2025年の公募投信市場を資産分類別に分析すると、海外株式パッシブへの極端な資金集中と、それ以外のカテゴリーにおける選別傾向という、特徴的な市場動向が確認できる。年初からの累積推移に基づき、各カテゴリーの流入状況を振り返る。
本年、市場の主軸となったのは「海外株式パッシブ」である。新NISA制度による積立投資の浸透を背景に、1月以降の月次流入ペースは安定的に推移した。累積流入額は7月半ばに5兆円、12月には8兆円を突破しており、他のカテゴリーを大きく引き離す流入規模となっている。
海外株式パッシブが圧倒的な存在感を示す傍ら、独自の運用戦略を求める投資資金の受け皿として「海外株式アクティブ」も着実な伸びを見せた。同カテゴリーは、優れたトラックレコードを持つ主要ファンドへの資金流入により累積2.8兆円超に達している。低コスト志向が強まる市場環境下においても、市場平均を上回る収益を追求する資金の受け皿としての機能は損なわれておらず、依然として大きな存在感を示している。また、リスク分散を目的とした「マルチアセット・アクティブ」も累積1.1兆円程度を確保した。
対照的に、年間を通じて流出基調が続いたカテゴリーもある。「国内株式アクティブ」は年間の大半で流出超過が続いた。ただし、累積流入額は10月には一時マイナス2500億円に達していたが、12月19日時点ではマイナス123億円まで流出幅を急速に縮小させているなど、年末にかけて流出の流れは和らいでいる。海外不動産投信アクティブからは1000億円を超える資金が流出した。運用効率の低さや、主力の毎月分配型が新NISA制度の対象外であるといった背景が、投資家の資金離れを招いている。
また、債券カテゴリー内では投資資金の入れ替えが推察される。「 海外債券アクティブ」は4月以降資金流出が継続し、通年での累積流出額は2000億円に達した。対照的に、国内債券アクティブは年末にかけて流入を回復させ、2000億円規模に迫る動きが確認された。
総じて、2025年は「海外株式パッシブ」が市場全体の牽引役となった一方で、アクティブ戦略や他の資産クラスについては、それぞれの運用特性や制度的要因に基づいて選別されるという、多様な投資行動が浮き彫りとなった一年であった。
本年、市場の主軸となったのは「海外株式パッシブ」である。新NISA制度による積立投資の浸透を背景に、1月以降の月次流入ペースは安定的に推移した。累積流入額は7月半ばに5兆円、12月には8兆円を突破しており、他のカテゴリーを大きく引き離す流入規模となっている。
海外株式パッシブが圧倒的な存在感を示す傍ら、独自の運用戦略を求める投資資金の受け皿として「海外株式アクティブ」も着実な伸びを見せた。同カテゴリーは、優れたトラックレコードを持つ主要ファンドへの資金流入により累積2.8兆円超に達している。低コスト志向が強まる市場環境下においても、市場平均を上回る収益を追求する資金の受け皿としての機能は損なわれておらず、依然として大きな存在感を示している。また、リスク分散を目的とした「マルチアセット・アクティブ」も累積1.1兆円程度を確保した。
対照的に、年間を通じて流出基調が続いたカテゴリーもある。「国内株式アクティブ」は年間の大半で流出超過が続いた。ただし、累積流入額は10月には一時マイナス2500億円に達していたが、12月19日時点ではマイナス123億円まで流出幅を急速に縮小させているなど、年末にかけて流出の流れは和らいでいる。海外不動産投信アクティブからは1000億円を超える資金が流出した。運用効率の低さや、主力の毎月分配型が新NISA制度の対象外であるといった背景が、投資家の資金離れを招いている。
また、債券カテゴリー内では投資資金の入れ替えが推察される。「 海外債券アクティブ」は4月以降資金流出が継続し、通年での累積流出額は2000億円に達した。対照的に、国内債券アクティブは年末にかけて流入を回復させ、2000億円規模に迫る動きが確認された。
総じて、2025年は「海外株式パッシブ」が市場全体の牽引役となった一方で、アクティブ戦略や他の資産クラスについては、それぞれの運用特性や制度的要因に基づいて選別されるという、多様な投資行動が浮き彫りとなった一年であった。
プロフィール
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金子 久のポートレート 金子 久
金融イノベーション研究部
1988年入社、システムサイエンス部及び投資調査部にて株式の定量分析を担当。1995年より投資情報サービスの企画及び営業を担当。2000年より投資信託の評価やマーケット分析のためのデータベース構築、日本の資産運用ビジネスに関する調査、個人向け資産形成支援税制、投信に関する規制などを担当。その間2005年から1年間、野村ホールディングス経営企画部に出向し、アセットマネジメント部門の販路政策などを担当。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。