日米当局による協調の口先介入か
9月25日の外国為替市場では、1ドル159円程度から1ドル157円程度まで、1日のうちに2円程度一気に円高が進んだ。その背景にあるのは、日米当局によるドル高円安牽制の口先介入だ。日米当局ともに1ドル160円を防衛ラインとしていることがうかがい知れる。
高市首相は25日に、22日に米国で行われた日米首脳会談の場で、トランプ大統領から「円安によって米国の貿易が厳しいという話があった」と明かした。高市首相は「一般論として円の過小評価は問題」と伝えたという。さらに、「金融政策や財政政策に関するような議論はなかった」と述べたうえで、「今後の高市内閣の取り組みは変わらない。責任ある積極財政のもとで、強い経済と財政の持続可能性、これを両立していく」と強調した。
片山財務相も同日に、「(日米首脳会談で)トランプ大統領から円安への懸念が示された」と言及し、また、「私とベッセント米財務長官の間で様々な事項について緊密にやり取りをしていく」と述べた。
ドル円レートが再び1ドル160円に接近したことを警戒した日本政府が、米国の威光を借りて口先介入による円安けん制に動いたように見える。しかし、高市首相がトランプ大統領の為替に関する発言に言及したのは、事前に米政府の了承を得たものではないとは考えにくい。
さらに、ベッセント財務長官は25日に日米首脳会談での議論を踏まえて片山財務相と協議したと投稿し、「堅調な日本経済のファンダメンタルズを反映した強い円が望ましく、外国為替市場に関する緊密なコミュニケーションの維持が重要だということを話し合った」とした。この点から、1ドル160円に接近したことを警戒した日米両政府が、連携して口先介入による円安けん制に動いたと考えられる。
高市首相は25日に、22日に米国で行われた日米首脳会談の場で、トランプ大統領から「円安によって米国の貿易が厳しいという話があった」と明かした。高市首相は「一般論として円の過小評価は問題」と伝えたという。さらに、「金融政策や財政政策に関するような議論はなかった」と述べたうえで、「今後の高市内閣の取り組みは変わらない。責任ある積極財政のもとで、強い経済と財政の持続可能性、これを両立していく」と強調した。
片山財務相も同日に、「(日米首脳会談で)トランプ大統領から円安への懸念が示された」と言及し、また、「私とベッセント米財務長官の間で様々な事項について緊密にやり取りをしていく」と述べた。
ドル円レートが再び1ドル160円に接近したことを警戒した日本政府が、米国の威光を借りて口先介入による円安けん制に動いたように見える。しかし、高市首相がトランプ大統領の為替に関する発言に言及したのは、事前に米政府の了承を得たものではないとは考えにくい。
さらに、ベッセント財務長官は25日に日米首脳会談での議論を踏まえて片山財務相と協議したと投稿し、「堅調な日本経済のファンダメンタルズを反映した強い円が望ましく、外国為替市場に関する緊密なコミュニケーションの維持が重要だということを話し合った」とした。この点から、1ドル160円に接近したことを警戒した日米両政府が、連携して口先介入による円安けん制に動いたと考えられる。
トランプ政権も1ドル160円を防衛ラインと想定か
ドル円レートが1ドル164円近辺までドル高円安が進んだ7月末に、日米は為替市場で円安阻止に向けた協調介入を実施した。それを受けて一時円高に振れたドル円レートが9月初めに再び1ドル160円近辺まで円安が進むと、ベッセント財務長官は、日本銀行の利上げへの期待を公言するなど、円安阻止の口先介入を強化した。そして、9月18日の日本銀行の利上げ後に再度円安が進んだことで、今回の事態に至ったのである。
日本政府のみならず、トランプ政権も1ドル160円という水準をかなり意識しており、そこを防衛ラインと捉えていることが考えられる。足もとでは、日本側の要因ではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ期待によるところが大きいとみられるが、原因はどうあれ、ドル高円安がさらに進んだ場合、日米連携による円安阻止の取り組みは続く可能性が高い。
日本政府のみならず、トランプ政権も1ドル160円という水準をかなり意識しており、そこを防衛ラインと捉えていることが考えられる。足もとでは、日本側の要因ではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ期待によるところが大きいとみられるが、原因はどうあれ、ドル高円安がさらに進んだ場合、日米連携による円安阻止の取り組みは続く可能性が高い。
日本の財政政策についてもトランプ政権からの修正要請が強まるか
最終的には前回と比べてより大規模で本格的な日米協調介入が実施される可能性が考えられるが、これは為替市場が強く警戒する点だ。その前段階では、今回のように日米政府による協調の口先介入が実施される可能性が考えられる。さらに、トランプ政権による日本の経済政策に対する圧力も再び高まるのではないか。
トランプ政権の働きかけにより、日本銀行の利上げペースの加速が実現したという面がある。次の大きな注目点は、円安進行の背景の一つと考えられる高市政権の財政政策についても、トランプ政権が修正の注文を強め、その結果、実際に一定程度修正されるかどうかである。
冒頭の発言のように、高市政権は責任ある積極財政を堅持する姿勢を示しており、また、トランプ政権からの財政政策への介入を警戒し、それに不快感を持っているように見える。
トランプ政権も日本の財政政策について具体的な措置にまで言及した介入は避けるだろう。しかし、日本の財政政策がもたらす円安や債券安(長期金利上昇)について、米国及び世界の経済・金融市場の不安定要因となることを警戒しているとみられる。
ドル円レートが再び1ドル160円を超える、あるいは3%台に達した10年国債利回りがさらに上昇する場合、金融市場の安定に配慮するよう、財政政策の見直しを高市政権に迫る可能性があるだろう。しかし、それを強く撥ねつければ、日米関係の悪化にもつながりかねず、高市政権はそうした要求に一定程度の配慮を見せざるを得なくなるのではないか。それが、円安、債券安の歯止めとなっていく展開を先々は見ておきたい。
(参考資料)
「円急伸、一時156円台 トランプ氏の円安発言に反応」、2026年9月25日、日本経済新聞電子版
「米財務長官「強い円が望ましい」、片山財務相との協議で見解伝える」、2026年9月26日、日本経済新聞電子版
「トランプ氏「円安に懸念」、異例の言及 強まる経済運営への制約」、2026年9月26日、日本経済新聞電子版
トランプ政権の働きかけにより、日本銀行の利上げペースの加速が実現したという面がある。次の大きな注目点は、円安進行の背景の一つと考えられる高市政権の財政政策についても、トランプ政権が修正の注文を強め、その結果、実際に一定程度修正されるかどうかである。
冒頭の発言のように、高市政権は責任ある積極財政を堅持する姿勢を示しており、また、トランプ政権からの財政政策への介入を警戒し、それに不快感を持っているように見える。
トランプ政権も日本の財政政策について具体的な措置にまで言及した介入は避けるだろう。しかし、日本の財政政策がもたらす円安や債券安(長期金利上昇)について、米国及び世界の経済・金融市場の不安定要因となることを警戒しているとみられる。
ドル円レートが再び1ドル160円を超える、あるいは3%台に達した10年国債利回りがさらに上昇する場合、金融市場の安定に配慮するよう、財政政策の見直しを高市政権に迫る可能性があるだろう。しかし、それを強く撥ねつければ、日米関係の悪化にもつながりかねず、高市政権はそうした要求に一定程度の配慮を見せざるを得なくなるのではないか。それが、円安、債券安の歯止めとなっていく展開を先々は見ておきたい。
(参考資料)
「円急伸、一時156円台 トランプ氏の円安発言に反応」、2026年9月25日、日本経済新聞電子版
「米財務長官「強い円が望ましい」、片山財務相との協議で見解伝える」、2026年9月26日、日本経済新聞電子版
「トランプ氏「円安に懸念」、異例の言及 強まる経済運営への制約」、2026年9月26日、日本経済新聞電子版
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。