背景・課題
コロナ禍対応による在宅勤務増加を契機に、一部の職種限定で職務を明確にして働く「ジョブ型」雇用の採用に踏み切る企業が出始め、「ジョブ型」への注目が高まっています。
また、「ジョブ型」雇用に関する議論は経団連においても数年前から度々議論されてきており、ジョブ型に向かう流れは今後も強まっていくことが想定されます。
ジョブサイズに基づく公平な処遇実現や、職務明確化による自律的なキャリア形成促進など、ジョブ型とする利点はいくつか挙げられますが、一方で終身雇用(メンバーシップ型)を前提とする業種・職種の多い日本においては、職務遂行に要求されるヒト的要件(能力や期待など)を考慮せずに職務の大きさ(ジョブサイズ)“のみ”で処遇決定することや、世の中標準の精緻な基準に照らし、市場価格とリンクした細かなジョブサイズ測定に固執することの必然性は必ずしも高くないと考える企業も多いです。
そうした企業に対して、ジョブ型とメンバーシップ型をハイブリッドにした、日本式のジョブ型人事制度の導入を提案します。(下記図のNRIが推奨するハイブリッド型タイプ1~3)
ジョブ型制度・ジョブ型雇用の類型
特に以下のような問題意識をお持ちの企業様のお役に立てるものと考えています。
<適性処遇>
- 担当職務の違いを処遇に反映し、処遇の公平性・納得度を高めたい
- 従来からある会社共通での能力・行動基準も処遇面で尊重したい
- 事業・職種毎に市場価値に応じた処遇設定を行いたい
- 人件費の変動費化を進めたい
<職務基準>
- 年功的な等級から職務の大きさによる等級へと転換したい
- 職務等級を取り入れつつも、ローテーション等の組織を超えた人事異動は続けたい
- 本社側での等級管理から事業・現場側での等級管理に転換したい
- 等級数は過度に増やしたくない
<キャリア自律>
- 会社主導のキャリア形成から、社員主導のキャリア形成に転換したい
<採用競争力強化>
- デジタルスペシャリスト等、労働市場における市場価値に即した採用・処遇を行いたい
コンサルティング支援
日本式ジョブ型人事制度の検討は、人事部において全社共通でのジョブ型の考え方やクライテリア(職務評価軸)、等級要件定義などを検討するフェーズと、部門毎の特性を考慮したクライテリア更新や等級判定トライアルを部門・機能別に実施していくフェーズとに大きく分かれます。(下記図を参照)
ジョブ型要素を取り入れたハイブリッド型の人事制度検討ステップ
前半フェーズでは、どのようなハイブリット型制度を採用するかの検討や、その際の等級判定方式やクライテリアの検討を行う。等級判定方式検討の際は、職務をポイント化して等級判定するポイント方式を取るか、等級毎の職務の大きさを定めた等級要件定義と照合して等級判定する定義照合方式を取るかが主な論点となります。(下記図を参照)
等級判定の手法の概要と適する組織の特性
後半フェーズでは、部門毎の業務・職種特性を踏まえた等級判定の実現に向け、全社共通のクライテリアをベースに部門毎の業務・職務特性に応じたクライテリア設定を行う。この際は、部門別のワーキンググループでの検討を想定し、検討への現場意見の吸い上げ・反映と共に、ワーキングメンバーを通じた現場へのジョブ型の考え方の浸透や、人事と現場との間での等級判定の目線合わせも合わせて進められるよう支援します。
NRIとしての強み
業界軸の専門家と連携しながら、経営・事業戦略への深い理解に基づく支援が可能です。
人事人材戦略策定から人事制度設計、人材育成など人事領域での豊富な支援実績があり、戦略から仕組み作り、人事施策策定や実行支援まで一貫した支援が可能です。
新たにジョブ型制度導入を検討される企業への支援実績だけでなく、一度ジョブ型制度を導入したものの運用しきれずにハイブリッド型に見直された企業への支援実績も有しており、欧米式の厳密なジョブ型制度の良い点・悪い点も理解した上での支援が可能です。