欧州中央銀行(ECB)は6月11日に、政策金利である中銀預金金利を0.25%ポイント引き上げて2.25%とした。利上げは2023年9月以来、約3年ぶりとなる。今回の決定は事前に予想されていた。
ECBは声明文で「中東の戦争はインフレ圧力を生み出している」として、今回の措置は原油価格高騰による物価上昇への対応であることを示唆している。ユーロ圏のインフレ率は3%を超え、目標である2%を大幅に上回っている。
今回の措置を、今後の物価上昇率の上振れリスクに対する予防的な措置、保険的な位置づけとの見方もあるが、ラガルド総裁はこれを否定し、「この極めて明白な金融政策の決定を行わなければ、われわれが予測の対象とする中期の終わりには、目標を上回る水準に達してしまうだろう」と語り、既に顕在化しているリスクへの適切な対応であることを強調している。
一方でラガルド総裁は、「0.25%ポイントの利上げは明らかにシグナルであり、われわれが直面している経済状況、乗り越えようとしている不確実性を鑑みると、必要な決定だ」として、先行きの不確実性への予防的対応であるとの考えもにじませている。
ECBが特に警戒しているのは、原油価格の上昇が賃金上昇率の上振れや中長期の予想物価上昇率の上振れをもたらし、それが実際の基調的な物価上昇率の上振れをもたらす可能性だ。そうしたプロセスは「2次的効果(セカンダリー・エフェクト)」と呼ばれる。伝統的に欧州の銀行は、この2次的効果(セカンダリー・エフェクト)を重視する傾向が強く、その結果、ECBが主要国の中で利上げ決定の先陣を切ったという側面もあるだろう。
ラガルド総裁は、「現時点では2次的効果の前段階には至っていない」としているが、声明文では、「戦争が中期的なインフレと成長に及ぼす全面的な影響は、エネルギー価格ショックの強度と持続期間、さらに間接的影響や2次的影響の規模次第となる」とし、引き続き2次的効果を注視する姿勢だ。
ECBは2次的効果を注視しつつも、原油価格の上昇が景気の下振れリスクを高めるという点も強調しており、ラガルド総裁は「大規模なエネルギーショックによる今後の影響を注意深く監視していく」と述べ、今後の決定は入手するデータに基づく、と改めて強調した。今後の利上げの可能性については具体的な言及はしなかった。
金融市場は、9月の理事会での利上げを含め、年内2回程度の利上げを織り込んでいるが、予測の不確実性はなお高い。
利下げ方向にあったECBが、原油価格高騰を受けて利上げに転じたことは、従来利上げを進めており、しかも政策金利の水準がなおECBと比べればかなり低い日本銀行の利上げを後押しする要因となる可能性は高い。この点も踏まえ、ECBに続いて6月16日に日本銀行が利上げに踏み切ることは、もはや揺るぎのない状況だ。
ECBは声明文で「中東の戦争はインフレ圧力を生み出している」として、今回の措置は原油価格高騰による物価上昇への対応であることを示唆している。ユーロ圏のインフレ率は3%を超え、目標である2%を大幅に上回っている。
今回の措置を、今後の物価上昇率の上振れリスクに対する予防的な措置、保険的な位置づけとの見方もあるが、ラガルド総裁はこれを否定し、「この極めて明白な金融政策の決定を行わなければ、われわれが予測の対象とする中期の終わりには、目標を上回る水準に達してしまうだろう」と語り、既に顕在化しているリスクへの適切な対応であることを強調している。
一方でラガルド総裁は、「0.25%ポイントの利上げは明らかにシグナルであり、われわれが直面している経済状況、乗り越えようとしている不確実性を鑑みると、必要な決定だ」として、先行きの不確実性への予防的対応であるとの考えもにじませている。
ECBが特に警戒しているのは、原油価格の上昇が賃金上昇率の上振れや中長期の予想物価上昇率の上振れをもたらし、それが実際の基調的な物価上昇率の上振れをもたらす可能性だ。そうしたプロセスは「2次的効果(セカンダリー・エフェクト)」と呼ばれる。伝統的に欧州の銀行は、この2次的効果(セカンダリー・エフェクト)を重視する傾向が強く、その結果、ECBが主要国の中で利上げ決定の先陣を切ったという側面もあるだろう。
ラガルド総裁は、「現時点では2次的効果の前段階には至っていない」としているが、声明文では、「戦争が中期的なインフレと成長に及ぼす全面的な影響は、エネルギー価格ショックの強度と持続期間、さらに間接的影響や2次的影響の規模次第となる」とし、引き続き2次的効果を注視する姿勢だ。
ECBは2次的効果を注視しつつも、原油価格の上昇が景気の下振れリスクを高めるという点も強調しており、ラガルド総裁は「大規模なエネルギーショックによる今後の影響を注意深く監視していく」と述べ、今後の決定は入手するデータに基づく、と改めて強調した。今後の利上げの可能性については具体的な言及はしなかった。
金融市場は、9月の理事会での利上げを含め、年内2回程度の利上げを織り込んでいるが、予測の不確実性はなお高い。
利下げ方向にあったECBが、原油価格高騰を受けて利上げに転じたことは、従来利上げを進めており、しかも政策金利の水準がなおECBと比べればかなり低い日本銀行の利上げを後押しする要因となる可能性は高い。この点も踏まえ、ECBに続いて6月16日に日本銀行が利上げに踏み切ることは、もはや揺るぎのない状況だ。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。