7月30日の海外市場で、1ドル162円台後半から一時1ドル157円台後半まで約5円の幅で、円高が急速に進んだ。目立った材料がない中、短期間でこれほど大きく為替が動くのは、当局が為替介入を実施した影響と考えるのが自然だ。
ドル円レートは今月下旬に1ドル164円台まで円安が進み、およそ39年8か月ぶりの円安水準となっていた。日本政府は、引き続き1ドル160円前後を防衛ラインとしていることが示されたと考えられる。
7月30日には高市首相が消費税率の引き下げの方針を正式発表した。そのタイミングで為替市場が円安に振れることを予め想定し、政府はドル売り円買い介入を準備していたのかもしれない。
実際には、その決定による円安材料の出尽くしなどで、むしろ発表後にはやや円高に振れた。一方、そのタイミングを狙って、政府は円の押し上げ介入を決めた可能性がある。
金融市場は、31日の金融政策決定会合での政策決定を受けて円安がさらに進んだ場合に為替介入が行われることを想定していた可能性がある。その前の段階での介入には意外感があり、その結果、介入効果は比較的大きく現れたのではないか。
ただし、現状では、中東情勢が再び緊迫化して原油価格が上昇すること、米国での米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測、日本での財政悪化懸念など、円安要因が山積している状況だ。
これを踏まえると、為替介入の効果がどれほど持続的なものとなるかには疑問が残る。今後数週間のうちに、介入前の水準まで戻ってしまう可能性も考えられる。
いずれにせよ、為替介入の効果は一時的であり、為替介入は、為替市場の流れを変えるような経済ファンダメンタルズの変化が起こるまでの「時間稼ぎ」でしかない。
日本政府ができる経済ファンダメンタルズの改善は、消費税率引き下げの安定した財源を明確に示し、金融市場の財政悪化懸念の緩和に努めることや、政府が日本銀行の利上げを牽制しているとの観測を払拭することだろう。
ドル円レートは今月下旬に1ドル164円台まで円安が進み、およそ39年8か月ぶりの円安水準となっていた。日本政府は、引き続き1ドル160円前後を防衛ラインとしていることが示されたと考えられる。
7月30日には高市首相が消費税率の引き下げの方針を正式発表した。そのタイミングで為替市場が円安に振れることを予め想定し、政府はドル売り円買い介入を準備していたのかもしれない。
実際には、その決定による円安材料の出尽くしなどで、むしろ発表後にはやや円高に振れた。一方、そのタイミングを狙って、政府は円の押し上げ介入を決めた可能性がある。
金融市場は、31日の金融政策決定会合での政策決定を受けて円安がさらに進んだ場合に為替介入が行われることを想定していた可能性がある。その前の段階での介入には意外感があり、その結果、介入効果は比較的大きく現れたのではないか。
ただし、現状では、中東情勢が再び緊迫化して原油価格が上昇すること、米国での米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測、日本での財政悪化懸念など、円安要因が山積している状況だ。
これを踏まえると、為替介入の効果がどれほど持続的なものとなるかには疑問が残る。今後数週間のうちに、介入前の水準まで戻ってしまう可能性も考えられる。
いずれにせよ、為替介入の効果は一時的であり、為替介入は、為替市場の流れを変えるような経済ファンダメンタルズの変化が起こるまでの「時間稼ぎ」でしかない。
日本政府ができる経済ファンダメンタルズの改善は、消費税率引き下げの安定した財源を明確に示し、金融市場の財政悪化懸念の緩和に努めることや、政府が日本銀行の利上げを牽制しているとの観測を払拭することだろう。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。