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カーボンニュートラルを端緒に、企業の本質的な課題解決を支援する

サステナビリティ事業コンサルティング部 稲垣 彰徳

国連のSDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、さらに政府が2020年に掲げた「2050年までに温室効果ガス排出ゼロ」目標など、企業にとって環境や社会課題への取り組みは重要な経営テーマとなっています。NRIの稲垣彰徳は、カーボンニュートラルの実現に向けて官民・業界横断でコンサルティング活動を行ってきました。

信頼関係があれば、トラブルを乗り越えられる

学生時代の専攻は機械工学で、もともとエンジニアを目指していました。しかし、就職活動中にコンサルティングの世界を知って、2008年にNRIに入社。最初の半年は、大変なところに来てしまったと思いました。というのも、優秀で意識の高い同期に囲まれ、業務で与えられるテーマはすぐに解が見つからないものばかりだったからです。コンサルティング事業本部でエネルギー、B2Cサービス、不動産、情報通信など、幅広い業界やテーマに取り組むうちに、論理的に物事を考えてファクトを粘り強く追求することなど、学生時代の研究で培ったスキルが役立つことがわかってきました。
ローテーション後に配属されたのは、志望していた製造業ではなく、エネルギー業界を担当する部署でした。ただし、再生可能エネルギーの利用促進や電力・ガスの自由化など業界構造の変化が進み、異業種も含めて幅広い企業と関わる機会に恵まれ、仕事は充実していました。特に印象に残っているのが、5年目に担当したあるエネルギー会社の実証実験プロジェクトです。金額を含めて大規模で、プロジェクトリーダーとして重責を担ったのですが、途中で思わぬトラブルが続出。お客様に多大な迷惑をかけました。それでも無事に終了できたのは、お客様との信頼関係ができていたからです。以後、信頼構築を第一に考えるスタイルが自分の中で根付きました。

ここ10年間は、化石燃料から自然エネルギーへという大きな流れの中で、カーボンニュートラル関連の仕事が徐々に増えました。お客様の要望に応えようと、目の前の課題に必死に格闘するうちに、新しい世界に出会い、新たな知見を吸収、蓄積。いつの間にか周囲からこの分野のスペシャリストと見られるようになっていました。日本を支える企業の経営トップの方々とディスカッションする機会が増え、そこで多少なりとも自分に果たせる役割があることは嬉しいことです。お客様から固有名詞で認識され、直接ご相談いただける関係性を築けてきたことは自分の財産であり、その期待や信頼を裏切りたくないという意志が仕事の原動力になっています。

内外と連携しながら新領域に挑みたい

現在は、2021年4月に新設されたサステナビリティ事業コンサルティング部で、カーボンニュートラルを専門とするグループのマネジャーを務めています。サステナビリティというテーマは、日本だけで閉じた話ではなく、世界全体の政治や地域の課題などにもつながります。NRIのさまざまな拠点や外部のNGO(非営利組織)と連携して、最先端の情報を収集し学習に努めていますが、その過程で世界の動きが見えてくるところに面白さを感じます。

NRIでは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)3.0」という言葉を用いて、デジタルの知見を活用しながら、サステナビリティや社会課題に貢献する事業機会を作ろうと考えています。私たちの部署でも、通常のコンサルティングの業務だけではなく、新しい事業づくりという全社的な課題に積極的に関わっていくことは1つのミッションです。NRI内の幅広いチームの持つ強みを活かし、かつ、外部企業とも連携しながら、ぜひ新しい領域に挑んでみたいと思っています。

NRIには、個人が主体性を持って自分のやりたいこと主張することで、チャレンジする機会が与えられ、成長できるという良さがあります。また、これまで社内で多くのチームリーダーと接してきましたが、年齢に関係なく、それぞれがお客様と良い関係を築いている姿を見て、自分もそうありたいと思ってきました。もともと能弁なタイプではないのですが、仕事の中で関係性をつくるうえでコミュニケーションを重視しています。専門的な知見やスキルを磨くことは大切ですが、それ以上に責任感があり、一緒に信頼して仕事ができると他の人に思ってもらえる人材になりたいと思っています。

世界的な課題解決のために、国内で閉じてはいけない

日本企業は、再生可能エネルギーや省エネ分野などで先進的な要素技術を持っているにもかかわらず、世界では必ずしもプレゼンスを示しきれていません。それは国内での開発や普及に留まり、世界の大きな市場へと普及させる段階で果実を刈り取れなかったからです。今後、カーボンニュートラル関連で最も重要市場となるのは、東南アジアをはじめとする新興国です。そうした市場で早い段階から現地に入り込み、ウィンウィンの関係を築きながらポジションをとり、継続的に発展させる必要があります。NRIとしても、海外拠点と連携しながら、日本企業や技術に対する理解を武器に、それを現地に根付かせる活動を広げていきたいと考えています。

サステナビリティや環境関連の世界的な潮流はこれまで常に欧米から始まりました。欧米の動向を後追いするのではなく、今後はアジアや日本発で世界の大きな潮流をつくっていく形に転換させたいとも感じています。欧米のコンサルティング・ファームが行っているように、世界的な課題を検討する場に参画し、新しい潮流をつくる活動に関与していくことは、私たちが今後注力すべき課題です。

カーボンニュートラルへの対応は、CSR(企業の社会的責任)の一環というよりも、2050年やその先を見据えて事業や企業をどうするべきかという経営課題に直結します。それと同時に、カーボンニュートラルは社会課題の1つにすぎません。足元のブームに乗って、政府の掲げる数字目標の達成に努めるのではなく、自分たちが目指す世界を明確に描きながら、そこに向かって、やるべきことをきっちりと行う。それが世界全体の排出量を下げることにつながります。私自身もカーボンニュートラルを1つのきっかけとして、企業が世界的な社会課題に向き合って事業を大きく転換させる支援をしてきたいと思っています。

稲垣 彰徳

サステナビリティ事業コンサルティング部

稲垣 彰徳

Profile

2008年株式会社野村総合研究所入社後、新エネルギー普及に対応する事業戦略の検討、環境ソリューション開発支援、カーボンニュートラルに関わる事業機会探索などエネルギー業界に数多く従事。

話題のテーマや社会的テーマについて掲載している
「ナレッジ・インサイト」の内容を音声でお楽しみいただけます。

2021/11/30

カーボンニュートラルの実現に向けて
第1回 カーボンニュートラルの概念と定義

近年、社会の関心が高まっている「カーボンニュートラル」。今回のシリーズではカーボンニュートラルの実現に向けてどのような対応が求められるのか、さまざまな面から紹介していきます。 第1回はカーボンニュートラルの定義と、注目されるようになった契機についてお伝えします。

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp


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