フリーワード検索


タグ検索

注目キーワード
業種
目的・課題
専門家
国・地域

NRI トップ NRI JOURNAL 企業の成長に直結する経営管理とは

NRI JOURNAL

未来へのヒントが見つかるイノベーションマガジン

企業の成長に直結する経営管理とは

コーポレートイノベーションコンサルティング部 プリンシパル 国井 勝則

2018/08/08

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

現在、多くの企業が国内外にグループ会社を持ち、多角的な事業活動を推進しています。的確に成長戦略を定め実行していくには、個別事業の枠を超え全社的観点で情報を把握し、経営判断に活かす必要があります。ところが、「事業部やグループ会社と本社の情報連携がうまくいかない」「非効率的な作業に追われ本来行うべき業務の遂行にリソースをまわせない」といった企業は少なくありません。そうした中、企業の経営管理にどのような変革が求められているのかについて、グループ再編や業務改革を支援してきた野村総合研究所(NRI)の国井勝則に聞きました。

本社のコントロール機能がますます重要に

――なぜ、本社機能や経営管理のあり方を見直す必要があるのでしょうか。

2000年代から、多くの日本企業が成長戦略に基づき、M&Aや持株会社化を行い、グループ経営を推進してきました。また、海外展開により、国外にもグループ会社を持つことが増えています。こうした流れのなか、全社的視点をもった経営管理はグループ全体の成長に欠かせないものとなってきました。しかし多くの日本企業では、これまで適切な経営管理が行われてきたとは言い難い状況です。グローバル展開を例にあげると、最初に海外に販売拠点を置き、次に製造部門を現地化し、最後に地域ニーズに適切に対応するため研究開発部門をつくる、という順番で進められることがよくあります。このステップ自体は間違っていないのですが、各事業部門がそれぞれの最適な戦略を追求して進出した結果、グループ全体で見ると拠点配置がバラバラで、連携しにくい状況になってしまっていることがあります。本来であれば、どの地域にどの事業を展開し、どのようなR&D、製造、物流、販売サービスなどの機能を配置すべきかを本社が軸となり推進すべきです。

次に、デジタル化の観点で言えば、マーケットインで新しいものを創るためには、SNSなど柔らかい情報源も含めたデータ活用が必須です。しかし、個々の事業部門は現業に追われ、そこまで対応しきれません。本社が事業部門間の調整役となり、情報収集や事業化の先鞭をつける必要性が高まっていると言えます。

このように、本社がグループ全体もしくは事業部門の状況を把握し、サポートすることがますます重要になっているのです。

必要な経営情報がタイムリーに把握できない実情

――経営管理のための情報を把握・管理する際の課題は何でしょうか。

現在、どの企業においても経営管理について一定のシステム化はされているものの、「経営層が見たい時に欲しい情報が得られない」「本社と現場のシステムの連携がとれていない」「各事業部と本社の力関係のバランスが悪く、必要な情報を事業部から入手できない」「経営企画部門の担当者が資料づくりや各部門との調整に追われて、本来の経営企画のためにリソースを使えていない」などといった悩みをよく聞きます。既存システムもそうですが、その前に、把握すべき情報、本社の業務自体を改めて見直さなくてはならない企業が多いと思います。

――しかし、経営の中枢を担う本社機能の業務改革となると、手を付けにくそうです。

経営管理のように企業の根幹にかかわる機能の見直しは、そう頻繁に行われるものではありません。社長の交代、会社の方向性の転換、経営統合やグループ再編、新しい中長期計画の策定、基幹システムの刷新など、大きなイベントがきっかけとなることが多いです。社員一人ひとりに理解され、全社に浸透するまでに5年、10年とかかることもあるので、覚悟をもって実施しなくてはなりません。

改革を進める具体的な手順として、まず5年後、10年後にどのような会社になっているかという将来像と、なぜ改革を行うのかという意義を明確にします。中期計画や事業戦略と連携しながら、どのタイミングで誰がどのような情報に基づいて、何を判断し、意思決定し、動いていくのかを改めて整理していくことが望ましいと思います。

現場の行動につながる形に落とし込む

――改革を進めるときに、特に注意すべきことはありますか。

経営ビジョンの実現に向けた戦略を、経営層が自分の言葉で、社員が具体的に何をすればよいか分かる形で伝えることが大切です。それを支援するために私たちがよく活用するのが、バランストスコアカード(BSC)です。BSCは、ステークホルダーにどのような価値を提供するのか、そのために社内をどう変革すべきか、さらにはその基盤となるシステム・組織・人材をどのように構築するか整理できるフレームワークです。

財務だけでなく、営業、人材戦略などの非財務項目も含めてKPI(Key Performance Indicator)を設定します。PDCAサイクルを強化することで、一人ひとりがKPIにかかわるミッションを達成すると、結果として中期経営計画や会社の業績が達成できる仕組みになります。この際、業績・人事の評価方法、ガバナンスなども検討しなおすことが大切です。

企業が成長し続け、新しい価値を創出するために、経営管理の重要度はますます高くなっています。今、経営管理の仕組みがうまく動いていない、システムやルールを作っても業務に活かせていない企業もあると思います。また、国をあげての働き方改革を見据えた構造改革や、サステナビリティ経営に基づいた中長期計画の見直しに着手する動きも増えています。さらには、クラウド上でBI・計画系のアプリケーションがこれまでよりは安価に短期間で導入できるなど技術的・コスト的にも取り組みやすい環境になってきています。外部の支援やフレームワークも活用しながら全社の課題を洗い出し、誰もが使いやすい経営管理を考えなければいけません。それができれば、本社機能はもちろん、全社の生産性が上がり、企業のパフォーマンスも最大化するはずです。今後も継続して経営管理の支援を行っていきたいと思います。

NRIのプリンシパルとは

特定の業界やソリューションで高い専門性を備え、コンサルタントの第一人者として、社会やクライアントの変革をリードする役割を担っています。

新たなビジネスを作り出し、プロジェクトにも深くコミットし、課題解決に導く責任も有しています。

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn
NRIジャーナルの更新情報はFacebookページでもお知らせしています

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

ACCESS RANKING