総裁選は10月上旬に実施か
9月7日に石破首相が辞任を表明したことで、注目は「ポスト石破」を決める自民党総裁選に移っている(コラム「石破首相が辞任表明:次期政権に引き続き求められる関税問題への対応と物価高対策:金融市場は積極財政・金融緩和長期化の可能性を織り込んでいく展開か」、2025年9月8日)。
8日には、茂木前幹事長と林官房長官が総裁選に出馬する考えを表明した。昨年の総裁選で上位となった高市前経済安全保障担当相と小泉農相の両者による争いになるとの見方が強いが、これに林官房長官が加わる可能性があるだろう。また、茂木氏や小林前経済安全保障担当相も新総裁に選ばれる可能性がある。
自民党の総裁選挙管理委員会は会合を開き、石破首相が辞任する意向を表明したことを受けて、8日に行う予定だった臨時の総裁選挙の是非を判断する手続きを中止することを確認した。さらに、9日には石破首相の後任を選ぶ総裁選挙の日程などの検討を進めることになった。総裁選で党員投票を含むフルスペック方式を採用する場合、告示から投開票までに最低2~3週間が必要となる。そのため党内では、総裁選の日程は10月上旬が有力視されている。
8日には、茂木前幹事長と林官房長官が総裁選に出馬する考えを表明した。昨年の総裁選で上位となった高市前経済安全保障担当相と小泉農相の両者による争いになるとの見方が強いが、これに林官房長官が加わる可能性があるだろう。また、茂木氏や小林前経済安全保障担当相も新総裁に選ばれる可能性がある。
自民党の総裁選挙管理委員会は会合を開き、石破首相が辞任する意向を表明したことを受けて、8日に行う予定だった臨時の総裁選挙の是非を判断する手続きを中止することを確認した。さらに、9日には石破首相の後任を選ぶ総裁選挙の日程などの検討を進めることになった。総裁選で党員投票を含むフルスペック方式を採用する場合、告示から投開票までに最低2~3週間が必要となる。そのため党内では、総裁選の日程は10月上旬が有力視されている。
「高市トレード」が始まる
日本の首相(内閣総理大臣)は、憲法に基づき 、国会の議決(首班指名選挙) によって選ばれる。通常は、衆議院で多数を占める政党の党首が指名される。ただし現状では、自民党、ならびに公明党を加えた与党が衆院の過半数の議席を有していないことから、仮に野党が連携すれば、野党から首相が選ばれる可能性もある。
しかし、昨年の衆院選後の首班指名選挙では、最大野党の立憲民主党が同党の野田代表への投票を野党各党に呼び掛けたが、実現しなかった。今回についても同様だろう。参政党の神谷代表は、首班指名選挙で立憲民主党の野田代表を支持する考えがないことをすでに明らかにしている。こうした点から、自民党の新総裁が首相に選ばれる可能性が高い情勢だ。
8日の東京市場では、積極財政と金融緩和維持を主張する高市氏が次期首相となる可能性を部分的に織り込み、先週末の海外市場から一時は1円以上のドル高円安となった。また、積極財政と金融緩和維持による景気浮揚効果と円安進行の追い風を受けて、日経平均株価は一時800円近く上昇した。さらに、財政赤字拡大への懸念から超長期債が売られている。「高市トレード」が始まっているのである。この流れは、総裁選まで続くのではないか。
以下では、自民党総裁選で予想される候補者と経済政策を比較した。
しかし、昨年の衆院選後の首班指名選挙では、最大野党の立憲民主党が同党の野田代表への投票を野党各党に呼び掛けたが、実現しなかった。今回についても同様だろう。参政党の神谷代表は、首班指名選挙で立憲民主党の野田代表を支持する考えがないことをすでに明らかにしている。こうした点から、自民党の新総裁が首相に選ばれる可能性が高い情勢だ。
8日の東京市場では、積極財政と金融緩和維持を主張する高市氏が次期首相となる可能性を部分的に織り込み、先週末の海外市場から一時は1円以上のドル高円安となった。また、積極財政と金融緩和維持による景気浮揚効果と円安進行の追い風を受けて、日経平均株価は一時800円近く上昇した。さらに、財政赤字拡大への懸念から超長期債が売られている。「高市トレード」が始まっているのである。この流れは、総裁選まで続くのではないか。
以下では、自民党総裁選で予想される候補者と経済政策を比較した。
図表 自民党総裁選で予想される候補者と経済政策の比較


プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。