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まん延防止措置の拡大で経済損失は一気に最大19倍に

2022/01/18

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1月7日に政府は、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」を、沖縄、山口、広島の3県に適用した。期間は1月31日までの23日間である。その後も感染の急拡大が全国的に続いたことから、10日余りで対象区域は一気に拡大される。

政府は「まん延防止等重点措置」の適用区域の拡大を、19日に決定する見通しだ。期間は1月21日から2月13日までの3週間強が有力視されている。新たに対象に加わるのは、現時点では11都県と見込まれている。首都圏では、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県、愛知県、岐阜県、三重県の中部3県、新潟県、熊本県、宮崎県、長崎県である。対象区域はさらに拡大する可能性もある。

1月7日に適用された3県の経済規模(県民所得)は、日本全体の4.0%であった。これに対して、新たに加わる見通しの1都11県の経済規模は、日本全体の48.4%である。その結果、同措置による経済損失額は急拡大することになる。

1月7日に決定された3県での同措置による経済損失はちょうど400億円と試算された(コラム、「3県まん延防止措置の経済損失は400億円」、2022年1月7日)。その後、広島県での対象区域が一部の市町から全県に拡大されたことで、経済損失の試算値は540億円となった。

一方、11都県の全市町村が対象となる場合、3週間強(24日間)での経済損失は1兆180億円になる計算だ。これは、3県での経済損失額の18.7倍である。仮に、11都県の中で適用地域となる市町村の経済規模の比率が、沖縄、山口、広島の3県と同様の76%となる場合には、11都府県での経済損失は7.730億円となる。これは3県での経済損失額の14.2倍である。

「まん延防止等重点措置」の対象区域拡大によって、年初からの新規感染者数の急拡大が、いよいよ本格的に経済に打撃を及ぼす局面に入った、と見ることができるだろう。その結果、昨年秋以来の個人消費の持ち直しは、一巡となる可能性が高い。

他方、感染再拡大を受けた規制措置も、まだ始まったばかりと言えるのではないか。今後、同措置の対象区域はさらに拡大し、また、早期に「緊急事態宣言」が広い区域で発令される事態となる可能性が考えられる。

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