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DX時代の安心・安全を情報セキュリティで支える

執行役員 システムコンサルティング事業副本部長  小田島 潤

2000年8月に、野村総合研究所(NRI)の社内ベンチャーから誕生したNRIセキュアテクノロジーズ(以下NRIセキュア)。多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、あらゆるものがネットでつながり便利になる一方、情報セキュリティのリスクも高まっています。社長の小田島潤は、NRIセキュアの総合力でDX時代の安全・安心を担保して、社会に貢献したいと考えています。

技術で新しい価値を生み出す

1996年にテクニカルエンジニアとしてNRIに入社し、情報技術本部に配属されました。NRIはその前年、インターネット仮想商店街「電活クラブ」を開始し、現在の大手ネットショッピングモールがまだ登場していない当時から、カード決済処理に暗号通信プロトコルであるSSLを日本で最初に実装して話題になっていました。私は、入社早々この電活クラブをベースに、「NRIソリューションワールド」という展示会向けの、インターネットショッピング体験システムの開発を担当しました。その後、電子マネー(電子現金)のプロジェクトに加わりました。

電子マネーといえば、今もSuicaのようなICカードタイプが主流ですが、当時のNRIはネットワーク上で流通する「eCash(イーキャッシュ)」という電子現金に可能性を見出し、家電量販店などの協力を得て、電子現金の社内実験を行いました。この社内実験に参加する社員には経費精算が電子現金で行われ、イントラネット上での買い物や、リアルな現金との交換が出来ました。eCashには、今のビットコインに代表されるブロックチェーンベースの暗号資産(仮想通貨)と比べると、同じ側面と違う側面がありました。PKI(公開鍵暗号基盤)やハッシュ関数という暗号技術に立脚している点は同じですが、「中央銀行」に相当する「電子現金発行サーバ」が存在し、中央集権的である点は全く異なっていました。この電子現金発行サーバは、FreeBSDというフリーのOSで稼働する“少し”高価なPCサーバで構築しました。海外出張の精算などにより、高額の電子現金を発行するケースもありましたので、システム障害やサイバー攻撃で社員のお金が消えてしまっては一大事だと、必死でシステムを構築・運用したのを覚えています。

今、振り返ってみると、このプロジェクトは私にとって大きな転機の一つでした。当時、インターネットには無限の可能性があると言われていましたが、いざ顔の見えない相手とネットを介して商取引することになると、「本当に大丈夫なのだろうか」と不安を感じる人が多くいました。そこに、暗号技術を駆使してセキュリティを担保した電子現金を使うことで、安心して商取引できるようになります。技術で新しい価値を生み出す、それが本当に出来るのだと初めて実感しました。

その後、NRIセキュアの設立に伴い、出向者の社内公募を行うことを知り、応募することにしました。

あらゆることを、自分事として捉える

そして2001年から、NRIセキュアで働き始めました。最初に取り組んだのは新しいソフトウエアの開発や事業の立ち上げです。売上予想を立てコスト計算をしながら事業計画書を作成する傍ら、サーバの発注、構築、設置など、1人で何役もこなしました。発足時の社員は全部で25人。毎週、全社定例でそれぞれの状況を共有するので、誰が何をやっているのかが手に取るように分かります。部門の壁はなく、互いに困っているときには助け合い、あらゆることが自分事でした。開発以外の業務も担当し、誰とでも助け合ったこの時の経験が、NRIセキュアの社長になってからの行動にも大きな影響を与えていると感じています。

その後、お客様が開発したWebアプリケーションの脆弱性を見つけて改善をアドバイスするコンサルティングや、セキュリティの運用監視サービスを提供するFNC※1事業を経験し、2014年にこの事業の本部長を経て、翌年、NRIセキュアの社長に就任しました。いきなり300名以上の社員を率いることになったわけですが、期待されている以上、何とかやり遂げようと思いました。

技術の第一人者である社長を目指したい

NRIセキュアの3代目社長を拝命してから、自分はどのようなリーダーを目指すべきかを考えました。初代の寺田洋社長はプロジェクトマネジメントの経験が豊富で、とりわけ人心掌握が素晴らしい方でした。2代目の増谷洋社長(現NRI常務執行役員)は、社内ベンチャーを立ち上げたメンバーの一人としてセキュリティ事業への強い思いがあり、社員を引っ張るだけでなく、お客様を含めた社外との関係作りも上手でした。では、自分はどうしたら良いのか。自分の経験を振り返り、技術で新しい価値を生み出すことを常に意識しつつ、「町工場のオヤジ」を自認していた本田技研工業の創業者である本田宗一郎さんのようなタイプを目指そうと思いました。

そのため、セキュリティ技術では常に自分が第一人者であり続けたいと思っています。サイバー攻撃の進歩は早く、セキュリティ対策も日々進化が求められます。「こんな攻撃を考えてきた人がいるのか。だったら、自分はこう守ろう」というチャレンジ精神や正義感、知的好奇心が欠かせない仕事です。私は、社員のみんなに負けたくないと思いつつ、どんどん自分を追い越して欲しくもある。チャットツールなど様々なコミュニケーション手段を駆使して社内の議論を喚起し、社員には積極的な参加を促すようにしています。

4つの戦略を軸に、DX時代の安心・安全を支える

最近、DXに取り組む企業が増えていますが、DXには必ず情報セキュリティ上のリスクも生じます。それに対応するために、NRIセキュアでは現在4つの事業戦略を掲げています。まず、DXでスタンダードともいえるアジャイル開発のような、短い開発サイクルの中でも、セキュリティを担保する重要性が「DevSecOps」というキーワードで認識されつつあります。これを推進するサービスを展開することが1つ目です。2つ目が、マルチクラウド※2環境でのセキュリティ対策。3つ目が、IDや認証の強度を高めつつ、プライバシーも守るソフトウエアを開発し提供すること。4つ目はブロックチェーン応用システムのセキュリティを担保するサービスです。

あらゆるものがインターネットにつながる時代、自動車や発電所などがサイバー攻撃を受ければ、たちまち私たちの生活は脅かされ、不便な状況になります。情報セキュリティの価値や守る範囲が広がる中で、私たちの活動は直ちに社会貢献につながるものです。あれこれ考えなくても、そのまま社会の役に立つ仕事になるのは、非常に幸運なことだと感じています。

NRIセキュアの社長として是非とも実現させたいのがグローバル展開です。NRIセキュアはセキュリティ分野でいち早くサービスを始めたこともあり、国内では競合他社よりも規模が大きく、品質についてもお客様から高い評価を頂いています。コンサルティングでお客様が抱える課題と対策を明らかにするところから始まり、セキュリティの脆弱性を診断し、必要なソフトウエアを自ら開発・提供し、日々のセキュリティ運用監視を行うところまで、これら4つの事業領域を密接に連携させることで、より大きな付加価値を一貫して提供できます。これは非常に大きな強みであり、国内外でも類を見ない強みだと思っています。グローバルでも十分に戦えるポジションにあるので、海外でのプレゼンスを一層高めていきたいと思っています。

  • 1 FNC(ファイアウォールネットワークセンター):
    主にインターネットの出入り口のセキュリティを提供するNRIセキュアのサービスブランド。
  • 2 マルチクラウド:
    複数のベンダーから提供されるパブリッククラウドサービスと、自社専用IT環境(オンプレミス)を併用すること。
氏名

執行役員 システムコンサルティング事業副本部長

小田島 潤

Profile

1996年野村総合研究所に入社。先端システム技術部に配属。その後、マルチメディア技術室、公共保険プロジェクト部などを経て、2000年NRIセキュアテクノロジーズ設立と同時に出向。その後、認証局システム構築、Webアプリケーションの診断サービス開発、セキュリティ運用監視サービスなどに従事し、2009年エンタープライズセキュリティサービス部長、2010年同社MSS開発部長、2014年同社MSS事業本部本部長を経て、2015年同社代表取締役社長に就任。また、2016年にはNRI経営役、2019年にNRI執行役員に就任。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp