラスカ産原油についても、割高での購入を強いられるかもしれない。それでも、米国産原油を確保できれば、日本国内での原油不足への懸念、原油備蓄枯渇への懸念は緩和され、経済活動の安定に資する。
日米首脳会談は概ね想定通りの展開であったが、ホルムズ海峡における日本の関与と米国産原油の確保については、なお具体的な落としどころが見えておらず、日米間での継続協議の案件となろう。
(参考資料)
「トランプ大統領「日本の一層の貢献に期待」 高市首相に“くぎ刺す”場面も」、2026年3月20日、日本テレビニュース
「日米首脳会談、トランプ氏「日本はNATOと違う」 対イランで貢献促す」、2026年3月20日、日本経済新聞電子版
「高市早苗首相の発言全文 19日の日米首脳会談の終了後」、2026年3月20日、日本経済新聞電子版
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。