ガソリン価格は190.8円に大幅上昇も今後170円程度に速やかに低下へ
16日時点のレギュラーガソリンの価格は、全国平均で1リットル当たり190.8円と、前週から29円値上がりするという異例の事態となった。11日には大手元売り業者が卸値を前週から26円引き上げたと報じられているが、実際の平均上昇幅はそれ以上となった。小規模元売り業者がガソリンスタンドに対してより高い卸値を提示した可能性や、ガソリン不足への懸念から消費者がガソリン購入を強めるなどの混乱が起きた結果である可能性が考えられる。
ただし政府は19日からレギュラーガソリンの価格を、全国平均で1リットル当たり170円程度に抑える補助金を導入するため、月末までには全国平均価格は170円程度へと比較的速やかに低下していくことが予想される(コラム、「ガソリン価格はいつから下がるか」、2026年3月17日)。
ただし政府は19日からレギュラーガソリンの価格を、全国平均で1リットル当たり170円程度に抑える補助金を導入するため、月末までには全国平均価格は170円程度へと比較的速やかに低下していくことが予想される(コラム、「ガソリン価格はいつから下がるか」、2026年3月17日)。
春闘集中回答日に満額回答が相次ぐ
3月18日に、2026年春闘は集中回答日を迎えた。大手企業を中心に満額回答が相次いでおり、物価高と人手不足を背景に高水準の賃上げが続いている。
トランプ関税の逆風を最も受けた自動車産業でも、満額回答が相次いだ。トヨタ自動車は賃上げ・一時金ともに6年連続の満額回答、日産自動車は定期昇給分とベアを合わせ月1万円の要求に満額回答、マツダ、三菱自動車なども満額回答となった。電機業界では統一要求のベア1万8,000円に対し、三菱電機、NECなどが満額回答をした。重工では、三菱重工、川崎重工などが1万6,000円規模のベアで満額回答をした。
春闘の平均賃上げ率は2024年に5.10%(定期昇給を含む)、2025年に5.25%だった。2026年の平均賃上げ率は2025年の水準をやや下回る可能性はあるが、3年連続で5 %程度の高水準となる可能性が高い。
2月末にはイラン紛争が勃発したが、既に賃金交渉がある程度進んでいた大企業の賃上げ率には、大きな影響は出なかったとみられる。
トランプ関税の逆風を最も受けた自動車産業でも、満額回答が相次いだ。トヨタ自動車は賃上げ・一時金ともに6年連続の満額回答、日産自動車は定期昇給分とベアを合わせ月1万円の要求に満額回答、マツダ、三菱自動車なども満額回答となった。電機業界では統一要求のベア1万8,000円に対し、三菱電機、NECなどが満額回答をした。重工では、三菱重工、川崎重工などが1万6,000円規模のベアで満額回答をした。
春闘の平均賃上げ率は2024年に5.10%(定期昇給を含む)、2025年に5.25%だった。2026年の平均賃上げ率は2025年の水準をやや下回る可能性はあるが、3年連続で5 %程度の高水準となる可能性が高い。
2月末にはイラン紛争が勃発したが、既に賃金交渉がある程度進んでいた大企業の賃上げ率には、大きな影響は出なかったとみられる。
日本の物価、賃金の見通しを大きく変えたイラン情勢
コメの価格の安定や円安による輸入コストの上昇を食料品の製品価格に転嫁する動きが弱まったことで、消費者物価上昇率は足もとで顕著に低下している。2月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、2022年3月以来約4年ぶりに、前年同月比で1%台になるとみられる。
その結果、実質賃金が上昇することが見込まれる。2026年1月の実質賃金は、前年同月比で2021年5月以来のプラスとなった。物価上昇率が低下する中で、2月の実質賃金も、前年同月比でプラスになるとみられる。2022年から2025年まで4年連続で実質賃金上昇率はマイナスとなったが、その状態からようやく脱することが展望できるようになったのである。
しかし、そうしたタイミングで生じたイラン紛争は、日本の物価、賃金の見通しを大きく変えてしまった。
イラン情勢を受けた原油価格高騰は、大企業の春闘賃上げ率には大きな影響をもたらさなかったとみられるが、今後本格化する中小企業の春闘の賃上げ率や、零細企業の賃上げ率には悪影響を及ぼすだろう。その結果、平均賃金上昇率は今後下振れていくことが見込まれる。
他方、3月以降、物価上昇率は再び上昇するだろう。その結果、実質賃金上昇率はマイナス基調に戻ると見られる。それが一時的な現象に終わり、実質賃金が上昇傾向となるのかどうかは、イラン情勢を受けた原油価格の動きに大きく左右される。
その結果、実質賃金が上昇することが見込まれる。2026年1月の実質賃金は、前年同月比で2021年5月以来のプラスとなった。物価上昇率が低下する中で、2月の実質賃金も、前年同月比でプラスになるとみられる。2022年から2025年まで4年連続で実質賃金上昇率はマイナスとなったが、その状態からようやく脱することが展望できるようになったのである。
しかし、そうしたタイミングで生じたイラン紛争は、日本の物価、賃金の見通しを大きく変えてしまった。
イラン情勢を受けた原油価格高騰は、大企業の春闘賃上げ率には大きな影響をもたらさなかったとみられるが、今後本格化する中小企業の春闘の賃上げ率や、零細企業の賃上げ率には悪影響を及ぼすだろう。その結果、平均賃金上昇率は今後下振れていくことが見込まれる。
他方、3月以降、物価上昇率は再び上昇するだろう。その結果、実質賃金上昇率はマイナス基調に戻ると見られる。それが一時的な現象に終わり、実質賃金が上昇傾向となるのかどうかは、イラン情勢を受けた原油価格の動きに大きく左右される。
広がるエチレン減産の影響
政府は19日からガソリン価格の補助金を始める。ガソリン以外にも軽油、重油、灯油には同程度の価格抑制効果をもたらす補助金が投入される。ジェット燃料には、より限定的な規模で補助金が投入される。
このように燃料費の上昇は補助金によって抑えられるが、その他の石油から作られる原材料の価格は顕著に上昇する。
国内では2026年3月時点でエチレン生産拠点の約半数が減産に入っており、その背景には中東情勢悪化によるナフサ調達不安がある。エチレンはプラスチックや合成繊維の最上流(川上)原料で、それから以下のような製品が作られる。
• 食品包装(ラップ、トレー、ペットボトル)
• 日用品(洗剤容器、歯ブラシ、医療用手袋)
• 衣料品(ポリエステル繊維)
• 自動車・家電部品
• 建材(塩ビ管、断熱材)
エチレン生産の減少による品不足や価格上昇を受けて、エチレンから作られる製品にも価格上昇がみられる。塩化ビニル樹脂の最大手である信越化学工業は、水道管・建材・電線被覆などに使われる塩化ビニル樹脂の価格を4月1日納入分から1kgあたり30円以上引き上げる。
塩化ビニル樹脂の価格上昇を受けて、配管材、住宅設備向け資材などの値上げの動きもみられる。
現状では、価格引き上げの動きは主に企業間の取引で見られているが、早晩、消費者が購入する日用品などの価格上昇に広がってくることが見込まれる。
原油価格上昇の影響は、通常では数か月から半年程度でゆっくりと日用品の価格に転嫁されていくが、今回は深刻な品不足感を背景に、より早く小売価格の上昇をもたらす見通しだ。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。