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日銀が追加利上げ実施か:利上げは続くが2%物価目標達成は難しい

2024/07/31

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予想外の円安が追加利上げの時期を早めるか

各種メディアは、金融政策決定会合2日目となる本日7月31日に、日本銀行は国債買い入れ減額の具体策を発表すると同時に、3月以来となる追加利上げを検討する、と報じている。追加利上げが議論されるのは間違いないことだが、各種報道の「検討」とは、追加利上げが実施される可能性が高いとのニュアンスである。政策金利(上限)を0.25%へと引き上げるとの具体性も高く、比較的信頼性の高い報道だと考えられる。

なお確定ではないものの、日本銀行は31日に追加利上げを実施する可能性は相応に高いだろう。筆者は9月の追加利上げ実施をメインシナリオとしてきたが、3月のマイナス金利政策解除以降予想外に進んだ円安が、追加利上げの時期を早めた可能性がある。

円安は表面的な物価を押し上げ、2%の物価目標達成を助ける、との解釈もできる。この場合、2%の物価目標達成の確度が高まるのに応じて、政策金利を徐々に引き上げていく、との日本銀行の方針に照らして、追加利上げが促される。他方、円安による物価上昇は、個人の物価上昇懸念を高め、個人消費を悪化させる。このように、円安のメリット、デメリット双方が、日本銀行の追加利上げを後押しする。ただし、円安による個人消費の悪化は、企業による価格転嫁を難しくし、むしろ2%の物価目標達成を困難にする面があることから、多少長い目で見れば、このメリットとデメリットは両立しない。

次回追加利上げは12月、到達点は0.75%程度か

7月に追加利上げが実施されれば、12月にも追加利上げ、つまり年内2回の追加利上げを予想する向きが増えてくるだろう。これは、為替市場では円高要因、債券市場では債券安(金利上昇)要因となるだろうが、既にある程度予見されていることでもあり、大きな影響力は持たないだろう。

日本銀行の追加利上げ幅は、海外中銀の間でも一般的な0.25%にいずれなっていくと予想するが、今回報道されているように上限を0.1%から0.25%に引き上げる、つまり0.15%の引き上げ幅に抑えるのであれば、その背景には、主要中央銀行で一般的な0.25%刻みの水準(0%、0.25%、0.5%、0.75%)に合わせる、国債買い入れ減額と同時に実施することから、市場への悪影響を抑える、早期の追加利上げ観測を醸成し、円安をけん制する、といった狙いがあるのではないか。

筆者は、今回追加利上げが実施されれば、次回追加利上げは今年の12月となり、最終的には0.75%までの利上げが実施されることを想定する。最大でも1.0%までの利上げで終わるのではないか。日本銀行が目指す2%の物価目標が達成されるのであれば、政策金利の最終到着点(ターミナルレート)は2%前後となるだろうが、実際には物価上昇率のトレンドはせいぜい1%程度で落ち着くと予想する。

2%の物価目標達成は困難でも追加利上げは続く

表面的な物価上昇率は、円安の影響もあってなお高水準が続いているが、食料、エネルギーを除く基調的な消費者物価上昇率は、既に1%台まで低下している(図表)。日本銀行が賃金上昇を伴う持続的な物価上昇および2%の物価目標達成の鍵を握るとしている、賃金上昇からサービス価格への転嫁の動きは明確には見られていない(コラム「東京都区部7月CPIで基調的な物価上昇率は低下を続ける:日銀の2%物価目標達成は見えない」、2024年7月26日)。

ただし、2%の物価目標達成は困難でも、現在の政策金利の水準は経済、物価環境に照らして低すぎ、それは円安進行などの弊害を生じさせていることから、追加利上げはなお続く可能性が高い。

図表 基調的な消費者物価上昇率の推移

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