東京都区部CPIでは物価上昇率の上振れが続く
総務省が8月28日に発表した8月東京都区部消費者物価(中旬速報値)で、生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPIは、前年同月比+1.8%と、前月の同+1.7%から上昇幅が拡大した。5月の+1.2%を底に3か月間で合計+0.6%ポイントと、急速に物価上昇率は高まっている。
昨年末のガソリン暫定税率廃止や補助金といった政策の影響によって、消費者物価は前年同月比で0.27%程度押し下げられている。その影響を除けば、コアCPIの前年比上昇率の基調は+2.1%程度で、2%を超えている。
年初には一時下振れていた物価上昇率が、春以降再び上振れているのは、原油価格高騰の影響が大きい。原油価格高騰がガソリン価格、電気代などのエネルギー関連に与える影響は政策によって抑えられているが、原油から抽出されるナフサを原料とする製品の価格は、原油価格の高騰に品不足の影響も加わって顕著に上昇している。
原油価格上昇や円安といった供給ショックの影響を直接受けやすい食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く指数は、8月に前年同月比+1.4%と、前月の同+1.2%から上昇幅を拡大しており、原油価格高騰の影響がみられる。ただし、家賃、診療代などのサービス価格の上昇も上昇幅拡大に寄与しており、原油価格高騰の影響だけとは言えない。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く指数でみても、前年同月比上昇率は5月の+0.6%から8月の同+1.4%まで0.8%ポイント高まった。原油価格高騰の短期的な物価押し上げ効果は1%ポイント前後と考えられ、そのうち相当部分は8月の統計までに顕在化したものと考えられる。
昨年末のガソリン暫定税率廃止や補助金といった政策の影響によって、消費者物価は前年同月比で0.27%程度押し下げられている。その影響を除けば、コアCPIの前年比上昇率の基調は+2.1%程度で、2%を超えている。
年初には一時下振れていた物価上昇率が、春以降再び上振れているのは、原油価格高騰の影響が大きい。原油価格高騰がガソリン価格、電気代などのエネルギー関連に与える影響は政策によって抑えられているが、原油から抽出されるナフサを原料とする製品の価格は、原油価格の高騰に品不足の影響も加わって顕著に上昇している。
原油価格上昇や円安といった供給ショックの影響を直接受けやすい食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く指数は、8月に前年同月比+1.4%と、前月の同+1.2%から上昇幅を拡大しており、原油価格高騰の影響がみられる。ただし、家賃、診療代などのサービス価格の上昇も上昇幅拡大に寄与しており、原油価格高騰の影響だけとは言えない。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く指数でみても、前年同月比上昇率は5月の+0.6%から8月の同+1.4%まで0.8%ポイント高まった。原油価格高騰の短期的な物価押し上げ効果は1%ポイント前後と考えられ、そのうち相当部分は8月の統計までに顕在化したものと考えられる。
9月も続く食料品の値上げ
ただし、9月については、依然として食料品を中心に値上げの動きは顕著に残るだろう。帝国データバンクの調査(食品主要195社対象)によると、2026年9月の飲食料品の値上げは4,531品目に達する見通しで、2026年内では最多となる(図表)。単月で4千品目を超えるのは2023年10月以来だ。食料品の値上げは1年のうち4月が最も増えやすく、10月がそれに続く。9月の値上げ数が4月を上回るのは異例だろう。
同調査によると、8月の値上げ品目で最も多いのはハム・ソーセージなどの食肉製品のほか、カップ麺、缶詰製品、鏡餅製品などの「加工食品」(1419品目)だ。9月は、マヨネーズ・ドレッシングなどの調味料、冷凍食品、バター・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、ポテトチップスなどの菓子の値上げが予定されている。
同調査によると、8月の値上げ品目で最も多いのはハム・ソーセージなどの食肉製品のほか、カップ麺、缶詰製品、鏡餅製品などの「加工食品」(1419品目)だ。9月は、マヨネーズ・ドレッシングなどの調味料、冷凍食品、バター・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、ポテトチップスなどの菓子の値上げが予定されている。
図表 飲食料品の値上げ品目数の推移


予想通りの物価上昇率の上振れだが、日本銀行は利上げペースを加速へ
通常では、原油価格高騰の物価上昇率への影響は比較的短期的なものであり、持続的な物価上昇率の上振れにつながる円安の影響とは、やや性格が異なる。季節的に値上げが増えやすい10月までは、消費者は値上げを意識しやすい状況が続くが、その後には値上げの動きは緩やかに弱まっていくことが予想される。
原油価格高騰による物価上昇率の上振れは、中東情勢の緊迫化直後から広く認識されていたことであり、日本銀行は4月の展望レポートでその影響を物価見通しに大きく反映した。足もとでの物価上昇率の上振れは、こうした当初の予想から大きくずれている訳ではない。
しかし、予想されていたことであっても、原油価格高騰による物価上昇率の上振れが実際に確認されると、金融市場、家計、企業の中長期のインフレ期待は押し上げられ、それが、基調的な物価上昇率の上振れにつながる恐れがある。そうしたリスクに配慮して、日本銀行の金融政策は今年末から来年初めにかけて、一時的に利上げペースを加速させる局面に入る可能性が高まっている。8月東京都区部CPIは、9月の金融政策決定会合での利上げを後押しする材料の一つとなるだろう。
原油価格高騰による物価上昇率の上振れは、中東情勢の緊迫化直後から広く認識されていたことであり、日本銀行は4月の展望レポートでその影響を物価見通しに大きく反映した。足もとでの物価上昇率の上振れは、こうした当初の予想から大きくずれている訳ではない。
しかし、予想されていたことであっても、原油価格高騰による物価上昇率の上振れが実際に確認されると、金融市場、家計、企業の中長期のインフレ期待は押し上げられ、それが、基調的な物価上昇率の上振れにつながる恐れがある。そうしたリスクに配慮して、日本銀行の金融政策は今年末から来年初めにかけて、一時的に利上げペースを加速させる局面に入る可能性が高まっている。8月東京都区部CPIは、9月の金融政策決定会合での利上げを後押しする材料の一つとなるだろう。
プロフィール
-
木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。