本コラムは、2025年11月における公募追加型株式投信(ETF除く)の資金流入データを基に、当月の市場動向を分析したものである。本データを用いたバーチャートレース動画は、月初の混戦から中旬の突発的な順位変動、そして月末にかけての首位再逆転と、極めてダイナミックな資金フローの推移を描き出している。
1. 「オルカン」の盤石と「S&P500」の堅調
11月の資金流入競争において、中核を担ったのはやはり「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」であった。月初から安定的な資金流入が継続し、中旬には一時的に首位の座を明け渡す場面が見られたものの、積立投資による厚い資金が流入し続けた。最終的には月末(11月28日)にかけて再加速し、1,959億円の月間流入額で首位を奪還した。
同シリーズの「米国株式(S&P500)」も一貫して上位をキープし、最終的に1,315億円を集めて4位に着地した。NISA制度を背景とした低コストインデックスファンドへの資金流入は、相場環境に左右されにくい構造的なトレンドとして定着していることが確認できる。
同シリーズの「米国株式(S&P500)」も一貫して上位をキープし、最終的に1,315億円を集めて4位に着地した。NISA制度を背景とした低コストインデックスファンドへの資金流入は、相場環境に左右されにくい構造的なトレンドとして定着していることが確認できる。
2. アクティブファンドの躍進と劇的な順位変動
当月のバーチャートレースにおける最大のハイライトは、アクティブファンドの躍動である。
特筆すべきは「ティー・ロウ・プライス キャピタル・アプリシエーション・ファンド Bコース」の動向だ。同ファンドは11月14日の新規設定日に、1,700億円規模の当初設定額を計上し、ランキング首位に急浮上した。動画上でも非常にインパクトのある変動を見せたこの巨額設定は、アクティブ運用への旺盛な需要を強烈に印象付けた。その後も資金流入を維持し、月末時点で約1,912億円の2位となっている。
また、「インベスコ世界厳選株式オープン(為替ヘッジなし)(毎月決算型)」の後半の追い上げも目覚ましい。月初を首位(約71億円)でスタートした後、中旬にはインデックス勢や他の大型アクティブファンドに先行を許したが、25日以降に急速に流入額を伸ばした。最終日には1,371億円まで積み上げ、S&P500をかわして3位に食い込んでいる。既存の人気ファンドとしての底力が発揮された形だ。
特筆すべきは「ティー・ロウ・プライス キャピタル・アプリシエーション・ファンド Bコース」の動向だ。同ファンドは11月14日の新規設定日に、1,700億円規模の当初設定額を計上し、ランキング首位に急浮上した。動画上でも非常にインパクトのある変動を見せたこの巨額設定は、アクティブ運用への旺盛な需要を強烈に印象付けた。その後も資金流入を維持し、月末時点で約1,912億円の2位となっている。
また、「インベスコ世界厳選株式オープン(為替ヘッジなし)(毎月決算型)」の後半の追い上げも目覚ましい。月初を首位(約71億円)でスタートした後、中旬にはインデックス勢や他の大型アクティブファンドに先行を許したが、25日以降に急速に流入額を伸ばした。最終日には1,371億円まで積み上げ、S&P500をかわして3位に食い込んでいる。既存の人気ファンドとしての底力が発揮された形だ。
3. 成長テーマと「守り」の資産の併存
上位20ファンドの構成を見ると、リスク選好と回避の動きが同時に進行している様子が見て取れる。
リスク選好の面では、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(為替ヘッジなし)」が月間を通じてコンスタントに資金を集め、913億円で5位にランクインしたほか、「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(為替ヘッジなし)」や「iFreeNEXT FANG+インデックス」といったハイテク・イノベーション関連ファンドが上位に定着した。
一方で、金(ゴールド)関連ファンドへの資金流入も顕著である。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」や「三菱UFJ純金ファンド」が着実に順位を上げ、それぞれ月末時点で300億円を超える資金を集めて上位20位圏内を維持した。株式市場の先行き不透明感を背景に、実物資産による分散投資ニーズが根強く存在していることを示している。
リスク選好の面では、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(為替ヘッジなし)」が月間を通じてコンスタントに資金を集め、913億円で5位にランクインしたほか、「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(為替ヘッジなし)」や「iFreeNEXT FANG+インデックス」といったハイテク・イノベーション関連ファンドが上位に定着した。
一方で、金(ゴールド)関連ファンドへの資金流入も顕著である。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」や「三菱UFJ純金ファンド」が着実に順位を上げ、それぞれ月末時点で300億円を超える資金を集めて上位20位圏内を維持した。株式市場の先行き不透明感を背景に、実物資産による分散投資ニーズが根強く存在していることを示している。
総括
2025年11月の資金流入動向は、インデックスファンドによる堅調なベース形成の上に、スポット的な大型アクティブファンドの流入や、人気アクティブファンドの復調が重なる活況な月となった。バーチャートレース上の動きは、単調なインデックス一辺倒ではなく、成長株選好やゴールドによるリスクヘッジなど、投資家の資金配分が多様化し、投資行動が活発化している実態を浮き彫りにしている。
プロフィール
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金子 久のポートレート 金子 久
金融イノベーション研究部
1988年入社、システムサイエンス部及び投資調査部にて株式の定量分析を担当。1995年より投資情報サービスの企画及び営業を担当。2000年より投資信託の評価やマーケット分析のためのデータベース構築、日本の資産運用ビジネスに関する調査、個人向け資産形成支援税制、投信に関する規制などを担当。その間2005年から1年間、野村ホールディングス経営企画部に出向し、アセットマネジメント部門の販路政策などを担当。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。