顧客業務に特化した生成系AIの活用方式を研究開発中

昨今、ChatGPTを代表とする生成系AIサービスは、誰にでも手軽に利用することが可能となりましたが、一方で、いわゆるハルシネーションと呼ばれる、AIが事実に基づかない情報を生成する現象が問題となっています。そのため、例えばヘルプデスクの業務のように、大量の社内文書を理解して、正確に問い合わせに対応し、フィードバックを収集する業務において、生成系AIを用いることは難しいのが現状です。また、セキュリティに配慮し、業務で効果的に生成系AIサービスを活用するためには、業務に必要なデータを限定し、AIに取り込む必要があることに加え、AIが正しく入力を解釈して適切な出力をできるようにするために、業務データに合わせた前処理・後処理方法の工夫を行うなど、業務に特化した生成系AIの活用ノウハウが必要となります。
NRIでは、顧客の業務・データ・運用までの業務適用を目指して、顧客業務に特化した生成系AIの活用に関する研究開発を行っており、今回「Azure OpenAI Service」を活用した社内での実証実験を開始しました。本実証実験はNRIが提供中のASPサービスのヘルプデスク業務と、本社機構（経理業務）へのNRI社員からの照会シーンを対象としています。詳細は下図をご覧ください。

図：実証実験の概要

顧客業務における生成系AIの活用に向けて

今後、NRIは上述の実証実験で得られた知見を活かし、「Azure OpenAI Service」の顧客業務へ効果的な適用から運用まで一気通貫の活用支援を目指すとともに、意思決定支援が求められる顧客業務での生成系AIサービスの活用も目指し、安全安心な環境下における生成系AIの研究開発を継続します。

日本マイクロソフト株式会社　パートナー事業本部　業務執行役員エンタープライズ統括本部　統括本部長　木村 靖氏からのコメント

日本マイクロソフトは、Azure OpenAI Serviceに関する株式会社野村総合研究所様の社内での実証実験開始ならびにお客様に対する一気通貫の活用支援を目指されることを心より歓迎致します。
Azure OpenAI Serviceは、言語とコードを深く理解した大規模で生成的な AIモデルを活用して、最先端のアプリケーションを構築するための新しい論理的思考と理解の機能を実現すると共に「責任あるAI」の実践により、エンタープライズレベルのAzureセキュリティを実現致します。
今後、株式会社野村総合研究所様がAzure OpenAI Serviceを活用したコンサルティング、開発、運用保守まで一貫したサポートをご提供され、国内の企業や自治体におけるデジタルトランスフォーメーションの実現に寄与されることを期待しています。

NRIグループは、2019年10月に「NRIグループAI倫理ガイドライン」を策定し¹、AIの利便性とリスク（情報漏洩や倫理問題等）の双方を考慮しつつ、研究開発を実施しています。今後もAIの導入や活用による社会の変化と、AIがもたらす社会課題の解決能力に目を向け、人間がAIを有効かつ適切に活用する未来社会の実現を目指していきます。

• Microsoft 、Azureは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
• その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

• ¹  

  野村総合研究所、「NRIグループAI倫理ガイドライン」を策定
  https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2019/cc/1024_1