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NRI トップ NRI JOURNAL 適切な文書管理によるテレワークの推進――デジタル技術で情報漏洩のリスクを回避する

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適切な文書管理によるテレワークの推進――デジタル技術で情報漏洩のリスクを回避する

産業ビジネスディベロップメント部 長南 祐輔

#業務プロセス改善

#情報セキュリティ確保

2020/07/07

新型コロナウイルスの影響により、テレワークや在宅勤務を導入する企業が増えています。その一方で、業務の性質やIT環境の不備により、多くの社員が出社せざるを得ない実態も明らかになりました。特に、日本社会の根強い紙文化がもたらす各種の問題が浮き彫りになっています。それらの課題を解決するための電子文書管理コンサルティングに長年携わってきた野村総合研究所(NRI)の長南祐輔に聞きました。

テレワークを阻む紙文化の慣行

――企業のテレワークの導入状況について教えてください。

2020年4月に行われた日本経済団体連合会(経団連)による調査(*1)の結果では、緊急事態宣言発令後にテレワークや在宅勤務を導入した企業は9割以上にのぼりました。ただし、3割以上の社員が出勤しているとも経団連は推計しています。自宅などから会社のネットワークにつなげるIT環境が整備され、電子ファイルで業務をしていても、紙媒体が原本となっているために承認印が必要なのが理由としてあります。また、NRIが5月に行ったCIO(最高情報責任者)調査(*2)でも、ペーパーレス化、リモートワーク化、押印処理のデジタル化などが直近の優先度を上げる施策として上位に挙がりました。

――世の中では電子化が進んでいるのに、なぜ紙文化が残るのでしょうか。

先に述べたように紙文書の元は電子ファイルであり、電子化そのものに課題があるわけではありません。社内において長年にわたって紙で業務を行ってきた「文化」が大きい。これをクリアしても課題はあります。電子化によって起こりうる、原本管理、改ざん等の不正対策です。これらは2019/09/02のNRIジャーナル(*3)で述べた通りです。さらに、情報漏洩、社内押印に変わる署名記録の課題があります。

ダウンロードやプリントの制御により情報漏洩を防止

――現状のプロセスを単純にデジタルに置き換えると、どのような問題が起こりますか。

例えば、機密情報は閲覧できる人を制限し、会社にいる時に紙媒体でしか見られないし持ち出せないように管理されているとします。しかし、これを電子ファイルに置き換えると、参照権限を持つテレワーク中の社員が自宅で機密書類を見たい場合、PCにデータを保存したり、メール添付や紙に印刷して誰かに渡したりすることができ、情報漏洩のリスクが高まります。

――デジタル化しつつ、情報漏洩を防ぐ方法はありますか。

デジタル技術は進歩しており、世の中には既に情報漏洩や改ざんなどの不正を防止する機能を持つシステムがあります。例えば、NRIの文書管理システム「Perma Document」では、PCの画面上でのみファイルを参照でき、ダウンロードや印刷ができないようにする制限機能があります。また、社外の人にはメール等で文書を送付するのではなく「ファイルのURL」だけを伝えるようにすれば、仮にURLが漏洩しても、ログインできないユーザは文書を参照できないため、安全に情報を共有できます。さらに、ワークフローによる電子署名記録を残し、関係者の承認状況を一目で閲覧できる機能を使えば、関係者の押印のために出社する必要性はなくなります。

――そうした機能を利用するには、多額のデジタル投資が必要ではないでしょうか。

従来はシステム開発やサーバーの購入など、初期投資が必要だったため、コスト面で導入をためらうことがあったかもしれません。しかし、最近ではクラウド・サービスが普及し、導入のハードルはかなり下がっています。資金力のある大企業だけでなく、中小企業も利用しやすい状況と言えます。したがって、今後は社員全員がテレワークを活用する前提で必要な機能を検討してみるとよいと思います。

業務の効率化や高度化のチャンス

――テレワークの推進に向けて、アドバイスをお願いします。

新型コロナウイルスの第2波や第3波に備えるためには、スピードが非常に重要です。クラウドで提供されるサービスは、すぐに利用を開始できます。月額課金のサービスが増えており、利用の見直しも柔軟にできます。ただし、既成のサービスを使う以上、自社業務をサービスの仕様に合わせなくてはならない部分が必ず出てきます。自社用にカスタマイズすることにこだわれば、スピーディーな対応はとれません。既存の業務プロセスを柔軟に見直しながら、既存のサービスをうまく活用しようとする姿勢が欠かせません。

コロナ禍によって変化が許容されやすい風土になっていることは、業務の効率化や高度化を図る絶好のチャンスです。変化を恐れずに前に進むことが重要です。私たちNRIも2020年を働き方改革におけるテレワーク元年と捉え、引き続きそのサポートをしていきたいと考えています。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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