日本銀行の氷見野副総裁が8月27日に、、埼玉県で講演(金融経済懇談会)を行った。そのテキストが公表されたが、そこでの発言は、7月の金融政策決定会合での対外公表文とその後の植田総裁の記者会見での発言をなぞる面が多かった。
金融政策について踏み込んだ発言はなかったが、全体としては9月の会合での利上げを示唆するものと考えられるのではないか。これを受けて金融市場では9月の利上げ観測がさらに強まり、市場が織り込む利上げの確率は85%近くに達している。
現在の日本銀行の政策姿勢を示す最も重要な発言は、以下の箇所と考えられる。
「とくに、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要であり、これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要があるだろうと考えています。」
これは、7月の金融政策決定会合での植田総裁の発言と重なるものであり、現時点では、物価上昇率の上振れのリスクをより重視する政策運営を行う考えを示すものだ。さらに、植田総裁は、利上げペースが加速する可能性にも言及していた。仮に9月の会合で利上げが実施されれば、前回6月の利上げから3か月程度の間隔となる。これは従来の平均で半年弱程度の利上げの間隔と比べて短く、「利上げペースの加速」を意味する。
日本銀行の説明では、利上げペースが加速局面に入ってきた背景には、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」に近づいてきたこと、それゆえに物価上昇率が物価目標を上回るリスクをより意識する必要が高まっていることがある。
さらに、基調的物価上昇率を押し上げる可能性がある要因としては、短期的には原油価格高騰と円安の影響がある。やや長い目で見れば世界的なAIブームによる価格上昇が挙げられる。
また植田総裁は、物価連動債から算出される予想物価上昇率、BEI(ブレークイーブン・インフレ率)が足元で上振れていることを注視している、と発言していた。金融市場に表れた予想物価上昇率の上振れが実際の基調的な物価上昇率の上振れにつながることを、より警戒するようになったことを意味していると考えられる。日本銀行は従来以上に「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクを意識しているのではないか。
日本銀行は9月の会合で0.25%の利上げを決める可能性は現時点では高いと考えられる。さらに「利上げペースの加速」はしばらく続き、来年1月の会合で追加利上げが実施されると現時点では予想しておきたい。
しかし、原油価格高騰による物価上昇率の上振れは、比較的短期的なものであり、年内にもピークを越えることが見込まれることや、コメの価格の下落などにより物価上昇率の上振れが抑えられる面もあることなどを踏まえると、「利上げペースの加速」局面は、年明けごろまでの比較的短いものと見ておきたい。
金融政策について踏み込んだ発言はなかったが、全体としては9月の会合での利上げを示唆するものと考えられるのではないか。これを受けて金融市場では9月の利上げ観測がさらに強まり、市場が織り込む利上げの確率は85%近くに達している。
現在の日本銀行の政策姿勢を示す最も重要な発言は、以下の箇所と考えられる。
「とくに、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要であり、これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要があるだろうと考えています。」
これは、7月の金融政策決定会合での植田総裁の発言と重なるものであり、現時点では、物価上昇率の上振れのリスクをより重視する政策運営を行う考えを示すものだ。さらに、植田総裁は、利上げペースが加速する可能性にも言及していた。仮に9月の会合で利上げが実施されれば、前回6月の利上げから3か月程度の間隔となる。これは従来の平均で半年弱程度の利上げの間隔と比べて短く、「利上げペースの加速」を意味する。
日本銀行の説明では、利上げペースが加速局面に入ってきた背景には、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」に近づいてきたこと、それゆえに物価上昇率が物価目標を上回るリスクをより意識する必要が高まっていることがある。
さらに、基調的物価上昇率を押し上げる可能性がある要因としては、短期的には原油価格高騰と円安の影響がある。やや長い目で見れば世界的なAIブームによる価格上昇が挙げられる。
また植田総裁は、物価連動債から算出される予想物価上昇率、BEI(ブレークイーブン・インフレ率)が足元で上振れていることを注視している、と発言していた。金融市場に表れた予想物価上昇率の上振れが実際の基調的な物価上昇率の上振れにつながることを、より警戒するようになったことを意味していると考えられる。日本銀行は従来以上に「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクを意識しているのではないか。
日本銀行は9月の会合で0.25%の利上げを決める可能性は現時点では高いと考えられる。さらに「利上げペースの加速」はしばらく続き、来年1月の会合で追加利上げが実施されると現時点では予想しておきたい。
しかし、原油価格高騰による物価上昇率の上振れは、比較的短期的なものであり、年内にもピークを越えることが見込まれることや、コメの価格の下落などにより物価上昇率の上振れが抑えられる面もあることなどを踏まえると、「利上げペースの加速」局面は、年明けごろまでの比較的短いものと見ておきたい。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。