植田総裁は従来の基本姿勢を確認
日本銀行の植田総裁が、20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後の16日(米国時間)に行った会見は、4月27・28日の日本銀行金融政策決定会合での政策を占う観点から、金融市場で大いに注目されていた。実際には、利上げの有無について直接言及する説明はなかった。
全体的にバランスをとった発言姿勢が目立った。植田総裁は、各会合までに出た情報やデータを集めて、「見通しの実現していく確度、あるいはそれ以上のリスクを点検しながら」政策を判断していく、「2%の物価目標を持続的、安定的に実現するという観点から最も適切な対応を選択していく」と、今までの基本姿勢を繰り返した。
原油価格上昇の影響については、交易条件の悪化を通じて景気を下押しする可能性がある一方、企業収益の高さが一定のクッションになる点を指摘し、その結果、原油高が物価を押し上げるのか景気悪化を通じて物価を抑えるのかは、現時点では判断が難しいとの説明をしている。
実際には、石油関連製品については、他の商品と比べて、輸入原油の価格などコストの上昇分が製品価格に転嫁される傾向が強く、原油・ナフサ価格の上昇(交易条件の悪化)は企業収益の悪化で吸収されるよりも、最終需要の悪化を生じさせる可能性が高いように思える。
また植田総裁は、実質金利は中期ゾーンまで非常に低い水準であり、金融環境は非常に緩和的とし、今後の政策判断では、この緩和的な金融環境も考慮しつつ判断していく、とした。これは、今後も利上げを進めていくという意思を示すものだ。
全体的にバランスをとった発言姿勢が目立った。植田総裁は、各会合までに出た情報やデータを集めて、「見通しの実現していく確度、あるいはそれ以上のリスクを点検しながら」政策を判断していく、「2%の物価目標を持続的、安定的に実現するという観点から最も適切な対応を選択していく」と、今までの基本姿勢を繰り返した。
原油価格上昇の影響については、交易条件の悪化を通じて景気を下押しする可能性がある一方、企業収益の高さが一定のクッションになる点を指摘し、その結果、原油高が物価を押し上げるのか景気悪化を通じて物価を抑えるのかは、現時点では判断が難しいとの説明をしている。
実際には、石油関連製品については、他の商品と比べて、輸入原油の価格などコストの上昇分が製品価格に転嫁される傾向が強く、原油・ナフサ価格の上昇(交易条件の悪化)は企業収益の悪化で吸収されるよりも、最終需要の悪化を生じさせる可能性が高いように思える。
また植田総裁は、実質金利は中期ゾーンまで非常に低い水準であり、金融環境は非常に緩和的とし、今後の政策判断では、この緩和的な金融環境も考慮しつつ判断していく、とした。これは、今後も利上げを進めていくという意思を示すものだ。
利上げを巡り政府と日本銀行は水面下で対立か
片山財務相は15日(米国時間)に、主要7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の取材で、「利上げが経済に与える悪影響への懸念から、金融政策は様子見とする声が多く上がっていた」と説明した。この点について植田総裁は、「日銀としてその点に関して発言はしていない」とした。
片山財務相の発言は、日本銀行の利上げを暗にけん制する狙いが込められていたようにも見えた。そして植田総裁の説明は、これへの対抗のようにも聞こえた。
日本銀行の利上げを巡って、利上げを望まない政府と日本銀行との間に水面下で対立があるのではないか。利上げの基本姿勢が変わっていないことを強調する日本銀行の説明には、政府によって利上げを封じ込められてしまうことへの強い危機感の表れがあるようにも感じられた。
植田総裁は今回の会見で、4月27・28日の日本銀行金融政策決定会合での利上げの有無について明確な発言は控えた。しかし、金融市場で次回会合での利上げ期待が急速に萎む中、それを修正するような発言を今回行なかったということは、利上げ見送りに傾く市場の観測を暗に肯定したと言えるだろう。
4月27・28日の日本銀行金融政策決定会合で利上げが見送られる可能性は高い状況だ。現時点での金融市場に織り込まれた次回会合での利上げの確率は、ブルームバーグのOISの価格に基づく計算によると18%台である。
片山財務相の発言は、日本銀行の利上げを暗にけん制する狙いが込められていたようにも見えた。そして植田総裁の説明は、これへの対抗のようにも聞こえた。
日本銀行の利上げを巡って、利上げを望まない政府と日本銀行との間に水面下で対立があるのではないか。利上げの基本姿勢が変わっていないことを強調する日本銀行の説明には、政府によって利上げを封じ込められてしまうことへの強い危機感の表れがあるようにも感じられた。
植田総裁は今回の会見で、4月27・28日の日本銀行金融政策決定会合での利上げの有無について明確な発言は控えた。しかし、金融市場で次回会合での利上げ期待が急速に萎む中、それを修正するような発言を今回行なかったということは、利上げ見送りに傾く市場の観測を暗に肯定したと言えるだろう。
4月27・28日の日本銀行金融政策決定会合で利上げが見送られる可能性は高い状況だ。現時点での金融市場に織り込まれた次回会合での利上げの確率は、ブルームバーグのOISの価格に基づく計算によると18%台である。
プロフィール
-
木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。