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2025年の国内公募投信市場における運用会社別の資金流入動向を、年初からの累積推移に基づき分析する。本年の動向は、インデックスシリーズを軸とした特定運用会社への資金偏重と、有力なアクティブファンドが会社全体の流入額を大きく左右する傾向の二点に要約される。

年初から一貫して首位を維持したのは、三菱UFJアセットマネジメントである。低コストインデックス投信の代表格である「eMAXIS Slim」シリーズへの資金流入が、年間を通じて高い水準で推移した。12月半ば時点の累積流入額は5.5兆円を超え、市場全体の流入を牽引する立場となった。

次いで累積流入額を伸ばしたのが、インベスコ・アセット・マネジメントである。年初時点の順位は中位であったが、主力のアクティブファンド「インベスコ 世界厳選株式オープン」への流入が急増したことで、年後半にかけて流入ペースが加速。12月時点では1.6兆円超に達し、運用会社別順位で2位に浮上した。

上位集団では、インデックスシリーズを展開する各社が堅調な流入を記録した。「iFree」シリーズを擁する大和アセットマネジメントや、「楽天・プラス」シリーズを展開する楽天投信投資顧問は、いずれも1兆円規模、あるいはそれに迫る流入水準となった。両社とも流入の大半はこれらインデックスシリーズによるものである。これに、アクティブファンドの「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」等への流入が寄与したフィデリティ投信などが続き、上位圏を維持した。

2025年は、低コストのインデックスファンドを重視する潮流と、好調な特定アクティブファンドへ資金を振り向ける動きが並行して進んだ一年であった。投資家の選択が二極化したことで、運用会社間の競争はブランド力や個別の商品力に左右される傾向が鮮明となった。

プロフィール

  • 金子 久のポートレート

    金子 久

    金融イノベーション研究部

    

    1988年入社、システムサイエンス部及び投資調査部にて株式の定量分析を担当。1995年より投資情報サービスの企画及び営業を担当。2000年より投資信託の評価やマーケット分析のためのデータベース構築、日本の資産運用ビジネスに関する調査、個人向け資産形成支援税制、投信に関する規制などを担当。その間2005年から1年間、野村ホールディングス経営企画部に出向し、アセットマネジメント部門の販路政策などを担当。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。