戦争終結の最終合意にはなお長い道のり
金融市場は、米国とイランが戦争終結に向かっているとの楽観的な期待を強めている。ニューヨーク・タイムズ紙は24日に、米国とイランはホルムズ海峡を開放し、イランが高濃縮ウランを処分することで基本合意した、と報じた。他方、トランプ大統領は23日に、「最終調整の段階にある」としていたが、日本時間の24日深夜には、戦闘終結に向けた合意について「私は代表団に対し、時間はわれわれの味方だから、急いで合意するなと指示している」とした。さらに、日本時間の25日未明になって、「まだ交渉は完全にはまとまっていない。私は悪い合意は結ばない」と強調した。
今後数日以内に両国間で合意が成立する可能性がある一方、議論が決裂する可能性もある。事態はなお流動的であるが、ここで合意とされているものは、戦争終結の最終合意ではなく、戦闘を停止した上で戦争終結に向けた議論を行うことの覚書での合意と考えられる。その場合、両国が覚書に合意しても、最終合意に向けた第一歩に過ぎない。
イラン側は「覚書締結後に、30~60日間かけて核問題や制裁解除などについて話し合う」としている。核問題、制裁問題、ホルムズ海峡封鎖の問題で両国の意見の隔たりはなお大きく、仮に覚書の合意が成立しても、最終合意までたどり着かない可能性がある。
今後数日以内に両国間で合意が成立する可能性がある一方、議論が決裂する可能性もある。事態はなお流動的であるが、ここで合意とされているものは、戦争終結の最終合意ではなく、戦闘を停止した上で戦争終結に向けた議論を行うことの覚書での合意と考えられる。その場合、両国が覚書に合意しても、最終合意に向けた第一歩に過ぎない。
イラン側は「覚書締結後に、30~60日間かけて核問題や制裁解除などについて話し合う」としている。核問題、制裁問題、ホルムズ海峡封鎖の問題で両国の意見の隔たりはなお大きく、仮に覚書の合意が成立しても、最終合意までたどり着かない可能性がある。
戦争終結を織り込む原油価格の下落は既に3分の2程度進んだか
25日の日本市場では、合意への期待から日経平均株価は一時2,000円を超える大幅上昇となり、初の6万5,000円台に乗せた。為替は大きく動いていないが、ドル円レートは先週末の1ドル159円台から158円台へと小幅に円高に振れた。WTI原油先物価格は、先週末の1バレル95ドル台から一時91ドル台にまで下落した。
今後の金融市場の動きは、原油価格の動きに大きく左右されるだろう。覚書で両国が合意すれば、原油価格は1バレル80ドル台へとさらに低下し、円高、株高を後押しすることが予想される。
覚書で両国が合意し、その後の協議で戦争終結に向けた期待がさらに高まる場合、原油価格は最大で70ドル台後半まで低下することが見込まれる。WTI原油先物価格はイラン攻撃直前には67ドル程度だった。ホルムズ海峡封鎖という前例のないことが起こったことで、原油価格にはそのリスクプレミアムが今後も乗り続ける可能性が高い。戦争終結への期待がいかに高まっても、WTI原油先物価格がイラン攻撃前の水準に戻ることはないだろう。
原油価格はピークの120ドル近くから既に30ドル近く低下したが、残る下落幅の余地はその半分の15ドル程度と見ておきたい。この場合、戦争終結を織り込む原油価格の下落は既に3分の2程度進んだ計算となる。戦争終結に向けた期待が高まることによる、原油価格下落、円高、株高の余地は、もはやそれほどは大きく残されてはいないのではないか。
戦争終結に向けた今後の協議では、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除することにとどまらず、海峡管理への関与を完全に放棄するかどうかが、原油価格そして金融市場に大きな影響を与えるため、特に注目しておきたい。
(参考資料)
「米とイラン 戦闘終結に向けホルムズ海峡開放と高濃縮ウラン処分めぐり基本合意か ニューヨーク・タイムズ報道」、2026年5月25日、TBS
「トランプ大統領「急いで合意するなと指示」イラン情勢めぐり」、2026年5月25日、NHK
今後の金融市場の動きは、原油価格の動きに大きく左右されるだろう。覚書で両国が合意すれば、原油価格は1バレル80ドル台へとさらに低下し、円高、株高を後押しすることが予想される。
覚書で両国が合意し、その後の協議で戦争終結に向けた期待がさらに高まる場合、原油価格は最大で70ドル台後半まで低下することが見込まれる。WTI原油先物価格はイラン攻撃直前には67ドル程度だった。ホルムズ海峡封鎖という前例のないことが起こったことで、原油価格にはそのリスクプレミアムが今後も乗り続ける可能性が高い。戦争終結への期待がいかに高まっても、WTI原油先物価格がイラン攻撃前の水準に戻ることはないだろう。
原油価格はピークの120ドル近くから既に30ドル近く低下したが、残る下落幅の余地はその半分の15ドル程度と見ておきたい。この場合、戦争終結を織り込む原油価格の下落は既に3分の2程度進んだ計算となる。戦争終結に向けた期待が高まることによる、原油価格下落、円高、株高の余地は、もはやそれほどは大きく残されてはいないのではないか。
戦争終結に向けた今後の協議では、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除することにとどまらず、海峡管理への関与を完全に放棄するかどうかが、原油価格そして金融市場に大きな影響を与えるため、特に注目しておきたい。
(参考資料)
「米とイラン 戦闘終結に向けホルムズ海峡開放と高濃縮ウラン処分めぐり基本合意か ニューヨーク・タイムズ報道」、2026年5月25日、TBS
「トランプ大統領「急いで合意するなと指示」イラン情勢めぐり」、2026年5月25日、NHK
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。