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ゴールデンウイークの国内旅行消費額は外国人も合わせ2.9兆円(年間GDP0.5%):昨年を1.1兆円上回り2023年成長率を0.2%押し上げ

2023/04/24

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旅行・観光消費が集中するゴールデンウイーク

感染リスクが低下し、また水際対策の緩和によって外国人観光客が足もとで急増する中、今年のゴールデンウイーク(GW)期間中は、国内の旅行・観光消費額がかなり回復し、経済全体にも好影響を与えることが期待される。

観光庁「GWにおける観光旅行」調査によると、GWは年間日数の平均1.4%(5.1日)であり、それが年間旅行量の平均8.9%を占めている。つまり、それ以外の時期と比べて個人は6.4倍、旅行に出かける割合が高いのである。その結果、旅行・観光消費がこの時期に集中しやすい。

観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によれば、昨年2022年の日本人国内旅行消費額は17兆1,695億円で、コロナ前の2019年の21兆9,312億円と比べて21.7%減と大きく落ち込んだ。

2019年は天皇即位によってGWは10連休となった。ここから計算されるGW中の日本人国内旅行消費額は、年間消費額の(10日/5.1日)×8.9%=17.45%となる。これに2019年の年間消費額の21兆9,312億円を掛けると3兆8,270億円となる。

他方、2022年のGWは、祭日及びそれと連続する土日を合計すると、6日であった。ここから計算されるGW中の日本人国内旅行消費額は年間の(6日/5.1日)×8.9%=10.47%となる。これに2019年の年間消費額の17兆1,695億円を掛けると、1兆7,977億円となる。コロナ前の2019年と比べて47.0%と半分以下の水準だ。

今年のGW期間中の旅行は前年比55%増、日本人国内旅行消費額は2.8兆円と推定

また、今年のGWは祭日及びそれと連続する土日を合計すると、7日である。ここから計算されるGW期間中の日本人国内旅行消費額は、年間の(7日/5.1日)×8.9%=12.21%となる。

ところで、4月21日に発表された国内航空11社のGW期間中の予約人数は、国内線の予約客の合計は245万人と、昨年のGW期間と比べて23%増加した。他方、JR旅客6社の予約状況をみると、新幹線と在来線の指定席が245万席で前年比68%増加となっている。

コロナ前の2019年の国土交通省の調査結果によると、国内旅行における鉄道利用者数は約5億8,000万人、航空利用者数は約1億9,000万人だった。両者の比率は75.3%:24.7%となる。この比率で案分すると、今年のGW期間中の旅行者数は前年比55.5%となる。

これを、今年のGW期間中の日本人国内旅行消費額の前年比増加率の予測値と考えると、それは1兆7,977億円×155.5%で2兆7,954億円となる。

今年のGW期間中の外国人の旅行消費額(インバウンド需要)は1,030億円

次に、GW期間中の外国人の旅行消費額、つまりインバウンド需要について考えてみよう。2019年5月の訪日外客数は277万3,091人だった。一人当たりの消費額は2019年4-6月期で15.7万円であったことから、5月の外国人旅行消費額は4,353.8億円となり、GWの10日間では1,404.4億円となる。

同様に2022年については、5月の訪日外客数は14万7,046人だった。一人当たりの消費額は2022年4-6月期で25.7万円であったことから、5月の外国人旅行消費額は377.9億円となり、GWの6日間では73.1億円となる。

2023年については、5月の訪日外客数は推定で215万8,404人である(コラム「中国からの入国加速で今夏にも外国人観光客数はコロナ前の水準に:2023年インバウンド需要推計は5.9兆円:供給制約解消が喫緊の課題に」、2023年4月19日)。一人当たりの消費額は2023年1-3月期で21.2万円であったことから、5月の外国人旅行消費額は4,575.8億円となり、GWの7日間では1,033.2億円となる。

GW中の日本人と外国人の旅行消費額合計は2.9兆円(年間GDP0.5%):昨年を1.1兆円上回り2023年成長率を0.2%押し上げる

日本人と外国人のGW中の旅行消費額を合計すると、2019年の推定値は3兆9,674億円(3兆8,270億円+1,404億円)、2022年の推定値は1兆8,050億円(1兆7,977億円+73.1億円)、2023年の予測値は、2兆8,987億円(2兆7,954億円+1,033.2億円)となる。

2023年のGW期間中の日本人と外国人の合計旅行消費額は2兆8,987億円と、年間(名目・実質)GDPを0.52%押し上げる。また、昨年と比べて1兆937億円増加し、2023年の(名目・実質)GDP成長率を前年比で0.20%押し上げる計算となる。また、今年のGW期間中の旅行消費額は、コロナ前の2019年と比べて73.1%の水準まで戻る。

足元の日本経済は、輸出の鈍化などを映して製造業の活動に足踏み感がみられるが、そうした中、GW期間中の旅行・消費額の増加は、日本経済に一定程度の下支え効果を発揮しよう。

(参考資料)
観光庁「参考資料」(休暇分散化ワーキング・チーム)、平成22年11月19日
観光庁「旅行・観光消費動向調査(2022年間値)」、2023年2月15日

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