経営用語の基礎知識

事業部制Divisional Organization

本社部門の下に、事業ごとに編成された組織(事業部)を配置した組織形態。本社部門の負担を減らし、各事業で迅速な意思決定ができる。

企業が多角化したり、地理的に拡大したりすると、本社部門がすべての事業に関する意思決定を行うのは難しくなります。事業部制は、事業運営に関する責任・権限を本社部門が事業部に委譲することで、本社部門の経営負担を軽減するとともに、各事業の状況に応じた的確で迅速な意思決定を促進しようというものです。

松下電器産業が日本で最初に採用

歴史的には1920年代にデュポンが採用し、これを参考にしてGMが導入したものが本格的な事業部制の始まりです。日本企業では1933年に松下電器産業で採用したのが最初だといわれていますが、今では大多数の上場企業で採用されている、極めて一般的な組織形態となっています。

事業部は自立的な事業運営を行う上で必要となる機能をすべて内包しているのが原則ですが、実際には調達や製造、販売、人事、経理等の機能を個々の事業部の中には取り込まず、全社レベルで共有しているケースが多く見受けられます。

事業部制のメリットとしては、(1)権限委譲により、市場の変化を的確に踏まえた迅速な意思決定が期待できる、(2)事業部ごとに損益計算書を作成するため、事業別の利益責任が明確になり、業績向上に向けたインセンティブが働きやすい、(3)本社部門の事業運営に関する負担が軽減され、本社部門がより全社的、戦略的な事項に集中できるようになる、(4)事業部長に経営者としての経験を積ませることができるなどがあげられます。

事業部制の弊害

事業部制の問題点としては、(1)各事業部が経営機能を重複して持つため、経営資源面での無駄が生じる、(2)組織の壁により、事業部をまたがる新商品、新サービスが生まれにくくなる、といった点が指摘されています。

最近、事業ごとの責任・権限をさらに高めた、事業部制の発展形ともいうべきカンパニー制が脚光を浴びていますが、分権化によるメリットを最大限に活かすとともに、組織間の機能重複による非効率や組織の壁による弊害をなくすための工夫も同時に求められます。組織の定期的な組み替えや、事業部間の調整、コーディネート機能の強化もあわせて考えていくことが必要です。