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声明文全体はタカ派色が強いものに

10月27・28日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の据え置きを決めた。議決権を持つ12人のメンバーのうち、トランプ大統領と対立を続けるクック理事とクリーブランド連銀のハマック総裁の2人が、9月に続く2会合連続の利上げを主張した。
 
ウォーシュ議長就任後、声明文では先行きの政策方針、いわゆるフォワードガイダンスを示さなくなっており、今回の声明文でも同様だった。ウォーシュ議長はFOMC後の記者会見で、「緊急事態や危機がない限り、フォワードガイダンスには賛成できない」と、その考えを改めて強調した。
 
ただし、声明文全体としてはタカ派色の強い内容となった。「Inflation remains elevated(インフレは依然として高い)」 「The Committee will deliver price stability(委員会は物価安定を実現する)」の2つの文言を組み合わせれば、先行きの利上げの方針が示されているとも言えるだろう。実際、次回12月のFOMCでは0.25%の利上げが実施される可能性が高いとみられる。金融市場では現在、8割以上の確率で、12月の利上げ実施が予想されている。
 
11月3日の中間選挙直前の利上げが回避されたことに、トランプ大統領は安堵しているのではないか。しかしウォーシュ議長は記者会見で、「今回の決定をめぐって、政治的な要素は一切含まれなかった」と説明している。
 
声明文と同様にウォーシュ議長も「インフレ率は高すぎる」とし、物価の安定を確保するという「FRBとしての我々の目的は明確だ」と強調した。
 
一方で、「9月に政策措置を決定した後、金融・信用環境をめぐって変化が見られ始めている。企業や家計の金融環境が引き締まり、市場関係者の慎重さも増している。金融環境は全体としてより引き締まってきている」などの指摘を行っており、利上げの効果を慎重に見極める姿勢も滲ませている。

ウォーシュ議長の改革の成否

ウォーシュ議長が掲げてきたFRB改革は、議長の「来年の秋からFOMCのスケジュールを変更することを決めた。27年には1回、幅広い金融政策の戦略に特化する会合を実施する。その会合では政策金利の決定も、声明要旨も発表しない。28年にはこのような戦略会合を2回開き、政策決定のための会合は6回開く」という発言の通り、実質的に金融政策を決定するFOMCの年6回化を目指すものだ。

さらに現在進めているFRB改革に向けた5つのタスクフォースについては、「一部のグループは年末までの期限通りに成果物を提出できると思う。11月16日には生産性と雇用についてのタスクフォースが現地公聴会を開催する予定で、幅広い意見を持った人を招待する見通しだ」と述べ、改革をさらに進める方向を示した。

ウォーシュ議長が進めるフォワードガイダンスの見直しについては、なお金融市場では否定的な受け止め方が残る。今回のFOMCの直前には一部のメンバーが利上げに慎重な発言を行い、フォワードガイダンスを求める金融市場のニーズに応えるような行動も見せている。ウォーシュ議長の改革については、最終的な着地点はまだ見えていない。

(参考資料)
「ウォーシュ議長「政治的な要素は一切含まない」 FOMC記者会見」、2026年10月29日、日本経済新聞電子版  

プロフィール

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    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。