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経済産業省は3月31日、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格(30日時点)が、前週比で7.5円低い170.2円だったと発表した。ガソリン補助金を通じて政府が目標としていた1リットル当たり170円程度が、3月末までに達成された。
 
一方、政府は4月2日から8日までの1週間にガソリン1リットルあたり49.8円を補助することを決めた。補助金は3月19日~25日には30.2円、3月26日~4月1日には48.1円だった。
 
3月26日からは原油価格高騰が始まる前の2月平均の安価な水準で政府が原油の備蓄放出を始めた。その影響で4月2日からの石油元売り業者によるガソリンの卸売価格は低下し、政府の補助金の額が大きく縮小する可能性も考えられたが、そうした影響は明確には確認できなかった。
 
政府は当初、補助金の財源として基金の残高約2,800億円を充てていたが、原油高に収束の気配が見えないため、2025年度予備費から約8,000億円を基金に積み増し、合計で1兆800億円の予算を確保したとされた。
 
ところがTBSが4月1日に報じたところでは、政府は3月19日から始めたガソリン補助金の財源について、3月末時点での基金の残高が3,500億円、予備費の8,000億円を含めて総額1兆1,500億円だったと明かしたという。なぜ予算額が増えたのかは明らかではないが、以下ではこの報道の数字に基づいて、ガソリン補助金の予算のシミュレーションを新たに行った。
 
標準シナリオでは、4月8日まで1リットル当たり49.8円の補助金が4月9日以降も続くこと、悲観シナリオでは4月9日以降の補助金額が1リットル当たり60円、楽観シナリオでは1リットル当たり30円とそれぞれ仮定した。
 
その場合、ガソリン補助金の予算が枯渇するタイミングは、標準シナリオでは6月9日、悲観シナリオでは5月29日、楽観シナリオでは7月19日となった(図表)。
 
原油価格が大きく下がらなければ、現在確保している予算でもガソリン補助金を賄える時間は長くない。
 
図表 ガソリン補助金の予算枯渇シミュレーション

プロフィール

  • 木内 登英のポートレート

    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。