1月はNISAを利用した投資信託の購入が増える。そこで1月の投信への資金流入額を推計したところ、公募追加型株式投信(除くETF)の資金流入額は2兆円を超え、歴代最高額を更新していた。前年に引き続き、第1営業日の買付額が特に多かった。また、月間資金流入額の9割近くがNISA対象投信に集まっているなど、投信への資金流入はNISA対象であるか否かによって、大きく明暗が別れる状況が続いている。なお、運用会社別にみると、日系運用会社の場合、NISA対象のパッシブ投信への資金流入額が多いのに対し、外資系運用会社の場合には、NISA対象のアクティブ投信やNISA対象外の毎月分配型投信への資金流入が多いなど、日系と外資系の違いが顕著にみられている。
NISA対象ファンドを中心に月間資金流入が2兆円を超える
2014年にNISAが導入されて以来、NISAを利用した株式・投信の買付は1-3月、中でも1月に多い傾向があるようだ。英国では、毎年4月5日の課税期間終了日直前にISA制度を利用した買付が集中するため、その時期を「ISAシーズン」というが、わが国の場合には、課税期間開始直後の1月が「NISAシーズン」ということになろう。
新NISAが2年目を迎えた先月1月も、公募追加型株式投信(除くETF、以下単に投信という)の資金流入額(設定額から解約・償還額を引いた額)は、2兆1,245億円(野村総合研究所推計)と多かった(図表1)。2007年3月に記録した流入額を2,500億円近く上回り、過去最高額を更新している。新NISAが人々の関心を集め始めた2023年の夏以降、投信の月間資金流入額は、増加傾向にあったが、ついに2兆円を超えている。日次でみると、昨年同様、第3営業日(今年の場合は1月8日)の資金流入額が特に多く4,887億円となっている。多くの海外株式ファンドの場合、買付申し込みの2営業日後に投信の設定(信託財産に資金追加)が行われることから、年初の第1営業日の買付申込金額が多かったと考えられる。
投信をNISA対象か否かなどにより区分し、区分ごとの資金流入額をみると(図表2)、全体の資金流入額の7割をNISA対象パッシブ投信が、2割近くをNISA対象アクティブ投信が占めており、NISA対象投信への資金流入の集中している。しかしながら、前年同月と比べると集中度合いは幾分緩和されている。これはNISA対象外である毎月分配型投信への資金流入が増加し、マイナス(流出超過)からプラス(流入超過)に転じたためである。それでもなお、毎月分配型投信の中で、設定額が解約額を上回った資金流入超過ファンドの割合は16%に過ぎない。資金流入超過ファンドの割合は、NISA対象パッシブ投信で7割以上、NISA対象アクティブ投信では5割近くと高い。このように、投信への資金流入はNISA対象であるか否かによって、大きく明暗が別れる状況が続いている。
新NISAが2年目を迎えた先月1月も、公募追加型株式投信(除くETF、以下単に投信という)の資金流入額(設定額から解約・償還額を引いた額)は、2兆1,245億円(野村総合研究所推計)と多かった(図表1)。2007年3月に記録した流入額を2,500億円近く上回り、過去最高額を更新している。新NISAが人々の関心を集め始めた2023年の夏以降、投信の月間資金流入額は、増加傾向にあったが、ついに2兆円を超えている。日次でみると、昨年同様、第3営業日(今年の場合は1月8日)の資金流入額が特に多く4,887億円となっている。多くの海外株式ファンドの場合、買付申し込みの2営業日後に投信の設定(信託財産に資金追加)が行われることから、年初の第1営業日の買付申込金額が多かったと考えられる。
図表1 追加型株式投信(除くETF)の資金流入額


投信をNISA対象か否かなどにより区分し、区分ごとの資金流入額をみると(図表2)、全体の資金流入額の7割をNISA対象パッシブ投信が、2割近くをNISA対象アクティブ投信が占めており、NISA対象投信への資金流入の集中している。しかしながら、前年同月と比べると集中度合いは幾分緩和されている。これはNISA対象外である毎月分配型投信への資金流入が増加し、マイナス(流出超過)からプラス(流入超過)に転じたためである。それでもなお、毎月分配型投信の中で、設定額が解約額を上回った資金流入超過ファンドの割合は16%に過ぎない。資金流入超過ファンドの割合は、NISA対象パッシブ投信で7割以上、NISA対象アクティブ投信では5割近くと高い。このように、投信への資金流入はNISA対象であるか否かによって、大きく明暗が別れる状況が続いている。
図表2 NISA対象区分別資金流入額(2024年1月と2025年1月)


NISA対象ファンドの中では「オルカン」や「S&P500」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」などに多額の資金が流入
1月の資金流入の多かったNISA対象ファンドをみてみる(図表3)。パッシブ投信の中で最も資金を集めた投信は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(通称「S&P500」)で、月間資金流入額は推計で4,061億円だった。これに次ぐのが、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(通称「オルカン」)で3,768億円流入した。いずれも信託報酬率が業界最低水準のファンドで、それぞれ設定来最高の資金が流入した。
アクティブ投信では、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」に406億円の資金が集まった。同区分で2位となった「東京海上・宇宙関連株式F(為替ヘッジなし)」は342億円の資金を集めている。当ファンドでは、2024年1年間の投資収益率は50%近くに達し、昨年9月以降、月間資金流入額が増加してきている。
アクティブ投信では、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」に406億円の資金が集まった。同区分で2位となった「東京海上・宇宙関連株式F(為替ヘッジなし)」は342億円の資金を集めている。当ファンドでは、2024年1年間の投資収益率は50%近くに達し、昨年9月以降、月間資金流入額が増加してきている。
図表3 NISA対象区分別資金流入額ランキング(2025年1月)


パッシブ投信に資金が流入する国内系運用会社、アクティブ投信に資金が流入する外資系運用会社
1月の資金流入が多かった投信会社10社を対象に、NISA対象区分別に資金流入額をみた(図表4)。国内系運用会社の場合、資金流入額は、NISA対象ファンドの中でもパッシブ投信に集中している。三菱UFJアセットマネジメントは特に顕著で、同社のファンド全体の資金流入額9,126億円のうち、9,083億円がNISA対象パッシブ投信への流入となっている。一方、外資系運用会社(アライアンス・バーンスタイン、インベスコ・アセット・マネジメント、フィデリティ投信)の場合には、NISA対象のアクティブ投信への資金流入が多く、またNISA対象外の毎月分配型投信へも多額の資金が流入しているなど、日系運用会社と異なる状況がみられている。
図表4 運用会社別資金流入額ランキング(2025年1月)


プロフィール
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金子 久のポートレート 金子 久
金融デジタルビジネスリサーチ部
1988年入社、システムサイエンス部及び投資調査部にて株式の定量分析を担当。1995年より投資情報サービスの企画及び営業を担当。2000年より投資信託の評価やマーケット分析のためのデータベース構築、日本の資産運用ビジネスに関する調査、個人向け資産形成支援税制、投信に関する規制などを担当。その間2005年から1年間、野村ホールディングス経営企画部に出向し、アセットマネジメント部門の販路政策などを担当。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。