ガソリン価格190円への引き上げで補助金を半減できる計算
6月5日に総額、3兆1,135億円の補正予算が成立した。その中で、最大の歳出項目は、2.5兆円の「中東情勢等対応予備費」である。これは主に、ガソリン補助金の追加の財源に充てられる。
レギュラーガソリンの全国平均小売価格を1リットル当たり170円程度に抑える現在のガソリン補助金のもとで、4月の補助金支出総額は3,100億円になったと政府は発表している。筆者の試算では、5月の補助金は約5,000億円に達したと考えられる。
そのもとで、仮に「中東情勢等対応予備費」の2.5兆円をすべてガソリン補助金の追加の財源に充てれば、それは5か月分となる。その場合、秋に再び補正予算を編成して、ガソリン補助金の追加財源を確保する必要が生じる。
他方、現在の補助金の額を半分に減らせば、2.5兆円は10か月分の財源となり、年度内のガソリン補助金は手当てされる見込みとなる。
6月1日のガソリンの平均小売価格は169.5円で、補助がなければ206.7円だ。両者の差がガソリン1リットル当たりの補助金の額に対応するが、補助金制度を現在の1リットル当たり170円程度ではなく190円程度に抑える仕組みに変えれば、補助金の額を半分にすることができる計算だ。
レギュラーガソリンの全国平均小売価格を1リットル当たり170円程度に抑える現在のガソリン補助金のもとで、4月の補助金支出総額は3,100億円になったと政府は発表している。筆者の試算では、5月の補助金は約5,000億円に達したと考えられる。
そのもとで、仮に「中東情勢等対応予備費」の2.5兆円をすべてガソリン補助金の追加の財源に充てれば、それは5か月分となる。その場合、秋に再び補正予算を編成して、ガソリン補助金の追加財源を確保する必要が生じる。
他方、現在の補助金の額を半分に減らせば、2.5兆円は10か月分の財源となり、年度内のガソリン補助金は手当てされる見込みとなる。
6月1日のガソリンの平均小売価格は169.5円で、補助がなければ206.7円だ。両者の差がガソリン1リットル当たりの補助金の額に対応するが、補助金制度を現在の1リットル当たり170円程度ではなく190円程度に抑える仕組みに変えれば、補助金の額を半分にすることができる計算だ。
高市首相はガソリン補助金の見直しに傾く
一方、自民党内では、巨額の予算を使うガソリン補助金制度を見直すべきとの議論が強まっている。ガソリン補助金制度は2022年1月に始められ、2025年12月のガソリン暫定税率廃止とともに廃止されたが、原油価格の高騰を受けて今年3月19日に再導入された。これまでに投じられた予算は、8兆9,668億円に及ぶ。
高市首相も制度見直しに傾いているように見える。6月3日の衆院本会議で補助金のあり方を問われた高市首相は、「必要に応じ、支援単価を含めて支援の在り方を柔軟に検討」と答弁した。これは、見直しの意向を明確に表明したものと受け止められている。見直しは近いうちに行われると考えられる。
高市首相は補正予算編成には否定的であり、必要な予算は当初予算に盛り込むべきとしてきた。中東情勢の緊迫化を受けて、今回の補正予算編成は避けられなかったが、恒例化している秋の補正予算編成は実施しない考えとも言われる。
その場合、ガソリン補助金の予算を年度いっぱい確保するためには、上記の計算のように、補助金を半減させるなど思い切った見直しが必要になる。
高市首相も制度見直しに傾いているように見える。6月3日の衆院本会議で補助金のあり方を問われた高市首相は、「必要に応じ、支援単価を含めて支援の在り方を柔軟に検討」と答弁した。これは、見直しの意向を明確に表明したものと受け止められている。見直しは近いうちに行われると考えられる。
高市首相は補正予算編成には否定的であり、必要な予算は当初予算に盛り込むべきとしてきた。中東情勢の緊迫化を受けて、今回の補正予算編成は避けられなかったが、恒例化している秋の補正予算編成は実施しない考えとも言われる。
その場合、ガソリン補助金の予算を年度いっぱい確保するためには、上記の計算のように、補助金を半減させるなど思い切った見直しが必要になる。
ガソリン補助金制度とともに中東情勢緊迫化を受けた政策対応全体を見直すべき
その際に、国民の理解を得るためには、補助金の縮小は単に政府支出を抑制するためだけではなく、国民のガソリン消費の節約を促し、将来の原油・ナフサを確保するための措置、あるいは、脱炭素政策を後押しする措置、などと前向きな説明をするのが良いのではないか。
他方、ガソリン補助金を削減することで低所得者への物価高支援が後退することを避けるため、低所得者に絞った給付金を別途検討しても良いだろう。
このように、補正予算の編成を通じたガソリン補助金の追加予算確保、ガソリン補助金制度の見直しのタイミングに合わせて、ガソリン・電気の節約などの需要抑制策を新たに盛り込む、新たな低所得者向け物価高対策を講じるなど、中東情勢の緊迫化を受けた政策対応全体を見直すのが良いのではないか。
(資料)
「資源に乏しい日本、ガソリンは「G7で最安」 補助継続へ補正予算案」、2026年6月3日、日本経済新聞電子版
他方、ガソリン補助金を削減することで低所得者への物価高支援が後退することを避けるため、低所得者に絞った給付金を別途検討しても良いだろう。
このように、補正予算の編成を通じたガソリン補助金の追加予算確保、ガソリン補助金制度の見直しのタイミングに合わせて、ガソリン・電気の節約などの需要抑制策を新たに盛り込む、新たな低所得者向け物価高対策を講じるなど、中東情勢の緊迫化を受けた政策対応全体を見直すのが良いのではないか。
(資料)
「資源に乏しい日本、ガソリンは「G7で最安」 補助継続へ補正予算案」、2026年6月3日、日本経済新聞電子版
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。