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4月28日の次回会合で日銀は利上げ見送りへ

4月20日にロイター通信、共同通信など複数メディアが、日本銀行は4月27・28日の金融政策決定会合で「追加利上げを見送る公算が大きい」と、断定的なトーンで報じた。会合1週間前のこの時期は、日本銀行の執行部などから、金融政策についての市場の期待を誘導する情報がメディアを通じて出される、いわば「地均し」が行われやすい。今回もそうした可能性が考えられるだろう。
 
こうした報道を受けて、金融市場での4月27・28日の金融政策決定会合での利上げ観測は急速に萎んだ。21日時点でブルームバーグがOISから計算する4月28日の利上げ確率は8%程度と、月初の70%台から1桁台にまで後退した。
 
この状態であれば、日本銀行が4月28日に利上げを見送っても、金融市場は大きく動くことはないだろう。ドル円レートは現在1ドル158円台とクリティカルラインとみられる160円からは多少距離があり、日本銀行の利上げ見送りが1ドル160円を超える円安進行の引き金になる可能性は小さい。
 
日本銀行は円安リスクを恐れずに政策金利の据え置きを決めることができる状況だ。実際、日本銀行は4月28日の次回会合で政策金利を据え置く可能性が高い。

6月の利上げ見送りの可能性も

ブルームバーグがOISから計算する利上げ確率で、6月16日の決定会合での0.25%の利上げ観測は、21日時点で62%程度である。6月の利上げの観測も、金融市場では確定的なものとは言えない。
 
4月28日の会合で利上げを見送るとともに、日本銀行が展望レポートで2%の物価目標達成時期の見通しを後ずれさせる、あるいは会合後の記者会見で植田総裁が明確に利上げに慎重な姿勢を示せば、6月の利上げ観測も顕著に後退することになるだろう。しかしその可能性は低いと考えられる。
 
日本銀行は、引き続き円安をけん制することと、利上げに否定的とみられる高市政権への対抗から、利上げの基本方針は変わらないことを強調するだろう。しかし、イラン情勢や原油・ナフサ価格上昇が消費者物価に与える「悪い物価上昇」の影響を見極め、引き続き経済の下振れリスクが高いと判断すれば、6月の利上げも見送る可能性がある。
 
しかしその場合でも、今回と同様に、利上げの有無を市場に伝えるのは会合直前になってからではないか。その場合、6月会合での追加利上げの有無についての金融市場の観測は直前まで揺れ動くことになり、それが為替、債券、株価の変動を促すことになるのではないか。筆者は、次回利上げは年後半になると現時点では予想している。

プロフィール

  • 木内 登英のポートレート

    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。