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コンサルティングとソリューションの垣根を超える

執行役員 システムコンサルティング事業本部長 産業ITイノベーション事業本部副本部長 郡司 浩太郎

若手の頃から、多様なバッググラウンドのメンバーと一緒に、コンサルティングからソリューションまで手掛ける経験を重ねてきた郡司浩太郎。プロフェッショナルが集まり、役割分担しながら一緒に価値を創造するアプローチの醍醐味を肌で感じてきました。

高い志を持って仕事に臨む

郡司 浩太郎 

1990年に入社し、最初はシンクタンク部門で都市計画、運輸政策等の調査研究に携わりました。大学時代に都市計画を専攻していたこともあり、地価の問題や交通渋滞など都市に関する様々な調査研究や政策提言を手掛けていたNRIが、面白そうだと思ったのが入社のきっかけになりました。

新人のときに一番衝撃を受けたのは、当時の部長から言われた「我々は社会正義のために仕事をしている」という言葉です。目先の売上や利益だけでなく、社会・国家のために貢献する。そういった志や姿勢を持って仕事をするのは、シンプルにカッコいいと思いました。その後のキャリアの中でも、この言葉は仕事に対する意識や目線を高めてくれました。

その後、1997年に新たに立ち上がった「新社会システム事業本部」に異動になりました。ここはコンサルタントやシステムエンジニア(SE)が一緒に仕事をする混成部隊で、既存事業とは一線を画した新しい試みに挑戦する部門でした。当時はまだインターネットの黎明期でしたが、オンラインショッピングモールの実験、コンテンツ配信事業、グローバルSCM事業などの企画を立て、試行錯誤を繰り返していました。多様なバックグラウンドを持つ社員が集まり、互いの専門性を集結して、新規事業を検討する、当時としては画期的な環境でした。この中から、現在のグループ会社「NRIセキュアテクノロジーズ」や「NRIサイバーパテント」の素になる新規事業が創出されていきました。

失敗も成功も成長の糧にする

この時代を振り返って特に思い出深いのは、衛星通信を使ったコンテンツ配信ビジネスの立ち上げに参画したことです。マイクロソフト、任天堂、NRIの3社が提携した夢のある新規事業だったのですが、当時はインターネットの回線速度が遅く、提供できるコンテンツも限定される状況でした。時代が早すぎたのでしょう。結局、ビジネスはうまくいきませんでした。この経験から、新規事業にはタイミングが重要であることを痛感しましたが、ゼロから新しいビジネスを立ち上げる経験は非常に貴重なものでした。成功も失敗もすべて、自分のキャリアの糧になると思っています。

その後は、コンサルタントの立場でソリューション部門に身を置き、SE部隊と一緒にシステムの上流支援活動に関わるようになりました。ここで、情報システムの世界の奥深さや、SEが大事にしている価値観を深く知ることができました。印象深かったのが、サッポロビール様とのプロジェクトです。世の中にはないサプライチェーンの計画システムをゼロから開発したのですが、コンサルタントとSEが文字通り一緒になって、お客様のために価値創造に挑みました。大きなプロジェクトだけに大変でしたが、互いを理解・信頼(ミューチュアル・リスペクト)し、プロジェクトを成功に導いたことは、個人的にも、コンサルタントとしての幅を拡げることになりました。

お客様にベクトルを合わせれば、ワンチームになれる

郡司 浩太郎 

2016年からシステムコンサルティング事業本部に移り、産業ITコンサルティング部の部長を経て、2019年から副本部長を務めています。現在は産業領域のアカウントの統括、人材育成・採用、コンサルティングのサービス開発を担当するほか、中長期視点で全社の顧客大型化活動を支えるPAR支援室長も兼務しています。これまで業務を通じて新しいお客様を開拓していく活動を担ってきましたが、立場が変わった今、目線を更に引き上げ、より大きな観点で動いていくように心掛けています。

人材採用の仕事で転職希望の方と面接をすると、「同業他社と比べて、コンサル・営業・開発で製販分離になっていないのがNRIの魅力だ」という話をよく聞きます。私の中では、コンサルティングもシステム開発も「手段」だと考えています。お客様と一緒に新事業を創る、あるいはお客様の事業成長を支援する、その手段として、コンサルティングも、システム開発も、運用もあるという捉え方をしています。互いにぶつかりあったとしても、相手に対する関心や好奇心を持って接する。感情論を抜きに、お客様に向かってワンチームで取り組む。お客様を基点にした考え方さえ共有できていれば、プロフェッショナルとして役割分担ができるはずです。

サイエンス×アートでNRIらしい戦い方を考えたい

世の中には新しい技術が次々と登場し、開発スタイルも変わっています。お客様の要求レベルは高まり、コストも下げなくてはならない。そういう厳しい時代ですが、必ずしも最先端のデジタル技術だけでビジネスの勝敗が決するわけではありません。レガシー領域の経験があるからこそ実現できることはたくさんあります。新しい領域とレガシー資産をうまくつなぎ、お客さまの目線で課題解決を手伝うという立ち位置が、NRIが価値の出せる領域です。お客様の要望にただ応えるだけでなく、お客様と議論をしながら、提言や助言ができるのもNRIらしさだと思います。

強みを活かしつつ、未来志向で考えていくことも大切です。従来のコンサルティングは、人間の経験や勘(暗黙知)で実施している業務領域に、KPI(Key Performance Index)やマネジメントの方法論などの“サイエンス”を導入するというアプローチが主流でした。システム開発やデジタル活用もサイエンス領域のものです。しかし、これらはいずれコモディティ化し、差別化できなくなります。その一方で、経営や事業活動には、美意識、感性、価値観など“アート”の要素が、より重要視されるという仮説を持っています。その中で、NRIの価値をどこに求めるべきか、何をすべきか。答えはまだ見つかっていませんが、個人としても、会社としても、新しい領域、異なる領域に意識的、計画的にチャレンジする姿勢を持ち続けたいと思っています。

執行役員 システムコンサルティング事業本部長 産業ITイノベーション事業本部副本部長

郡司 浩太郎

Profile

1990年NRI入社後、産業政策に関するシンクタンク業務に従事、その後コンサルティングとソリューションによる新事業創発活動を経て、産業ソリューション部門と一体となった業務改革、事業戦略、システム化戦略のコンサルティング活動を長年実施。専門領域は、グローバルSCM、流通政策、生産管理、ロジスティクス等。

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp