リスキリングとは

リスキリングとは、新しい環境に適応するために必要なスキルを習得することを指します。企業が主体となって、従業員に対してスキルの再開発、再教育をすることを指す場合と、個人が主体となって取り組む活動を指す場合があります。

リスキリングが注目されるようになった背景

2020年に開催された世界経済フォーラムで「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と宣言され、欧米を中心にリスキリングが世界的潮流となりました。日本でも、経団連が2020年11月に発表された「新成長戦略」で、リスキリングの必要性について触れています。
在宅勤務やリモートワークなど働き方の多様化、デジタル技術の浸透、脱炭素化など、外部環境の大きな変化に適応していくうえで、日本政府での注目も高まりました。経済産業省は2020年9月に公表した「人材版伊藤レポート」において「リスキル・学び直し」は人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素のうち、1つの共通要素であると言及しています。
さらに、政府は、2022年にリスキリングの支援に5年間で1兆円支出すると発表し、それを受けて経済産業省は、2023年に、構造的な賃上げの実現に向けて、企業間・産業間の労働移動の円滑化及びデジタル分野等のリスキリングに向けた投資を進め、持続的な成長と分配の好循環の達成を目指すことを目的とした「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を整備しました。本事業では、在職者に対してキャリア相談から、リスキリング、転職までを一体的に支援する仕組みを整備すべく、これらに要する費用を民間事業者等に対して支援しています。

企業内におけるリスキリングの必要性

人的資本経営では、人材を資本として捉え、従業員一人ひとりの知識やスキルを高めるなど投資を行うことで、企業価値や競争力の向上につなげます。既存事業のデジタル化やデジタルを活用した新規事業を開発していくための人材確保の観点でも、リスキリングは必要だと考えられています。その際には、まず、目標とする状態と現状のギャップを明確にし、必要なスキルの内容や量を把握した上で、従業員が学ぶ時間を確保できるような業務スタイルやルールを確立する必要があります。対象となるスキルや専門性の分野やレベル要件を考慮して等級要件や評価基準を策定し、市場の報酬水準と既存社員とのバランスを参考に報酬の水準や支払い方を検討していくことが重要です。その上で、習得状況や効果などを把握し、人材開発を計画的にマネジメントすることが望まれます。スキルの可視化や適材適所への人員配置、経営への反映を効率的に実現するためにはタレントマーケットプレイスの導入も有効です。
上記のような形でリスキリングが進めば、生産性の向上や新規ビジネスの創出だけでなく、スキルベースでの採用が可能となり必要な人材の確保が行いやすくなることが期待されます。

動画で解説

「リスキリング」に関して動画でお伝えしています。