米国は2~3週間以内にイランから撤退する考え
トランプ米大統領は3月31日に、米国がイランとの間で戦争終結に合意できなくても、米国は2~3週間以内にイランから撤退する考えを示した。トランプ大統領は米東部時間4月1日午後9時、日本時間4月2日午前10時に、「イランに関する重要な最新情報」について米国民向けに演説を行う予定であり、そこで、イランから早期に撤退する考えを説明するとみられる。
トランプ大統領は、イラン攻撃の目的はイランが核兵器を持たないようにすることだったが、その目標は達成された、とした。その真偽は明らかでない。他方、イランの体制転換は目的ではなかったとしつつ、現在の体制は軍事衝突前の指導部よりも望ましいとの見方を示した。
トランプ大統領の発言は常に不規則で一貫性がないことを考慮に入れる必要がある。また、イスラエルの対応にも不確実性が残るが、トランプ政権がイランからの早期撤退を選択肢としていることは明らかだろう。
ただし、それが早期に実現するかどうかはまだ分からない。米国は過去数日間に中東地域に追加部隊を展開しており、戦闘をエスカレーションさせる可能性も依然として残されている。
トランプ大統領は、イラン攻撃の目的はイランが核兵器を持たないようにすることだったが、その目標は達成された、とした。その真偽は明らかでない。他方、イランの体制転換は目的ではなかったとしつつ、現在の体制は軍事衝突前の指導部よりも望ましいとの見方を示した。
トランプ大統領の発言は常に不規則で一貫性がないことを考慮に入れる必要がある。また、イスラエルの対応にも不確実性が残るが、トランプ政権がイランからの早期撤退を選択肢としていることは明らかだろう。
ただし、それが早期に実現するかどうかはまだ分からない。米国は過去数日間に中東地域に追加部隊を展開しており、戦闘をエスカレーションさせる可能性も依然として残されている。
米国がイランから撤退してもホルムズ海峡封鎖の問題は解決しない
見逃せないのは、トランプ大統領が、ホルムズ海峡封鎖の問題にはもはや関与しない、と発言していることだ。トランプ大統領は、米軍がホルムズ海峡を航行する民間船舶の護衛を検討した際に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国やその他の同盟国が支援要請に応じなかったことを強く不満に思っている。
米国はホルムズ海峡を通じて原油等をほとんど輸入していないことから、ホルムズ海峡封鎖の問題は、そこを通じて原油等を輸入している当該国が自ら解決すべきだと、突き放した発言をトランプ大統領はしている。「自国のために戦う方法を学び始めなければならない」「自分たちで石油を確保せよ」とも述べている。
しかし、米国がイランから撤退しても、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が続き、原油供給が正常化しなければ、世界の原油価格は高止まりし、それはガソリン価格の高止まりなどを通じて米国の消費者の不満を高めることになる。この点から、トランプ政権がホルムズ海峡の封鎖の問題に関与しないことは、結局はできないだろう。
米国がイランから一方的に撤退しても、米国、イスラエルとイランとの間で戦争終結の合意がなされなければ、イランにとって戦争状態は続くことになり、周辺の湾岸諸国の米軍拠点などへの攻撃を続けるだろう。さらに、米国に対する攻撃の一環として、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態を続け、経済面で米国への攻撃を続けるだろう。
米国はホルムズ海峡を通じて原油等をほとんど輸入していないことから、ホルムズ海峡封鎖の問題は、そこを通じて原油等を輸入している当該国が自ら解決すべきだと、突き放した発言をトランプ大統領はしている。「自国のために戦う方法を学び始めなければならない」「自分たちで石油を確保せよ」とも述べている。
しかし、米国がイランから撤退しても、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が続き、原油供給が正常化しなければ、世界の原油価格は高止まりし、それはガソリン価格の高止まりなどを通じて米国の消費者の不満を高めることになる。この点から、トランプ政権がホルムズ海峡の封鎖の問題に関与しないことは、結局はできないだろう。
米国がイランから一方的に撤退しても、米国、イスラエルとイランとの間で戦争終結の合意がなされなければ、イランにとって戦争状態は続くことになり、周辺の湾岸諸国の米軍拠点などへの攻撃を続けるだろう。さらに、米国に対する攻撃の一環として、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態を続け、経済面で米国への攻撃を続けるだろう。
日本はイランとの直接交渉でホルムズ海峡の船舶航行の正常化を目指せ
こうした点を踏まえると、米国がイランから撤退しても、ホルムズ海峡の船舶の航行が正常化し、世界の原油供給見通しが回復し、原油価格が大きく低下することには必ずしもならない。戦争終結への期待が一定程度高まる中でも、足もとのWTI原油先物価格が100ドルを下回らないのは、こうした背景があるからだろう。
米国がイランから撤退した後、日本は他国と連携してイランに対してホルムズ海峡の船舶の航行再開を求める外交交渉を展開することになるだろう。もはや、米国に気兼ねせずにイランとの直接交渉が可能となる。それを通じて、事態解決への道筋が開けてくることを期待したい。
米国がイランから撤退した後、日本は他国と連携してイランに対してホルムズ海峡の船舶の航行再開を求める外交交渉を展開することになるだろう。もはや、米国に気兼ねせずにイランとの直接交渉が可能となる。それを通じて、事態解決への道筋が開けてくることを期待したい。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。