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イラン革命防衛隊は、12日にホルムズ海峡で船舶を攻撃し、さらに海峡を封鎖したと発表した。さらに、米国によるこの地域への干渉が終わるまで海峡封鎖は継続され、いかなる船舶の通過も許可されないとした。いわゆる海峡再封鎖の宣言である。こうした動きを受けて、米軍はイランへの空爆を開始した。戦闘機などで約140か所のイラン軍施設への攻撃を行ったという。
 
国際海事機関(IMO)がオマーンと連携して脱出回廊を設けたと発表すると、多くの船舶がオマーン側のルートに押し寄せたことが、今回のイランによる船舶攻撃のきっかけとみられる。このことは、海峡の管理を手放さないというイランの強い意志の表れと言えるだろう。
 
米国は、ホルムズ海峡を航行する船舶への攻撃停止を宣言するように求め、11日までに約束しなければ代償を払うことになると警告していた。実際には、イランは攻撃停止ではなく船舶への攻撃を実施し、海峡再封鎖を宣言したのである。
 
米国とイランは6月に戦闘終結に向けた覚書を交わして、最終合意を目指す交渉をしていた。両国は故アリ・ハメネイ師の国葬後の交渉再開で一致していたが、それは実現せず、攻撃の応酬が生じてきた。イランでは、強硬派のイラン革命防衛隊の影響力が強まっているとの見方もある。
 
戦闘終結に向けては、ホルムズ海峡問題と並ぶ最大の争点であるイランの核問題でも両国の対立が続いている。米国は、イランが同国の地下に埋設された濃縮ウランの管理権を米国に引き渡すことを求めているが、この点も含め、両国が核問題で合意するのは難しいとの悲観的な見方がトランプ政権内で広がっていると、ウォールストリート・ジャーナル紙は報じている。
 
ホルムズ海峡の再封鎖を受けて、金融市場では戦闘終結に向けた両国の交渉が白紙に戻ってしまう可能性をさらに織り込む展開となるだろう。ホルムズ海峡正常化への期待から、WTI原油先物価格は一時1バレル67ドル台と2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃時の水準まで低下していたが、米国とイランの攻撃の応酬を受けて、先週には一時1バレル75ドル台まで上昇した。
 
13日には、交渉決裂への警戒から原油価格はさらに上昇する可能性があるだろう。10日に片山大臣のGPIFに関する発言で円高、株高、債券高の「トリプル高」に動いた金融市場は(コラム「財務相のGPIF国内投資発言は、債券・為替市場への口先介入との観測も」、2026年7月10日)、中東情勢の緊迫化と原油高を受けて再び「トリプル安」に振り戻される可能性がある。
 
財政悪化や政府による日本銀行の利上げ牽制観測で進む円安・債券安の流れが、再び原油高によって増幅される可能性があるだろう。
 
また、ホルムズ海峡正常化と原油価格安定への期待が後退すれば、原油・ナフサの調達難、物価上昇への懸念から企業と家計の景況感が再び悪化し、経済活動にも悪影響が及ぶ可能性が出てくる。
 
(参考資料)
「イラン革命防衛隊、ホルムズ再封鎖を宣言 米軍は再攻撃を開始」、2026年7月12日、日本経済新聞電子版 
「イラン革命防衛隊、ホルムズ海峡封鎖を発表 米軍は空爆開始」、2026年7月12日、日本テレビ

プロフィール

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    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。