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グローバルで通用する日本型プラットフォームビジネスとは――2つのプラットフォーム戦略

グローバル製造業コンサルティング部 小宮昌人

DX

2020/05/12

世界でプレゼンスを拡大する海外プラットフォーマー。顧客接点を囲い込み、そこで取得したデータを活用して、ビジネスを高度化させるサイクルを創出してきました。そのような中、日本企業に勝ち目はないとの見方もありますが、実際には未開拓の分野が多くあり、技術や品質などの強みを活かしたプラットフォーム戦略は可能だと、野村総合研究所(NRI)の小宮昌人は指摘します。デジタル化やプラットフォーム戦略に詳しい小宮に話をききました。

エコシステム全体でサービスを提供する

――プラットフォームについて、小宮さんはどう定義していますか。

私たちの著書『日本型プラットフォームビジネス』では、「自ら顧客にサービスを提供するだけでなく、サプライヤーなど他のプレイヤーをネットワーク化し、エコシステム全体でユーザーにサービスを提供する企業」をプラットフォーマーと呼んでいます。

その一例が、ライドシェア・プラットフォームを手掛けるウーバーです。従来、移動サービスを手掛ける企業は、自社で車両を保有してドライビング・サービスを提供してきました。しかし、ウーバーは車両を持たずに、タクシーや個人運転手など移動サービス提供者をネットワーク化し、利用者とマッチングするビジネスを展開しています。そうすることで、大きな設備投資をしなくても効率的に規模を拡大できます。

プラットフォーマーは、顧客接点を押さえており、そこで得たデータを活用してサービスを高度化し、自社が展開するプラットフォームの魅力を高め、さらに顧客やデータを集めます。そうした競争力強化サイクルに持ち込むことで、競合他社の参入を抑止し、競争上の優位性を確保するのです。

間隙を突く「セグメンテッドプラットフォーム戦略」

――プラットフォームに関してグローバル・プレゼンスを誇る日本企業が少ない理由は、どこにありますか。

コンサルティングをする中で感じるのは、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン) やBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)などのメガプラットフォーマーには対抗できない、また自社がIT技術を持ってプラットフォームを展開するのはハードルが高すぎる、と考える企業が多いことです。しかし、プラットフォームは必ずしも脅威ではありませんし、自前でプラットフォームを作り上げる必要もありません。プラットフォームをうまく活用しながら、いかに自社のビジネスを展開するかという捉え方が必要です。

――実際にどのような形でプラットフォームを活用できるのでしょうか。

2つのアプローチがあります。1つめが、「セグメンテッドプラットフォーム戦略」です。メガプラットフォーマーはグローバルで効率的にビジネスを拡大することを目指しているので、ニッチ分野の特定課題に対して突出したノウハウやソリューションを提供しきれていません。その間隙を突いて、業界、地域、対象顧客、プロセスなど特定セグメントに特化し、自社の強みを活かしたプラットフォームを展開するのです。

一例が、コマツが展開しているオープンIoTプラットフォームの「ランドログ」です。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などがあらゆる産業向けに、さまざまなモノがネットにつながるIoTクラウド・プラットフォームを提供しているのに対し、ランドログは建設業に特化しています。自社や他社の建機データ、ドローン等を用いて計測した現場データ、労働者のデータなど、あらゆる建設関係データを蓄積し、他のITアプリケーション・ベンダーも巻き込んで、建設関係のソリューションを提供するモデルをつくっています。

自社の強みに基づいた他社プラットフォームとの「連携戦略」

――自力でプラットフォームを展開できない企業はどうすればよいのでしょうか。

2つめのアプローチとして、自社の強みを活かしながら他社プラットフォームを最大限に活用する「連携戦略」が可能です。プラットフォーマーが持たないノウハウを提供してウィンウィンの関係を築くのです。例えば、福島の中堅建設会社の隂山建設は、画像データを用いて建設現場の状況を見える化し、モニタリングが可能となるアプリを開発しました。コマツの「ランドログ」を活用して、このアプリを地元だけでなく全国にも展開しており、パートナとともに更なるアプリケーション開発にも取り組んでいます。

プラットフォームの力を借りて、すでにグローバル展開している企業もあります。製造業向けに情報サービスを提供するLIGHTzは、AI(人工知能)を活用して金型職人の暗黙知やノウハウを見える化し、他社にはまねできない金型品質管理アプリをつくりました。これをシーメンス(ドイツ)のIoTプラットフォーム「マインドスフィア」を通じてグローバルに展開して、独自の地位を確立しています。

――こうした戦略を検討する際のアドバイスをお願いします。

日本企業は、ややもすればプラットフォームという形態やデジタル技術に注目しがちですが、それは本質ではありません。一番大事なのは、顧客の課題は何か、そして自社はそこにどのような価値提供ができるかを深堀りすることです。自社のノウハウや提供価値を卓越させ、いかにエコシステムを活用してそれをN倍化するかを考える必要があります。その上で、経営層がその実現へ向けてコミットし、IT部門と事業部門のクロスチームで取り組んでいくことが求められます。

プラットフォームビジネスには先端のIT技術が複数組み合わされていますが、それを提供できる外部プレイヤーは多数存在し、コストも下がっています。コマツのランドログなども、プラットフォーム機能などで他社の力を大いに活用しています。NRIとしても、特に技術面でハードルを感じている企業に対して、これまで培ってきた豊富な知見と、システム開発・運用までを実行することのできる総合力を活かして、戦略策定からIT実装まで支援していきたいと思っています。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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