値上げの動きは、ピークを越えつつある
帝国データバンクが10月30日に公表した飲食料品の値上げ調査によると、11月の飲食料品値上げは、合計1,477品目となった。高水準は続くものの、単月の値上げ品目数としては3か月ぶりに3千品目を下回った。
さらに現時点での調査では、12月の値上げ品目数は154品目とさらに大幅に低下し、6か月ぶりに前年同月の水準を下回った。来年に入ってからも、値上げ品目数は比較的低い水準が続く見通しとなっており、原油価格高騰によって夏場以降広がりを見せた値上げの動きは、ピークを越えつつある(図表)。
帝国データバンクによると、11月の値上げで最も多いのはソース類やマヨネーズ類を中心とした「調味料」(644品目)だった。それに続くのは、「酒類・飲料」(417品目)、そして魚介缶詰製品や乳幼児向け食品などが中心の「加工食品」(275品目)となった。
さらに現時点での調査では、12月の値上げ品目数は154品目とさらに大幅に低下し、6か月ぶりに前年同月の水準を下回った。来年に入ってからも、値上げ品目数は比較的低い水準が続く見通しとなっており、原油価格高騰によって夏場以降広がりを見せた値上げの動きは、ピークを越えつつある(図表)。
帝国データバンクによると、11月の値上げで最も多いのはソース類やマヨネーズ類を中心とした「調味料」(644品目)だった。それに続くのは、「酒類・飲料」(417品目)、そして魚介缶詰製品や乳幼児向け食品などが中心の「加工食品」(275品目)となった。
図表 飲食料品値上げ品目数の推移


11月に予定される値上げの実例
11月に予定されている飲食料品の値上げの具体例は、以下の通りだ。キユーピーは、11月1日出荷分から家庭用224品目(約3~25%)と業務用601品目(約2~38%)を値上げした。マヨネーズ450gは税抜で517円が565円になった。
飲料では、アサヒ飲料(約4~16%)、サントリー(ペットボトル5~12%、缶9~19%)、伊藤園、UCC、サンガリアが11月1日分から、ネスレ日本のボトルコーヒーが11月2日分から値上げする。
菓子では、明治(約3~8%、きのこの山・たけのこの里など)、カルビー(3~15%程度、ポテトチップスなど70品目)、日清シスコ(約5~17%)の値上げが予定されている。
加工食品では、大塚製薬のカロリーメイト・ソイジョイ(13.6~16.7%)、はごろもフーズのシーチキン(14.3~37.0%)、和光堂のベビーフード(約15~24%)、丸美屋のふりかけ(約7.7~36.4%)で値上げが予定されている。
調味料では、オタフクソース(約5~14%、70品目)の値上げが予定されている。
一方、日用品・その他商品では、ピジョンが哺乳びんなどベビー用品3~36%、介護用品2~23%(計289品目)、マンダムが平均9.7%(ギャツビーなど61品)、サンスターが7%以上(G・U・Mなど35品)、ユニクロが感動ジャケット6,990円→7,990円(11月10日)、バッファローの交換用HDD・USBメモリー(4.0~265.9%)、アイ・オー・データのNAS・HDD(3.3~57.1%)などの値上げがそれぞれ予定されている。
サービス価格では、自賠責保険料が11月1日以降に始まる契約から全車種平均で6.2%の引き上げとなり、自家用乗用車(24か月契約)は17,650円から18,560円となる。電気代は12月分(11月使用分)で大手10社中7社が過去最高となり、東京電力の標準家庭は9,738円(+177円)となる。都市ガスについては、東京ガスの11月検針分は前月より744円上昇する。
飲料では、アサヒ飲料(約4~16%)、サントリー(ペットボトル5~12%、缶9~19%)、伊藤園、UCC、サンガリアが11月1日分から、ネスレ日本のボトルコーヒーが11月2日分から値上げする。
菓子では、明治(約3~8%、きのこの山・たけのこの里など)、カルビー(3~15%程度、ポテトチップスなど70品目)、日清シスコ(約5~17%)の値上げが予定されている。
加工食品では、大塚製薬のカロリーメイト・ソイジョイ(13.6~16.7%)、はごろもフーズのシーチキン(14.3~37.0%)、和光堂のベビーフード(約15~24%)、丸美屋のふりかけ(約7.7~36.4%)で値上げが予定されている。
調味料では、オタフクソース(約5~14%、70品目)の値上げが予定されている。
一方、日用品・その他商品では、ピジョンが哺乳びんなどベビー用品3~36%、介護用品2~23%(計289品目)、マンダムが平均9.7%(ギャツビーなど61品)、サンスターが7%以上(G・U・Mなど35品)、ユニクロが感動ジャケット6,990円→7,990円(11月10日)、バッファローの交換用HDD・USBメモリー(4.0~265.9%)、アイ・オー・データのNAS・HDD(3.3~57.1%)などの値上げがそれぞれ予定されている。
サービス価格では、自賠責保険料が11月1日以降に始まる契約から全車種平均で6.2%の引き上げとなり、自家用乗用車(24か月契約)は17,650円から18,560円となる。電気代は12月分(11月使用分)で大手10社中7社が過去最高となり、東京電力の標準家庭は9,738円(+177円)となる。都市ガスについては、東京ガスの11月検針分は前月より744円上昇する。
原油価格高騰の影響は比較的短期
現在の物価高は、人件費上昇の波及効果なども影響しているとはいえ、円安と原油高といった外からの供給ショックによって引き起こされた「悪い物価上昇」の性格が強い。経済の潜在力向上、個人消費などの需要増加に支えられた、持続的な「良い物価上昇」とは異なる。それゆえに、持続的なものではないと考えられる。大幅な値上げを続ければ、個人はいずれ消費をかなり控えるようになってしまう恐れもある。
原油価格上昇をきっかけとする日用品や食料品の値上げは、数か月から半年で急速に表れる一方、比較的短期で落ち着いていく傾向がある。この点は、やや息の長い円安による物価高とは異なり、短期的であることが原油価格上昇による物価高の特徴だ。
来年以降も高水準の物価上昇率自体は続くものの、上昇率がどんどん高まっていく加速局面は一巡しつつあるとみられる。WTI原油先物価格は、再び1バレル100ドル前後まで上昇しているが、足もとの物価上昇率の上振れは、原油価格が3月の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降1バレル60ドル台から100ドル台まで短期間で急騰した影響が表れているのであり、原油価格が高止まりしても、物価上昇率への押し上げ効果は徐々に減衰していく。
足もとで円安に歯止めがかかっていることを踏まえると、年明け後の物価上昇率は緩やかに低下していき、個人消費を支えることになるだろう。
原油価格上昇をきっかけとする日用品や食料品の値上げは、数か月から半年で急速に表れる一方、比較的短期で落ち着いていく傾向がある。この点は、やや息の長い円安による物価高とは異なり、短期的であることが原油価格上昇による物価高の特徴だ。
来年以降も高水準の物価上昇率自体は続くものの、上昇率がどんどん高まっていく加速局面は一巡しつつあるとみられる。WTI原油先物価格は、再び1バレル100ドル前後まで上昇しているが、足もとの物価上昇率の上振れは、原油価格が3月の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降1バレル60ドル台から100ドル台まで短期間で急騰した影響が表れているのであり、原油価格が高止まりしても、物価上昇率への押し上げ効果は徐々に減衰していく。
足もとで円安に歯止めがかかっていることを踏まえると、年明け後の物価上昇率は緩やかに低下していき、個人消費を支えることになるだろう。
食料品の消費税率引き下げ時の企業の価格設定
企業が頭を悩ますのは、来年4月に食料品の消費税率が引き下げられる際の価格設定だ。価格改定には、値札の付け替え、レジシステムでの入力価格の修正などのコストがかかる。こうしたコストは「メニューコスト」と呼ばれる。また、頻繁な値上げが顧客離れを招く可能性もある。そこで企業は、できる限り価格改定の頻度を抑えようとするのである。
食料品の価格上昇は続いており、9月の消費者物価統計で生鮮食品を含む食料品の価格は前年同月比で+2.8%となった。来年4月に食料品の消費税率が8%から1%に下がる分を正確に価格に反映させれば、食料品の価格は6.5%低下することになる。
しかし「メニューコスト」を抑えようとする企業は、消費税率引き下げに対応して販売価格を下げたあと、間をおかずに値上げをすることを避けるために、当面の値上げ分を含めて来年4月1日に価格を設定することが考えられる。
食料品の価格が1年間で+2.8%上昇する現状が続くことを前提に、企業が4月の消費税率引き下げに伴う値下げから半年間の値上げを回避するために、半年分の値上げを前倒しで織り込んで4月1日に価格設定を行う場合、値下げ幅は6.5%ではなく5.2%に圧縮される計算だ。また、先行き1年分の値上げを前倒しで織り込む場合、4月1日の値下げ幅は3.9%まで圧縮される。
このような点を踏まえると、来年4月1日には消費税率引き下げ分よりも値下げ幅は圧縮されやすい。他方、企業が先行きの値上げ分を来年4月1日の値下げ実施以前に前倒しで実施する可能性もあるだろう。その場合、来年4月1日の値下げ幅はより大きくなる一方、帝国データバンクの調査が示すよりも、今年の年末から来年の初めにかけての値上げの動きが一時的に強まることも考えられる。
いずれにせよ、原油価格、円安と並んで来年4月の消費税率引き下げは、企業の価格設定行動を大きくかく乱することになるだろう。
食料品の価格上昇は続いており、9月の消費者物価統計で生鮮食品を含む食料品の価格は前年同月比で+2.8%となった。来年4月に食料品の消費税率が8%から1%に下がる分を正確に価格に反映させれば、食料品の価格は6.5%低下することになる。
しかし「メニューコスト」を抑えようとする企業は、消費税率引き下げに対応して販売価格を下げたあと、間をおかずに値上げをすることを避けるために、当面の値上げ分を含めて来年4月1日に価格を設定することが考えられる。
食料品の価格が1年間で+2.8%上昇する現状が続くことを前提に、企業が4月の消費税率引き下げに伴う値下げから半年間の値上げを回避するために、半年分の値上げを前倒しで織り込んで4月1日に価格設定を行う場合、値下げ幅は6.5%ではなく5.2%に圧縮される計算だ。また、先行き1年分の値上げを前倒しで織り込む場合、4月1日の値下げ幅は3.9%まで圧縮される。
このような点を踏まえると、来年4月1日には消費税率引き下げ分よりも値下げ幅は圧縮されやすい。他方、企業が先行きの値上げ分を来年4月1日の値下げ実施以前に前倒しで実施する可能性もあるだろう。その場合、来年4月1日の値下げ幅はより大きくなる一方、帝国データバンクの調査が示すよりも、今年の年末から来年の初めにかけての値上げの動きが一時的に強まることも考えられる。
いずれにせよ、原油価格、円安と並んで来年4月の消費税率引き下げは、企業の価格設定行動を大きくかく乱することになるだろう。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。