鈴木幹事長続投との観測
金融市場は、内閣改造・自民党役員人事への注目を強めている。高市首相は、食料品の消費税率引き下げ方針を盛り込んだ税制改正大綱の閣議決定を15日にも行った後、早ければ9月16日~18日に内閣改造・自民党役員人事を行う方向で検討に入った、と報じられている。首相は8月4日の党役員会で、例年年末にまとめる税制改正大綱を9月中旬に前倒しし、そこで減税方針を改めて打ち出す考えを示している。
金融市場は、人事を通じて高市首相が掲げる政策、特に積極色の強い財政政策がさらに後押しされるのか、あるいは後退するのかに注目している。前者であれば、円安・債券安(長期金利上昇)がさらに進み、後者であれば円安・債券安が修正される、との見方になる。現時点で考えれば、どちらでもない、現状維持の可能性が一番高そうだ。
最も注目されるのが、党運営の最重要ポストである幹事長だ。現在の鈴木幹事長は麻生氏の義弟であり、また麻生派の重鎮で、麻生氏とともに財務大臣経験者でもある。消費税の減税には、本来慎重な立場だったと考えられる。複数の報道によると、高市首相は鈴木幹事長を続投させる方向で検討に入ったとされる。麻生氏も副総裁を続投するとみられる。
新たな幹事長候補に、萩生田氏の名前も挙がっていた。安倍派の流れをくむ萩生田氏が幹事長に就けば、高市首相は積極財政・保守色の強い政策運営がより加速しやすくなる可能性がある。しかし、裏金問題への関わりから、世論の批判を受けることになるだろう。
鈴木幹事長の続投には、積極色の強い自らの財政政策をさらに前に進めるよりも、引き続き麻生氏の協力を得て来年9月の任期満了に伴う総裁選に向け党内基盤を固める狙いがあるとみられる。
金融市場は、人事を通じて高市首相が掲げる政策、特に積極色の強い財政政策がさらに後押しされるのか、あるいは後退するのかに注目している。前者であれば、円安・債券安(長期金利上昇)がさらに進み、後者であれば円安・債券安が修正される、との見方になる。現時点で考えれば、どちらでもない、現状維持の可能性が一番高そうだ。
最も注目されるのが、党運営の最重要ポストである幹事長だ。現在の鈴木幹事長は麻生氏の義弟であり、また麻生派の重鎮で、麻生氏とともに財務大臣経験者でもある。消費税の減税には、本来慎重な立場だったと考えられる。複数の報道によると、高市首相は鈴木幹事長を続投させる方向で検討に入ったとされる。麻生氏も副総裁を続投するとみられる。
新たな幹事長候補に、萩生田氏の名前も挙がっていた。安倍派の流れをくむ萩生田氏が幹事長に就けば、高市首相は積極財政・保守色の強い政策運営がより加速しやすくなる可能性がある。しかし、裏金問題への関わりから、世論の批判を受けることになるだろう。
鈴木幹事長の続投には、積極色の強い自らの財政政策をさらに前に進めるよりも、引き続き麻生氏の協力を得て来年9月の任期満了に伴う総裁選に向け党内基盤を固める狙いがあるとみられる。
片山財務相も続投か
もう一つの大きな注目は、片山財務相の去就だろう。7月末の財務省事務次官人事をめぐり、両者の関係は悪化したとの報道もある。高市首相が望まない財政規律派を、片山財務相が財務次官に充てたためだという。
片山財務相は高市首相の積極財政政策を支持しているが、極端な積極財政論者ではないように見える。また、高市首相と比べると、円安進行や債券安などの金融市場の動きをより警戒しているのではないか。つまり、財政政策や為替政策を巡って、両者の間には一定程度の温度差があるように見受けられる。
高市首相が、自民党内の慎重意見を押し切って、さらに積極財政政策を進める考えであれば、より自身の考えに近い人物を新たに財務相に任命する可能性があるだろう。消費税減税の党内議論をまとめた小野寺党税調会長や、首相側近で積極財政論者の城内経済財政担当相の横滑りとの観測もある。
しかし、日米協調介入の実現に貢献した片山財務相を交代させることは、トランプ政権との協力関係に悪影響を与える可能性もあり、難しいのではないか。現状では、片山財務相が続投する可能性が比較的高いと見ておきたい。
片山財務相は高市首相の積極財政政策を支持しているが、極端な積極財政論者ではないように見える。また、高市首相と比べると、円安進行や債券安などの金融市場の動きをより警戒しているのではないか。つまり、財政政策や為替政策を巡って、両者の間には一定程度の温度差があるように見受けられる。
高市首相が、自民党内の慎重意見を押し切って、さらに積極財政政策を進める考えであれば、より自身の考えに近い人物を新たに財務相に任命する可能性があるだろう。消費税減税の党内議論をまとめた小野寺党税調会長や、首相側近で積極財政論者の城内経済財政担当相の横滑りとの観測もある。
しかし、日米協調介入の実現に貢献した片山財務相を交代させることは、トランプ政権との協力関係に悪影響を与える可能性もあり、難しいのではないか。現状では、片山財務相が続投する可能性が比較的高いと見ておきたい。
現状維持の人事が円安・債券安の修正に一定程度貢献する可能性
結果的に、内閣改造・党役員人事は、金融市場に大きなサプライズを生じさせないと見ておきたい。
ただし、高市首相が積極財政政策など自らの政策をさらに前進させるつもりであれば、鈴木幹事長、片山財務相を交代させると金融市場は予想するだろう。そうした予想に反して両者が続投となる場合には、党内基盤の強化に加え、円安・債券安などの金融市場の動きや、リフレ政策の修正を求めるトランプ政権に一定程度配慮した結果だと、金融市場は受け止めるのではないか。そして金融市場は、それを、高市首相の政策姿勢が軌道修正される兆候と考える可能性がある。
その場合には、重要ポストで現状維持の人事が、円安・債券安の修正に一定程度貢献する可能性が出てくるだろう。
ただし、高市首相が積極財政政策など自らの政策をさらに前進させるつもりであれば、鈴木幹事長、片山財務相を交代させると金融市場は予想するだろう。そうした予想に反して両者が続投となる場合には、党内基盤の強化に加え、円安・債券安などの金融市場の動きや、リフレ政策の修正を求めるトランプ政権に一定程度配慮した結果だと、金融市場は受け止めるのではないか。そして金融市場は、それを、高市首相の政策姿勢が軌道修正される兆候と考える可能性がある。
その場合には、重要ポストで現状維持の人事が、円安・債券安の修正に一定程度貢献する可能性が出てくるだろう。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。