中国が対日輸出規制を実施する軍民両用品目を広く捉えると年間10.7兆円規模に
中国商務省は1月6日に、「日本への軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理強化を決定した」と発表し、規制は即時発効するとした。高市首相の台湾有事発言を受けた措置である可能性が高い。
同省は、輸出規制の対象となる具体的な品目について言及していないが、日本の軍事関連利用者向けや、軍事力向上につながる軍民両用品が輸出規制の対象となると説明しており、幅広い品目が含まれる可能性がある。中国政府はバイオテクノロジー、航空宇宙、通信分野などにまたがる、さまざまな製品を軍民両用品として分類しているとされる。
中国が日本に輸出している軍民両用品目を幅広く捉えると、1)半導体、集積回路、電子部品などの電気機器・電子部品、2)医療機器や光学機器など精密機械、3)EV電池関連のリチウム化合物やレアアースなど化学品、4)通信機器、5)PC類などが含まれると考えられる。
日本の貿易統計では、第1の電気機器・電子部品、第4の通信機器は「電気機器」に分類され、その規模は2024年に7.7兆円に及ぶ。第2の精密機械のうち科学光学機器は2024年で0.4兆円、第5のPC類は、周辺機器や部品も含めて2.4兆円、第3のレアアースは0.2兆円程度と考えられる。これらを合計すると10.7兆円となる。これは2024年の中国からの輸入総額25.3兆円の42%程度にも達する。
上記の計算は、中国当局が日本への軍民両用品目を拡大解釈した場合の、いわば最大値と言えるだろう。実際にどの程度の規模で輸出規制が実施されるかは、中国当局の裁量で決まる。
同省は、輸出規制の対象となる具体的な品目について言及していないが、日本の軍事関連利用者向けや、軍事力向上につながる軍民両用品が輸出規制の対象となると説明しており、幅広い品目が含まれる可能性がある。中国政府はバイオテクノロジー、航空宇宙、通信分野などにまたがる、さまざまな製品を軍民両用品として分類しているとされる。
中国が日本に輸出している軍民両用品目を幅広く捉えると、1)半導体、集積回路、電子部品などの電気機器・電子部品、2)医療機器や光学機器など精密機械、3)EV電池関連のリチウム化合物やレアアースなど化学品、4)通信機器、5)PC類などが含まれると考えられる。
日本の貿易統計では、第1の電気機器・電子部品、第4の通信機器は「電気機器」に分類され、その規模は2024年に7.7兆円に及ぶ。第2の精密機械のうち科学光学機器は2024年で0.4兆円、第5のPC類は、周辺機器や部品も含めて2.4兆円、第3のレアアースは0.2兆円程度と考えられる。これらを合計すると10.7兆円となる。これは2024年の中国からの輸入総額25.3兆円の42%程度にも達する。
上記の計算は、中国当局が日本への軍民両用品目を拡大解釈した場合の、いわば最大値と言えるだろう。実際にどの程度の規模で輸出規制が実施されるかは、中国当局の裁量で決まる。
レアアースが本格的に輸出規制されれば3か月で6,600億円程度の経済損失
他方、金額は大きくはないが、中国が多くのレアアースを軍民両用品目に分類して輸出規制を実施する場合には、日本経済への打撃は非常に大きくなる。
2010年に生じた尖閣問題の後にも、中国政府は日本に対するレアアースの輸出を規制し、日本の経済活動に大きな打撃が生じた。輸出規制は数か月程度で緩和されたが、この時の経験から、日本は中国産レアアースからの依存を脱する取り組みを進めてきた。取り組みの結果、日本が輸入するレアアースの中国依存度は2010年の尖閣問題時の90%から、現在では60%程度に低下したとされる。それでも中国依存度はなお高い。
特にEV用モーターに使用されるネオジム磁石の補助材料であるジスプロシウム、テルビウムなどのレアアースは、ほぼその100%を中国に依存しているとされる。
2010年の経験を踏まえ、レアアース輸出規制が3か月続くと仮定して生産減少額、損失額を試算すると、6,600億円程度となる。これは年間の名目・実質GDPを0.11%押し下げる計算だ。また仮に輸出規制が1年間続く事態となれば、損失額は2.6兆円程度、年間の名目・実質GDPの押し下げ効果は-0.43%に達する計算となる(コラム「中国が日本にレアアース輸出規制を導入した場合の経済損失」、2025年11月28日)。
中国が軍民両用品目として日本への輸出規制の対象とする品目がどこまで広がるのか、多くのレアアースがそこに含まれるのかどうかを見極める必要がある。
(参考資料)
「中国、軍民両用品の対日輸出規制―対抗措置か、レアアースも可能性」、2026年1月6日、共同通信ニュース
「中国、日本向け軍民両用品の輸出規制を強化」、2026年1月6日、AFPBB NEWS/AFP通信
2010年に生じた尖閣問題の後にも、中国政府は日本に対するレアアースの輸出を規制し、日本の経済活動に大きな打撃が生じた。輸出規制は数か月程度で緩和されたが、この時の経験から、日本は中国産レアアースからの依存を脱する取り組みを進めてきた。取り組みの結果、日本が輸入するレアアースの中国依存度は2010年の尖閣問題時の90%から、現在では60%程度に低下したとされる。それでも中国依存度はなお高い。
特にEV用モーターに使用されるネオジム磁石の補助材料であるジスプロシウム、テルビウムなどのレアアースは、ほぼその100%を中国に依存しているとされる。
2010年の経験を踏まえ、レアアース輸出規制が3か月続くと仮定して生産減少額、損失額を試算すると、6,600億円程度となる。これは年間の名目・実質GDPを0.11%押し下げる計算だ。また仮に輸出規制が1年間続く事態となれば、損失額は2.6兆円程度、年間の名目・実質GDPの押し下げ効果は-0.43%に達する計算となる(コラム「中国が日本にレアアース輸出規制を導入した場合の経済損失」、2025年11月28日)。
中国が軍民両用品目として日本への輸出規制の対象とする品目がどこまで広がるのか、多くのレアアースがそこに含まれるのかどうかを見極める必要がある。
(参考資料)
「中国、軍民両用品の対日輸出規制―対抗措置か、レアアースも可能性」、2026年1月6日、共同通信ニュース
「中国、日本向け軍民両用品の輸出規制を強化」、2026年1月6日、AFPBB NEWS/AFP通信
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。