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高まる投資熱-投資している人と投資に興味を持つ人の割合が大きく上昇-

2021/12/15

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日本人の証券保有は長年にわたって大きな進展がみられなかったが、ここ数年で変化し、本格的に投資の裾野が拡大していることが確認された。野村総合研究所が3年おきに実施している「生活者1万人アンケート」によると、投資している人や投資に興味を持つ人の割合は前回(2018年)までの調査に比べ著しく増加している。iDeCoの加入対象者の拡大やNISA・つみたてNISAの導入(それぞれ2014年、2018年)などの効果が現れてきた可能性がある。

若年層が牽引し、投資している人の割合が急増

図表1は25~69歳の男女を対象に投資している人の割合を調べたものだが、2015年以降増加していることが分かる。2018年は前回比1.6%増加し、今回2021年は3.6%増と変化幅も一段と大きくなっている。この結果、2021年現在で投資している人はこの年代の人口の21.1%にあたる1,470万人に上ると推計される。

(図表1)投資を行っている人の割合(2569歳の男女)

年齢階層別にみると特に若年層の変化が著しい(図表2)。25~29歳の場合、2021年は3年前比11.3%増の17.9%となっている。30~39歳の増加も著しく5.6%増え19.1%になった。この年代は2015~2018年の増加幅も大きく、2015年以降では10%増加している。40~49歳、50~59歳の層も2021年までの3年間でそれぞれ3.5%、5.7%増加した。一方、60~69歳の層は1.5%減少した。この結果、投資している人の割合はどの年齢階層でも大差なく、20%近辺でかたまっている。以前は投資する人の割合が年齢を重ねるごとに増加し50代から60代にかけて跳ね上がっていたが、現在ではそのような状況はみられなくなっている。

(図表2)投資を行っている人の割合(年齢階層別)

若年層では投信の保有が広がる

投資商品別に保有者の割合の推移を見ると、株式、投信ともに保有者の割合が増えている(図表3)。株式保有者の割合は2018年以降わずかながら増加(+0.3%)し14.0%となった。投信は株式よりも増加幅は大きく2.5%増の12.8%となっている。この結果、株式と投信の保有率の差は2015年の3.4%から1.1%に縮小している。

(図表3)株式・投信を保有している人の割合(2569歳)

投信保有者の割合の変化を年齢階層別にみてみると(図表4の赤点線:2015年と赤実線:2021年の比較)、若い年齢階層ほど上昇幅が大きいことが分かる。25~29歳では9.0%増加し11.2%になった。30~39歳でも7.2%増加し11.8%になっている。この結果、特に25~29歳では、投信保有者の割合が株式保有者の割合を超える現象がみられる。

(図表4)株式・投信を保有している人の割合(2569歳)

投資している人の割合は若年層を中心に今後も増加することが予想される

投資している人の割合が増えているのと同時に、投資はしていないが興味はある人(以下、「投資に興味を持つ人」)の割合も増えている。この傾向は特に若年層で顕著となっている(図表5)。2012年以降50代以下の4階層で「投資に興味を持つ人」が増加している。2018年調査では25~29歳、30~39歳の2階層で「投資に興味を持つ人」の割合の増加が加速している。これが3年後の2021年調査で実際に「投資している人」の割合の急増となって現れたとみることもできる。同様の構造を今後にあてはめると、特に30~39歳を中心に投資している人の割合は増加していくことが予想される。

(図表5)投資はしていないが興味はある人の割合(年齢階層別)

2014年のNISAの導入を嚆矢として、確定拠出年金(具体的にはiDeCo)の加入対象者の拡大(2017年)、つみたてNISA(2018年)など投資しやすい環境が整えられ、これら制度の利用はすでに延べ1,670万件に達している(60代以下の利用を集計2021年3月現在)(注)。これらの制度が、この世代の投資している人の数(1,470万人)の増大に寄与していることは間違いあるまい。

(注)2021年3月現在、20~60代の利用件数は次の通り。一般NISAの投資利用枠設定口座:681万件、つみたてNISAの口座開設数:349万件、確定拠出年金で投信を保有している口座:(企業型750万件+個人型194万件)×(1-企業型における元本確保型しか保有していない人の割合32.1%)=640万件


■「生活者1万人アンケート調査」の概要
「生活者1万人アンケート調査」は、ネット調査全盛の時代に、あえて訪問調査員による調査を実施し、ゆがみの少ない日本の全体像を明らかにしようとしている。

執筆者情報

  • 金子 久

    金融デジタルビジネスリサーチ部

    グループマネージャー

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